百物語シリーズの最後の作品であり、はじまりの話です。
巷説百物語で百介と出会う前の、又市がどうして小股潜りになったのかが判ります。
百介と出会ってから百介が死ぬまでの話を既に読んでいるので知っている人物がそこかしこに出てきてウレシイ。
・寝肥(ねぶとり)
=自堕落が過ぎた女が、寝ている間に部屋いっぱいに膨張する怪事。
上方でしくじった又市と「削掛」の林蔵が損料屋「ゑんま屋」に出会い、手下になる話。
うおおお林蔵!後巷説では京都の人っぽかったけど、すっごい大阪人っぽい!良く喋る!
「長耳」の仲蔵は、アニメ巷説のオリジナルキャラクタを京極さんが気に入って原作にも登場させた人物。二つ名の通り耳が長い。
巷説年表(昔、続巷説かなんかに挟まれてた巷説ガイドブック)によると、この事件は182●年の出来事。
又市がひいきにしている女郎の「お葉」は4度売られて4度見請けされた美女。彼女を買った男は悉く死んでしまう。
そのお葉が自殺しようとしていた所を、女相撲取りの死体を運んでいた林蔵が助け仔細を聞くと
「妾は、人殺しなんです」
と言う。
又市は何とか逃がそうとするが、当のお葉は死んで償おうとする。
そこへ居合わせた損料屋「ゑんま屋」の手代、角助が
「その損、手前どもがお受けしやしょう」
――と。そうして損料を又市が支払う事になり、彼はゑんま屋の手先となるのだ。
・周防大蟆(すおうのおおがま)
=周防の国の山奥にすむ古蛙。蛇を食う。
敵討ちをする為江戸まで来たのだが、兄を殺された男、岩見は敵討ちをしたくないと言う。
しかも、敵討ちの相手、疋田は無実なのだと訴える。
当時敵討ちは武士なら絶対にしなければならないもので、敵討ちを命じられた者が死んでも若い親族が果たさなければならないのである(但し、目上の親族が殺された場合のみ。目下の親族の敵討ちは認められていなかった)
取り敢えず疋田に罪を着せた真犯人を探そうと言う事で聞き込みを行うと、彼らが仕える藩主の世継ぎで、しかも世継ぎは疋田に惚れていて、自分に靡かないのは他に思い人が居るからだと勘繰り恋敵(と勝手に思い込んだ岩見の兄)を斬ったのだという。
なにこの色恋殺傷沙汰。
この話で剣術の達人「鳥見」の山崎寅之助が登場。彼は武家の出でありながら剣を捨て、細民窟で暮らしている変わり者。相手の獲物を奪って仕留める恐ろしい使い手である。
・二口女
=継子を虐め殺すと、その継母の子供は口をふたつ持って生まれてくるという。
武家の後妻が、前妻の子を虐め殺してしまったようだ、とゑんま屋にやってくる。
その損をどう埋めれば良いのか。また、後妻は本当に前妻の子を殺してしまったのか。
儒学者崩れの久瀬堂庵先生だいかつやく。
時代小説(巷説シリーズしか読んでないけど)読むと、武家ってほんとうに七面倒臭い職業だなあと思います。
・かみなり
=稲妻とともに落ちてくるとされる生き物。
損料屋の仕掛けで一人の女癖の悪い侍が切腹した。
その後、ゑんま屋の女将、お甲と角助が拐かされ、半殺しにされた角助だけがゑんま屋の店先に捨てられる。
プロの殺し屋に狙われるゑんま屋一味。先の仕掛けの復讐なのか。
御燈の小右衛門登場。
・山地乳(やまちち)
=人の寝息を吸う妖怪。寝息を吸われた者は胸を叩かれると死ぬが、途中で目を覚ませば助かるらしい。
憎い相手の名を書くと三日以内に相手が必ず死ぬという黒絵馬の噂。
神仏の霊験ではなく人の手によってなされた悪事だと考えた同心・志方兵吾は犯人を誘き寄せる為に自分の名前を黒絵馬に書く。
――しかたさまあああ!!なんなのこの人、おとこまえすぎるるるるr!
山岡軍八郎を彷彿とさせるぜ・・・
ついに稲荷坂の祇右衛門の影が・・・
・旧鼠(きゅうそ)
=古鼠の妖怪。猫を食うが、子猫を育てる事もする。
うおおおおおおんん!!ももすけが、ももすけがあああ!
出てるちょろっと出てる!!
と、大興奮したのも束の間、久瀬先生が失踪。おおん。
祇右衛門の悪事をちょくちょく損料屋が知らずに潰してしまっていた為ゑんま屋が狙われる。
撲殺された後、物見櫓に逆さ吊りにされたゑんま屋の手先・辰五郎、おしま、巳之八、そしてゑんま屋の裏稼業とは全く無関係のおちか。
ゑんま屋の仲間はどんどん殺されてゆく。腕の立つあの山崎でさえも殺されてしまう。
囲まれた又市も死を覚悟するが、そこへ現れたまかしょう(御札を売り歩く御行)。
シリーズの最終話にして、はじまりの話。
なんかこの繋がり感がすごいです。
京極作品は別シリーズにも被った登場人物が出てきて、なんというか、世界観のリンクがすごいです。
又市は『嗤う伊右衛門』『覘き小平次』にも出てくるし、何といっても後巷説に登場した人物の子孫が京極堂シリーズにも出てくるところが凄いです。しかも巷説の影響としか思えない性格形成しちゃってるところとか、すごい計算されているんだろうなぁと思う。
巷説百物語で百介と出会う前の、又市がどうして小股潜りになったのかが判ります。
百介と出会ってから百介が死ぬまでの話を既に読んでいるので知っている人物がそこかしこに出てきてウレシイ。
・寝肥(ねぶとり)
=自堕落が過ぎた女が、寝ている間に部屋いっぱいに膨張する怪事。
上方でしくじった又市と「削掛」の林蔵が損料屋「ゑんま屋」に出会い、手下になる話。
うおおお林蔵!後巷説では京都の人っぽかったけど、すっごい大阪人っぽい!良く喋る!
