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1866年、フランスで発表された世界初の長編推理小説。
貴族階級のスキャンダルが事件の核になっているので当時おおはやりしたらしい、いつの時代もゆうめいじんの醜聞は市民のだいこうぶつって訳です。
この作品で一躍売れっ子作家となったガボリオは7年間で長編・短編・戯曲など20編程執筆。この忙しさが原因だったのか、41歳で急逝。

『ルルージュ事件』が日本で最初に紹介されたのは明治21年(1888年。あッ、切り裂きジャックの年ジャン!)黒岩涙香によって翻訳(フランス語が得意ではなかった為、英訳からの翻訳)というか翻案された『人耶鬼耶(ひとかおにか)』。
昭和になってからも何人かが何度も翻訳したものが発行されていたが、いづれも翻案だったり抄訳だったりで、この本が初めての完訳、との事である。

ルルージュ未亡人の死体が発見されてから五日間の話なのだが、これがものすっごく長い!20章もある。
事件発覚から犯人逮捕までは短いのに、登場人物の生い立ちとか心情とか、とにかくすっごい書いてあるの。そらもう退屈に感じる位に!
今でも愛している女性の恋人が容疑者だと知り、職業的冷静さを失う予審判事の苦しみだとか、伯爵が自分本位な理屈で正妻と愛人の子供をすり替えを正当化したり…
人物の背景の書き込みはすごいけど、「推理」小説というよりは「探偵」小説という感じ。
地道な捜査や偶然によって真相が判明してゆくので、読者が頭を働かせて探偵より先に犯人を指摘するのは難しい、と思う。勘で「こいつかな」というのは判るけど。
しかしタバレ老探偵が犯人の目星がついてからは猛スピードです。
一気に本物の証拠とか目撃者とか見つかります、犯人も危険を察知し行動を開始します。
しかしルコック(この作品以降のシリーズの探偵役)が元犯罪者だったとはなー。
当時、警察の下で働く密偵みたいなのがいて、元犯罪者が警察のスパイとして生活してたの。犯罪者からみれば情報を警察に渡す裏切り者ですね。
だので警察に関わっている=後ろぐらい過去を持つ として軽蔑されやすかったんですかね、タバレは自分が探偵している事を必死で隠していたし。
でも、警察の協力者って良い隠れ蓑ですよね、フリッツ・ハールマン然り。
現在基準の推理小説としてはドウかなとは思いますが、近代フランス小説として充分楽しめました。

ガボリオは本国において忘れられた作家であったらしいが、近年再評価がなされておるそうです。
これを機に日本でも完訳本が増えるとよいなぁ。『ルコック大探偵』読みたい。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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