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患者を安楽死させ有罪となった医師、ドゥーカ・ランベルティ。三年の刑期を終えて医師免許を剥奪されていた彼が得た仕事は、アウセリ技師の息子・ダヴィデのアルコール中毒を治療する事だった。
その夜、ダヴィデは手首を切る。ドゥーカはダヴィデのアルコール依存と自殺未遂の裏には法に触れる事があると感じとる。ダヴィデは、去年女を殺したと告白する…


1966年発表。イタリアン・ノワールの父と呼ばれる作者晩年の作品。
ダヴィデの女殺しは、「自分が彼女を放置しなかったら自殺しなかったかも知れない、だから自分が殺したも同然」という罪悪感によるものだとすぐに判明。しかし彼女の忘れ物の中に犯罪に巻き込まれたのではないかという疑惑を起こさせるものが混じっていた事から、知り合いの警察官を巻き込んで捜索を始める。
その過程で出会ったのが、被害者の友人でヤバイバイトの話を聞いていたリヴィアという女性。彼女はドゥーカの裁判を傍聴し、彼は無実(=安楽死したい人がいるなら安楽死させてあげれば良いじゃない派)だと信じたり、実験的に売春をしてみたりなかなか癖が強いキャラ。
事件の方は、当時のイタリアの暗黒面が描かれていて興味深い。

以下ネタバレ感想↓↓


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基本は宮野叢子名義。
[創作篇]
・令嬢殺人事件→発表年不明。勝気な美少女とドエムな美少年の組み合わせは悲劇しか生まない。谷崎み…
・いたずら小僧→1950年発表。あの証拠で犯人自供に追い込めるのかな…?ちょっと弱い気もするけど…
・紫苑屋敷の謎/志乃の祖母・イチは盆の宵に昔仕えていた紫苑屋敷へ長い祈祷を捧げた後、屋敷の主人・秋場家の墓参りに行くのが例年の習わしになっている。そして、秋場家の墓参りが済むと、秋場家へ強盗に入り若い主人に打ち殺された男の墓に詣でるのだった。志乃はふいに、その強盗犯が祖母の知る者ではないのかと思った。それを祖母に問うと、誰にも言わなかった紫苑屋敷の秘密を語りだした…
→1950年発表。遠い過去の因習と好奇心がもたらした悲劇。
・夢の中の顔/姉からの薦めで療養にやってきた山の宿。そこは十七年前、姉夫婦が宿泊し、夫が事故死した場所だった。恐ろしい夢を見てうなされる妻を姉に託してやって来た事を気にしながら、十七年前の事故について詳細を聞いてしまった弟は…
→1958年発表。書簡体。結末は、マァ、判っちゃうよね。
・銀杏屋敷の秘密/永らく空き家だった銀杏屋敷に借り手がついた。千代の親友・光江が若夫人の小間使いとして雇われたが、「あの家は恐い」と言い残し姿を消した。屋敷では男と駆け落ちしたと説明したが、光江の性格を知る村人たちは信じなかった。そして、今度は千代が若夫人に仕える事になり、光江の行方と銀杏屋敷の秘密を探ろうとする…
→1953年発表。狂気しかない。



・考へる蛇→1951年発表。男ってのは、バカだよねェ…
・猫と鏡→1951年発表。タイトルの通り。ショートショート。
・愛憎の倫理→1951年発表。戦死した夫の弟に思慕を寄せる女と、妻と間男を殺した男の愛という憎悪の話。弟巻き込まれ。
・ナフタリン→1951年発表。美少年にご用心。
・神の裁き/映画を観に行く約束をしていたのに現れない友人・弓子の元を訪れた時子。弓子の隣室に住む光枝が管理人に鍵を開けさせると、弓子と母親は服毒自殺をして冷たくなっていた。光枝の様子から、二人が何故死んだのかを知っているのではないかと感じた時子は、後日光枝の元を訪れ…
→1952年発表。必殺仕置き人。
・相剋の図絵→1952年発表。死んだ父親に激似な息子、親代わりの叔母と嫁の間で揺れるの巻。男ってのは、ほんとバカだよねェ…
・悪魔の魂→1952年発表。思春期の夢見がちボーイ、兄夫婦を神聖視し過ぎて破滅させるの巻。
・ヘリオトロープ→1953年発表。かつて愛した女と再会した男。嫉妬が深すぎる死にかけ妻による生霊ヤベー。
・二冊のノート→1953年発表。こわい。
・悪魔の瞳→1954年発表。夫を殺した妻の独白。どんな女性もじっと見つめれば落とせるという厨二設定の眼を持つ夫。
・廃園の扉→1954年発表。万事につけてライバルだった女と寝た夫を恨んで家出した妻。寄りを戻させようとする夫の弟。だが、夫が殺され弟が逮捕されてしまい…
・手紙→1958年発表。一通の手紙を巡り、運命を狂わされた三人の男女の話。息子いけすかねーガキだな…
・愛憎の果て→1960年発表。宮野得意の両極に烈しい性格の女子の話。

