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そのいちは、『新青年』に発表した作品・エッセイをまとめたもの。

・創作篇


白い浴衣を着た男が人目を忍んで離れの一室へ入っていった。そのすぐ後、白い浴衣を着た男が入ってゆく。
暫くして浴衣の男が裏から出てくる。更に暫くしてまた白い浴衣の男が慌てた様子で裏から出ていく。
二人の男が立ち去ったあと、黒い影が離れへ入っていき、すぐに出てきた。
翌日、その離れで若い女性の扼殺死体が発見される。
前書きを除いて、全て取調書の体裁をとっている。
デビュー作。

童貞
その工場の女工監督は、童貞という噂があった。実際、女工たちが色目を使ったり秋波を送っても何の反応もなかった。
しかし女工監督は、女工の誰かと付き合ってしまうと女工間の関係が悪化し仕事が滞る事を危惧して取り合わないよう努力していたのであった。
ある女工がやってくるまでは…
一読した後は、おんなってこえええ~~と思った。
でも、冷静に考えると、女工監督も復讐されて仕方ないよーな気もする。つまり、女を下に見てて侮ってる感がある。女工が自分に惚れていると自惚れて自分本位な行動に出た事で、復讐心に燃える女工の餌食になった訳で…
変な責任感で女を作らなかった事が仇となったな。しかし自殺するような事だったんか。

閉鎖を命ぜられた妖怪館
妖怪館とは、つまりおばけ屋敷の事。夏から秋にかけて開いていた見世物小屋。
弁護士が妖怪館にはまって毎日のように通っていた。秋になり、妖怪館もあと1週間程となった頃、あるお化けの前で女性が気絶するという出来事を目撃する。
暫くして、若い身元不明の女の飛び降り自殺に巻き込まれて男が死亡する。その男は妖怪館で気絶した女の夫だった。
全編を通して、弁護士から友人に当てた手紙の体裁をとっている。

馬酔木(あせび)と薔薇
???
えーっと…探偵趣味のあるユーモア短編。

空想の果て
空想に生きる男が遭遇した不思議な一夜。その夜から男は空想を捨て、一夜限りの情を交わした顔も判らぬ女を探すようになる。手がかりは、女の指で光っていたダイヤのみ。
ちょっとオチが良く判らんかった以下ネタバレにつき反転↓↓
一人息子が無事、莫大な遺産を継ぐ事に満足しながら死んだ大富豪ってのは空想男の事なの?
読み終えてすぐはそう思ったけど、車にはねられかけて倒れた時の地の文に「男は、死んでいた。」って書いてあるから指輪の持ち主の女の戸籍上の夫が大富豪だとも読めるよね…?
それとも、地の文が嘘ついたの?男は生きていて女が車で運んで主治医に診せて暫くの間生き延びて、色々説明してもらったのちに本当に死んだのか…
私の最終判断は、やっぱりあの時点で空想男は息を引き取り、女は自分の指輪を男から取り上げ息子(空想男の20年前と同じ顔だから、あの晩にできた空想男の息子だろう。しかも女の本当の夫にも似ているのではなかろうか。夫が無精子症かなんかで子が出来ないから夫にソックリな男を探させていた可能性もある)に渡す。見殺しにすると運転手に不審がられるので、しかもなるべく空想男の事は公にしたくないので家に運ばせ主治医に死亡診断書を書かせる。で、死に瀕している夫(このタイミング良く女と関係のある二人の男の死が重なっているのはご都合主義)に遺産相続人の証であるダイヤの指輪を見せる。夫は満足げに息を引き取り、息子が大富豪になる、めでたしめでたし。
と、こんな感じなのですが。
↑↑反転終わり。

一枚の地図(「楠田匡介の悪党振り」第五話)
匡介は妻殺しの罪で裁判にかけられる…カッフェの女給と結婚するため妻殺しを計画し、偶々見付けた首吊り自殺した男に罪を着せた事、さらに四話までの悪党ぶりを絡めつつ、検察側は極刑を求める。
弁護側は逆に、四話までの犯罪は匡介のお人好しさが生んだ出来事であり、妻の方もクラブ通いをしていた事をあげ無罪を主張。
全編検察・弁護側のやりとりを記述した体裁で、匡介のセリフなどはない。
因みに、匡介は無罪となる。

小坂町事件
犯罪実話の話だっけ…あんまり記憶に残ってない…

映画館事故
これもあんまり記憶に残ってない…確か「童貞」と同じく映画館での痴漢行為の話だったような…きおくがー…

長襦袢
夢遊病の妻が井戸に落ちて死んだ。しかも一糸纏わぬ姿で…
当時の警官の乱暴さが解る話。これ、真犯人あいつだったから良いけど、もし冤罪だったら非道い仕打ちだよー。

当選美人の死
夫の出張中に新婚の妻が殺された。
夫婦共に煙草を吸わないが、現場には煙草の吸殻があり、真っ赤な花を付けた仙人掌の絵が飾られていた。
また、妻は殺害された後で結婚式で着た着物に着替えさせられていたのだが、その着物はある雑誌から懸賞で当たったものだった。
この話に出てくる仙人掌の絵について消化不良だったのか、後に「仙人掌(しゃぼてん)の花」のタイトルで短編を発表している。
それよりもラストに書き添えられた「松葉杖」の意味が気になる…え?玄関に杖をついた跡でも残ってたっけ?あれ??

龍吐水(ぽんぷ)の箱
老前科者と元看守の老人が語る、監獄での事件。
なかなか面白い話であった。囚人心理というか、特殊な環境下での心理は興味深いであるよ。

反対尋問
検察(弁護士だったかも)と証人の法定での会話文のみで構成された話。

・評論・随筆篇

冷汗(れいかん)三斗/妻の災難/ペスト・ガラス/ざんげの塔/死体・刃物・猫/屏風の蔭から出てきた男/法廷小景/アンケート
妻の災難は、辺鄙な所に引っ越してきたところ、精神病院から脱走した殺人狂が近くに潜伏していたという実話。死体~は禾太郎が幼い頃聞いた田舎の風習と不思議な出来事。屏風~は、浪花節語りをしていた頃の不思議な出来事。

やまもと・のぎたろう(1889-19531)
兵庫県神戸市生まれ。本名は種太郎。
浪花節語りの事務員や神戸地方裁判所の書記など様々な職業に就く。
『新青年』懸賞に「窓」が当選してデビュー。
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エグチマサヤ
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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