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ついに見てきましたアンドリュー・ワイエス展。
お父さんが挿絵画家で、お姉さんも義兄さんも息子も画家、他にも作曲家や画商という芸術一家である。才能って遺伝するんやなー・・・
ワイエスの数少ない自画像のひとつ、「幻影」とか長年にわたってモデルにしてきたオルソン家をモティーフにした「クリスティーナの世界」とか、作品から溢れてる生のはかなさや死・廃頽の匂いが迫ってくる感じがする。
特に「クリスティーナの世界」を筆頭に、オルソン家のシリーズは世間に忘れ去られた姉弟がワイエスによって今後何十年何百年も存在や生き様を伝えられてゆくんだなぁと思ったらちょっと泣いた。
このオルソンの家は忘れ去られて風化して朽ちてゆくのを待っているかのような家なんだけど、今は国の指定文化遺産かなんかに登録されている。本来なら誰も見向きもしない古びた家が、姉弟の歴史が、国によって保護されてるって事ですよ、国を動かしたワイエス。すっげ。
創造への道程(みち)と副題されているように、ワイエスの習作から完成までのプロセスが展示されている。
その素描の細かい事!全体はラフに鉛筆を走らせている感じだけどある一点はものすごく細かい。例えば光を受けている椅子だったり家の側面の木目だったり。「クリスティーナの世界」の素描は骨の動きや風の流れなんかががつっときます。お姉さんの肖像の素描は圧巻です。
ワイエスの絵は綺麗というより生きている匂いや付きまとう死の影が前面に押し出されている生きた絵だと思います。なんか単なる表面的なものじゃない。暗い中に強い生命力みたいなものがあって、リアルよりもリアル。茶系の色彩のなかにある青の存在も美しい。テンペラってなにかよく判ってないけど、その繊細さと荒っぽさの表現もパクりたいと思わせるし(まずはテンペラを習得しよう)、水彩は水彩でにじみが美しく、やっぱりカラー絵描けたら楽しかろうと思わせる。
兎に角、ワイエスは観察力と集中力と根気と情熱が人並み以上にあったんだなぁと感じます。先日亡くなったのが惜しまれます。

展示物全部見終わって、出口が見つけられなかったから常設展も見てきたけど、ワイエスの後だったから霞んでみえただよ、普段は好きな墨絵の掛け軸とか(妖怪ものだった)もするっとしか見れなかったし、先進的な抽象画も判らんくてスルーしてしまった。
今日はワイエスにずたぼろに打ちのめされたぜ。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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