「長耳」の仲蔵は、アニメ巷説のオリジナルキャラクタを京極さんが気に入って原作にも登場させた人物。二つ名の通り耳が長い。
巷説年表(昔、続巷説かなんかに挟まれてた巷説ガイドブック)によると、この事件は182●年の出来事。
又市がひいきにしている女郎の「お葉」は4度売られて4度見請けされた美女。彼女を買った男は悉く死んでしまう。
そのお葉が自殺しようとしていた所を、女相撲取りの死体を運んでいた林蔵が助け仔細を聞くと
「妾は、人殺しなんです」
と言う。
又市は何とか逃がそうとするが、当のお葉は死んで償おうとする。
そこへ居合わせた損料屋「ゑんま屋」の手代、角助が
「その損、手前どもがお受けしやしょう」
――と。そうして損料を又市が支払う事になり、彼はゑんま屋の手先となるのだ。
・周防大蟆(すおうのおおがま)
=周防の国の山奥にすむ古蛙。蛇を食う。
敵討ちをする為江戸まで来たのだが、兄を殺された男、岩見は敵討ちをしたくないと言う。
しかも、敵討ちの相手、疋田は無実なのだと訴える。
当時敵討ちは武士なら絶対にしなければならないもので、敵討ちを命じられた者が死んでも若い親族が果たさなければならないのである(但し、目上の親族が殺された場合のみ。目下の親族の敵討ちは認められていなかった)
取り敢えず疋田に罪を着せた真犯人を探そうと言う事で聞き込みを行うと、彼らが仕える藩主の世継ぎで、しかも世継ぎは疋田に惚れていて、自分に靡かないのは他に思い人が居るからだと勘繰り恋敵(と勝手に思い込んだ岩見の兄)を斬ったのだという。
なにこの色恋殺傷沙汰。
この話で剣術の達人「鳥見」の山崎寅之助が登場。彼は武家の出でありながら剣を捨て、細民窟で暮らしている変わり者。相手の獲物を奪って仕留める恐ろしい使い手である。
・二口女
=継子を虐め殺すと、その継母の子供は口をふたつ持って生まれてくるという。
武家の後妻が、前妻の子を虐め殺してしまったようだ、とゑんま屋にやってくる。
その損をどう埋めれば良いのか。また、後妻は本当に前妻の子を殺してしまったのか。
儒学者崩れの久瀬堂庵先生だいかつやく。
時代小説(巷説シリーズしか読んでないけど)読むと、武家ってほんとうに七面倒臭い職業だなあと思います。
・かみなり
=稲妻とともに落ちてくるとされる生き物。
損料屋の仕掛けで一人の女癖の悪い侍が切腹した。
その後、ゑんま屋の女将、お甲と角助が拐かされ、半殺しにされた角助だけがゑんま屋の店先に捨てられる。
プロの殺し屋に狙われるゑんま屋一味。先の仕掛けの復讐なのか。
御燈の小右衛門登場。
・山地乳(やまちち)
=人の寝息を吸う妖怪。寝息を吸われた者は胸を叩かれると死ぬが、途中で目を覚ませば助かるらしい。
憎い相手の名を書くと三日以内に相手が必ず死ぬという黒絵馬の噂。
神仏の霊験ではなく人の手によってなされた悪事だと考えた同心・志方兵吾は犯人を誘き寄せる為に自分の名前を黒絵馬に書く。
――しかたさまあああ!!なんなのこの人、おとこまえすぎるるるるr!
山岡軍八郎を彷彿とさせるぜ・・・
ついに稲荷坂の祇右衛門の影が・・・
・旧鼠(きゅうそ)
=古鼠の妖怪。猫を食うが、子猫を育てる事もする。
うおおおおおおんん!!ももすけが、ももすけがあああ!
出てるちょろっと出てる!!
と、大興奮したのも束の間、久瀬先生が失踪。おおん。
祇右衛門の悪事をちょくちょく損料屋が知らずに潰してしまっていた為ゑんま屋が狙われる。
撲殺された後、物見櫓に逆さ吊りにされたゑんま屋の手先・辰五郎、おしま、巳之八、そしてゑんま屋の裏稼業とは全く無関係のおちか。
ゑんま屋の仲間はどんどん殺されてゆく。腕の立つあの山崎でさえも殺されてしまう。
囲まれた又市も死を覚悟するが、そこへ現れたまかしょう(御札を売り歩く御行)。
シリーズの最終話にして、はじまりの話。
なんかこの繋がり感がすごいです。
京極作品は別シリーズにも被った登場人物が出てきて、なんというか、世界観のリンクがすごいです。
又市は『嗤う伊右衛門』『覘き小平次』にも出てくるし、何といっても後巷説に登場した人物の子孫が京極堂シリーズにも出てくるところが凄いです。しかも巷説の影響としか思えない性格形成しちゃってるところとか、すごい計算されているんだろうなぁと思う。
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