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よどり と読む。
ルヴェルは19世紀フランスの短編作家。本職は医師。
医者として、様々な患者と関わった経験を元に書かれたのが、このコント(=短編)。
当時は「フランスのポー」と評判だったが、50歳で死去。現在は忘れられた作家となる。
で、ルヴェルをいち早く日本に紹介したのが田中早苗。
旧漢字や旧仮名を修正してあるのも多少あると思うけど、今読んでも全然古い感じはしないです、訳が大変上手いと思います。翻訳にありがちな日本語の不自然さがない(クイーンとかと比べてみれ!歴然です)
恐怖あり、悲壮感あり、情味あり…
夢野久作や小酒井不木、乱歩が好んだ作家だったのも頷ける!という感じです。
以下、あらすじだの感想だの、長くなったので畳んでおきます。

巻末には田中早苗、小酒井不木、甲賀三郎、江戸川乱歩、夢野久作のルヴェル、または田中早苗についての話が収録されています。
なかなか読み応えのある作品集でした。
て、これ書いている間に日付が変わってしまった。

+ + + + + + + + + +
・或る精神異常者
原題は「Un maniaque(偏執的な男)」だそうです。何で精神異常者なのかとゆうと、英訳のタイトルが「A madman」なので、田中早苗は原書ではなく英訳本を翻訳したらしい、との推測が成り立つ訳です。おくがふかいねー。
一通りの娯楽に飽きた男は、サーカスで猛獣に食われる猛獣使い、芝居小屋で起こる火事などのアクシデントに遭遇する為に毎日サーカスへ通い出す。顔なじみになった男は、サーカスのメイン見世物の自転車乗りと話す機会に恵まれる。翌日、男のした事とは…
これこわい、しょっぱなから異常なのきたよ。

・麻酔剤
一種のローマンスです。ドイルの恐怖短編思い出しちゃう。

・幻想
乞食がなけなしの金で盲の乞食を助ける話。なんだけどオチが…
金持ちになるよりも人間としてずっと良い行いをした事に充足感を味わう乞食だが、ふと現実を直視したら…てゆう。うわああん。

・犬舎
セックスレス夫婦の浮気は命懸け!!

・孤独
私もこんな風に死ぬんだろうなー…身に沁みるぜ。

・誰?
医者という職業柄か、不木が好んだという作品。
本棚に置かれた頭蓋骨を見ていたら、だんだん肉が付き歯は唇で覆われ、虚には眼球が…という幻想を見た医師。数日後、どこかで見た事のある青年に出会う。誰だったかしら…という話です。

・闇と寂寞
乞食の三きょうだいはいつも一緒だった。姉が亡くなり、残されたのは盲の弟と啞の末弟。姉が埋葬された夜、盲の弟は棺の中で苦しむ姉の呻き声を聞く…
かなしいはなし。

・生さぬ児
息子は本当に俺の子なのか、という疑念に駆られ、狂犬の徘徊する表に息子を放り出してしまった父親のはなし。

・碧眼
原題は「我が眼」なのだけど、英訳からのタイトルの方がしっくりきてると思う。
死刑になった情夫の墓に花を手向ける為、売春婦の「碧眼」が身を売った相手は…
なんというアイロニー!

・麦畑
とても簡潔にまとめてあると思います。
人が死んでるけど、喜劇的なオチ。

・乞食
他人に悪意を持った事のない善良な男が、一瞬で悪魔に変わる時。
これもこわい話です、人との接し方には気をつけよう。

・青蠅
ホラー!気持ち悪い系ホラー!

・フェリシテ
フェリシテは若くも無ければ美しくも無い売春婦。だけど感じが良いから皆彼女の職業を大目に見ている。ある日、男性に声をかけられ、話をして夕飯を一緒に食べて別れた。彼女は普通の女性として扱われた事に感動する。それから毎週土曜の数時間、彼と話をして夕飯を食べる、という生活が続く。フェリシテは初めて「幸福」というものを味わったが、ついに終わりの時が来てしまう。
因みに、フェリシテは至福という意味だそうな。アイロニー!

・ふみたば
これは喜劇ですな、それもライトな。
別れた恋人に今まで送られてきたラブレターを取り上げられた男性の復讐劇。

・暗中の接吻
女は男に硫酸をぶっかけた罪で裁判にかけられていたが、思いがけず男が控訴を取り消した為、無実放免に。
ここおここわいよぼぼぼぼ…!!!

・ペルゴレーズ街の殺人事件
迷宮入りが囁かれるペルゴレーズ街の殺人事件。しかし有力な証拠があるという「私」の話に聞き入る老人と若い夫婦。夜行列車の中で事件の話に花を咲かせる一行だが、とんでもない悲劇が起こる。

・老婆と猫
狂信の果て。

・小さきもの
私生児がいる為に仕事につけず、ついに乳が枯れてしまった。このままでは子供も餓死してしまう…思い詰めた母親は、子供を施設に預けてしまう。しかし子供を手放した事を後悔し、更には「施設が私の子供を奪った」と思い込むようになる。ふと見ると近くに自分の子供より小さな子供が…

・情状酌量
これって、これって??
つまり、息子を助ける為に嘘の自白を??て事???
村八分になっても、報われなくても、子供を守ろうとする母親の無償の愛。

・集金掛
だいだいオチが読める話だなぁ。でも面白いよ。

・父
死んだ妻の話をする父親。息子は父が母をとても愛している事を痛感する。そして同じ位、自分の事も愛してくれている父親…!しかし母が残した手紙によって全てがぶち壊される。
これ、泣けます、泣きました。倅なんて良い子なの…!25歳の男を「子」よばわりするのもなんだけど、お前ほんといいこだよ…!!

・十時五十分の急行
「父」の余韻を引きずりまくって、泣きながら読みました。
列車事故で阿鼻叫喚の中、最後の一文が酷く不似合いで(※良い意味です)印象に残ります。

・ピストルの蠱惑
まさに「魔が差す」瞬間を描いた作品。京極夏彦の『魍魎の匣』の一節を思い出します。

・二人の母親
同じ日、同じ場所でほぼ同時に男の子を産んだ二人の産婦。直後敵の砲撃で片方の子供が死んでしまった。産婆も爆撃で死んでしまった為、残された子供がどちらの子供か判らない。更に二人の夫も戦地で帰らぬ人となる。始めは子供を巡って争う二人だったが、子供を孤児院に入れようとされ、結局二人で子供を育てる事にする。

・蕩児ミロン
才能があるのにつまらない女に現を抜かしてついにはパリを去る羽目になったミロン。15年後、すっかり変わり果てた姿でパリに舞い戻ってきたミロンは変名を使い、一枚の絵を画廊に持ってゆくが…
画家という矜持と過ぎにし過去に囚われた男の話。

・自責
己の名声の為に無実の男を死刑にしてしまったのではないかと自責の念に駆られる元検事。死刑された男の弁護士であった現検事に一切の告白をし、息を引き取った元検事だが、今度はその告白を聞かされた検事が自責の念に囚われる事になる。
短いけど、一転二転する作品。

・誤診
逆恨みじゃんね、これ!男があまりにも軽率過ぎると思うんだが…
診察は正確に!!

・見開いた眼
女中可哀相…無駄に犯人扱いされて、無駄に恐怖に陥れられて結局死んじゃうの。

・空家
なんというホラー!泥棒が腹いせにおじいさんを何度も刺すシーンとか、狂気じみてる。

・ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
わー…なんという…奇妙な航海です。騙された!
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