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[創作篇]
・初釜/経済的にかなり切迫しているため、今年は無理だろうと噂されていた青厳堂の初釜に招待された地方検事の相良。常なら五人以上の客を招かぬ青厳堂だったが、今回は二人の上客が加わった。茶道に慣れぬ上客も居る中、茶花では唯一のタブーである金盞花が茶室に活けられていて…
→1960年発表。主人公が検事だからか、このオチでも納得感があるし、読後感も良かった。それにしても相良の部下は優秀だな…一日足らずで見付けちゃうんだもの…
・二枚の納品書/殺された女が靴に隠し持っていた二枚の納品書。雨に濡れて読めない部分もあるが、社名は読み取れたため、二社を訪ねる刑事…
→1963年発表。大貫進名義。一か所、アレッと思うところがあって、前後読み返してもやっぱりアレだから「犯人め語るに落ちたな!」と思ったのに読み進めたら実行犯は違うし刑事もその事には触れてくれなくて「…アレ?」となった。作者の筆が滑ったってやつかな…
・枕頭の青春→1964年発表。大貫進名義。母親に支配され盲従している娘が、母親を自殺させるために一芝居打つ話。母親の造詣が本当に憎らしいし、娘の無抵抗さも苛立つしな上に、オチも救いがなくて、これが「イヤミス」ってやつか…という気持ち。しかし後から思い出すと、最後の一行がドウにもユーモアミステリっぽく感じる…瀬下耽の「やさしい風」もプロバビリティの犯罪をテーマとしていて共通点も(無理矢理だが)マァそこそこあるけど、読後感は真逆だなァって。
・暁の討伐隊→1964年発表。大貫進名義。
・死の配達夫/尾崎静子は、同姓同名の別人宛の書き留めを受け取った。誤配である事に気付いたのは開封し、中を見てからだった。彼女が蓄えてきた貯金と、誤配の通帳の金額を合わせると分譲住宅が購入できると知ると、静子は「尾崎静子」を殺害する決心をした…
→1967年発表。大貫進名義。やたら自意識過剰で厭世的でイヤな女がめちゃくちゃ自己中心的な理由で殺人を犯す話。1989年に二時間サスペンスでドラマ化もされたとか。しかしタイトルの「配達夫」は特に何もしていない…タイトルにする必要あったの??
・破戒→1967年発表。大貫進名義。この人はイヤなやつ書くの上手いなァ…めっちゃ後味悪い話なんだろうなァ…と思いながらしか読めなくなってしまった。期待通りイヤな話だったよ!神父はもの凄い被害者だと思うけど、他人が思ってる(と神父自身が思い込んでいる)「神父としての私」という虚像を壊さないようふるまう姿が鼻につく。その姿勢が破滅の道へと進むしかなくさせている。作者自身の「宗教に対する懐疑的な姿勢」がこうゆうのを書かせたんだろうな。
・姑殺し/夫と別居中の千代子が住むアパートの隣室に越してきた安子とその姑。ある日安子は姑に殺されかける騒ぎを起こした。住民は姑を警察へ突き出せと忠告するが安子は頑として受け入れなかった。その三日後、再び襲われた安子は、反対に姑を殺してしまう…
→1968年発表。大貫進名義。これはなかなか…おっかねえ話。
・誤殺→1968年発表。大貫進名義。自分に恥をかかせた鉄道車掌を殺そうとして別人を殺してしまった男が、五年後に犯行を目撃していた女と再会、口封じの為に無関係な女性を巻き込んで連続殺人をしたやべーやつの話。異常なまでに自意識過剰で被害妄想が強い。因みに、作者が推理小説を読むきっかけとなったのは、この作品で男が鉄道車掌に受けたのと同じ扱いをされた事で「あいつマジ殺す」と思って殺しの勉強の為に読み方始めたんだそうな。その車掌も作中の車掌も名前は「中尾」。作者もやべーやつだった…
・幽鬼→1969年発表。大貫進名義。継子虐めの話とキリスト教への不信感が融合した話。…美加ちゃん、幸せになって…
・舌禍→1971年発表。藤井禮子名義。近所の嫌われ女が殺され、第一発見者の主婦ふたりが犯人を推理する話。マァ、私はもっと早い段階で「見えない人の殺人」だって判ったけどね(無意味なマウント)。
・ガス――恐ろしい隣人達――→1971年発表。大貫進名義。閉めた筈の屋外にあるガスの元栓が開いていたのは近所の誰かの嫌がらせではないかと興信所へやってきた人妻の話。
・狂気の系譜→1972年発表。大貫進名義。「幽鬼」と同じテーマだが、結果は真逆…恐ろしい娘じゃ…
・盲点→1972年発表。大貫進名義。嫉妬からママ友に硫酸ぶっかけに行く話。子ども可哀そう…
・帰館/財産目当てに伯父を殺そうと毒入りカプセルを薬瓶に混ぜて旅立った甥。二ケ月後に帰国すると、思った通り伯父は死んだという。その夜、死んだ筈の伯父が姿を現し…
→1973年発表。大貫進名義。
・籠の鳥/夫の海外留学へついていく決心をした絹子。それと同時期に始まった団地住人への悪質ないたずら電話。犯人の心当たりがあるという主婦は、二ケ月以内に出ていけば警察沙汰にしないと集会の場で言い放った。絹子は犯人の濡れ衣を着せられるのを恐れて夫についていくのを諦めたが…
→1973年発表。大貫進名義。醜い嫉妬ーーーー!だが、珍しく救いのあるオチに。
・魔女→1973年発表。大貫進名義。やべーやつ。
・歪んだ殺意→1973年発表。大貫進名義。やべーやつ。プライドが高過ぎて他人の人生を破壊する系女。
・赤い靴→1973年発表。大貫進名義。父娘は完全に悪人だけど、被害者の「弱者を助けてやってる私は正しい」という(多分無意識の)優越感が窺えるので、自業自得と感じてしまう。他人や自分の娘の忠告を受け入れず、己が正義という姿勢だったんだから同情できない。
・善意の牙→1974年発表。大貫進名義。美しい悠子と醜い節子は仲の良い従姉妹だった。悠子が不幸な事故に遭ってからは節子が彼女の世話をし、それは美談として語られるが…
・五年目の報復→1974年発表。大貫進名義。「誤殺」と同じく横暴な車掌を殺す話。車掌はやっぱり「中尾」である。むかつくから二度殺したった系か。

[随筆篇]
受賞の言葉(「枕頭の青春」)/会員消息欄(1)/受賞のことば(「死の配達夫」)/会員消息欄(2)/推理小説との出合い/子供の目/新年葉書随想/戌午随想/九州男ふたり/アンケート

ふじい・れいこ(1935-1986)
福岡県生まれ。本名・禮子(旧姓・岡部)。筆名・大貫進(しん)。
県立福岡中央高等学校卒業後、クリスチャンと見合い結婚して洗礼を受ける。
1960年、『宝石』主催の第1回宝石賞に「初釜」を応募し、翌年佳作入選。63年、大貫進名義で第2回宝石短篇賞に「二枚の納品書」を応募。64年、第3回宝石短篇賞に「枕頭の青春」を応募し一等入選。67年「死の配達夫」が第2回双葉推理に入選する。
86年死去。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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