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金田一耕介初登場の『本陣殺人事件』と同時期に書かれた作品。
こっちの探偵役は金田一とは正反対の、白髪で、洋装で、マドロス・パイプを愛用する眼光は鋭いが全体的に見ると柔和な印象の中年紳士、由利先生こと由利麟太郎である。
名前だけ聞くとなんとなくEQか誰かの元舞台俳優探偵を思い出す。なんとなく。
この作品は以前書いた『横溝正史読本』で坂口安吾にネタバレされたものである。
犯人知ってるんだけどというなんかむやむやした気持ちで読む。

・蝶々殺人事件
あーーーー!!15頁目で犯人の名前が!うあー、うあー。
マァいいや、動機とかトリックとかはばらされてなかったから。
コントラバス・ケースから出てくる歌劇団団長の死体と薔薇の花びら。被害者が生前、大阪行きの列車に乗る前に楽譜による暗号を受け取っていたという事実から半年前に東京で起きた未解決殺人事件との関連が現れる。犯行現場は東京か大阪か。
というアリバイトリック。
まさか死なんだろうと思っていた使えない男まで殺害されてしまうし、犯人が半端ない衝撃を受けていた画家の服毒自殺の記事だとか色々出てくる。
そんで由利先生が関係者を一室に集めてパイプにひもをひっかけてくるくる捩る。
トリックを見破られ逃げ出そうとする犯人と格闘する新聞記者で由利先生の助手の三津木。
格闘の末犯人の顔が露見する!
・・・あれ。
犯人違う人なんだけど。
あれ・・・??
『横溝正史読本』読み直す。坂口安吾、やっぱり「犯人である志賀は――」とやっている。
・・・さかぐち!!!!!
しかもアリバイトリックにふれていた。犯人バラされてたので思わず見逃していた。
志賀さんはいっさい無実であった。すまん、ずっと犯人と思い込んで読んでいただよ。
衝撃的だったのは由利先生が多分一回り以上年がはなれている娘と結婚していた事である。まさかの展開。
そして続くよ「カルメン殺人事件」

・カルメン殺人事件
蝶々殺人事件の終わりに千恵子がカルメンを演るといっていたのでまた志賀さんとか出てくると思ったら別の劇団の話だった。
こっちはカルメンの上演中にホセが本当にカルメンを殺してしまう、のではなく結婚式に長い間愛人関係を続けていたカルメン役の女優からでかい贈り物が届いて、中を開けるとウェディングドレスを着た女優の死体が出てくる。箱から死体出すの好きだな横溝。
アラフォー女の執念の果ての惨劇であった。
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エグチマサヤ
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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