[随筆篇]
アンケート/孫の言葉/姉女房/ひとりごと/私より長生きを/某月某日
→「孫の言葉」は還暦乱歩へのメッセージ、「私より長生きを」は師事した木々へのメッセージである。
少女を絞殺し、喉にハサミを突き刺す連続殺人犯――通称ハサミ男。
わたしは、次の犠牲者に選んだ少女の死体を発見する。彼女は絞殺され、喉にハサミを突き刺されており、ハサミ男の仕業である事は一目瞭然だった。しかしわたし――本物のハサミ男である私は彼女を殺してはいない…

1999年発表。
自殺未遂を起こす度に現れる〈医師〉に唆されハサミ男の模倣犯を探すわたしと、ハサミ男を捜査する刑事たちのパートで構成されている。

以下ネタバレ感想。


[創作篇]
・小盗児市場(しょうとるいちば)の殺人→1933年発表。自殺に見せかけて妻を殺した男が、それを目撃していた男から脅迫され、一度は満州へ逃れるが脅迫者に再会した為殺害する話。「脅迫してくるやつが悪い。だから殺す」って…元はお前が嫁殺した(これも浮気してると思い込んだ末の凶行)のが悪いんじゃん…
・毒薬自殺綺譚――薬学教室のノオトから/病を得、恋に破れ自殺しかないと嘆いていた友人の山田。彼が服毒自殺したと電報を受けた医学士の相良は、その自殺を不思議に思った。自殺する理由は多々あれど、それらは自殺の理由とは成り得ないのだ…
→1933年発表。自殺理由満載の友人の自殺を疑問に思うのは何故か?てか薬を渡すときにちゃんと注意しとけよお…
・拾つた拳銃(ピストル)→1934年発表。満州事変後、特ダネを求めて戦線を駆ける記者たち。護身用にと拳銃を拾ったNの、一夜の冒険。コント。
・カジノの殺人事件→1934年発表。室内には死体と犯人。しかし犯人と思しき青年は犯行を認めつつも供述には曖昧なところもあり…若き紳士H氏によって真実が明かされる。警察、仕事しろ。
・復讐綺譚→1935年発表。「憎悪、憤怒ノ感情昂マリシ」血を「別人ノ血液」に混ぜると死ぬ、という医学雑誌の記事を読んだ男が、恋人を横取りした男に復讐する話。登場人物みんな嫌な感じ。
・歌姫失踪事件/当時世間を賑わせていた怪盗「青髭」が歌姫の黒沢恵子を走行中の車中から誘拐した。記者をしていた私は古い友人で南米に移住し、偶々帰国していた峰島に事件解決を依頼した…
→1937年発表。消失トリックは判らんかったけど(あの説明ではそんな事する時間的余裕があったのかも疑問…)失踪事件の犯人及び動機はすぐに判っちゃうし、青髭の正体も判り易い。でもマァ、自殺者が出るとは思わなんだよ、そんな簡単に自殺するなよ。
・タンヂーの口紅→1938年発表。一夜のアバンチュール。



・難破船→1930年発表。難破船上の一幕。生への執着する者、死を受け入れる者、恐怖から正気を失った者…
・三吉積罪物語→1930年発表。犯罪から足を洗った三吉が、ひょんな事から殺人を繰り返す話。自分勝手なやつだなァ…
・港の抒情詩→1932年発表。映画化もされたという恋愛小説。船で死んだ友人の恋人に恋する男、亡き恋人の友人を愛するようになった女。お節介焼きな友人がキャバレーの女を紹介してややこしくなる話。なんかヤな感じだったまゆみが最後で良い人だった…
・明けゆく満蒙→1932年発表。中絶作品。軍事探偵もの。

[随筆篇]
文科教室/探偵小説と私/馬賊・義賊・その他/亡き父を語る/大連と探偵小説/書かない弁/ふるさと/書かれざる傑作
→「馬賊・~」は満州の犯罪実話。「ふるさと」は十歳まで暮らした浜松の情景。
[創作篇]
・痴人の宴→1951年発表。『宝石』に「犯人当て探偵小説」として掲載されデビュー。イキナリ神津恭介の名が出てきたから動揺して犯当てどころじゃなかった…何故恭介が??と思ったら、高木彬光の犯人当てに二年連続で正解したからっぽい。その実績を買われて翌年の犯人当て出題者にも選ばれたので、縁を感じたのかもしれない。知らんけど。
・ヴィナスの丘→1951年発表。スケッチ旅行に出ている間に妻を殺された画家の話。「痴人の宴」とは作風がすごく違う。こうゆう、逸脱した心理描写も面白い。
・遊園地の事件→1951年発表。NHKラジオドラマ用に書き下ろされた作品。ジュブナイル作品かと思った。遊園地で子どもが迷子になる話。迷子の二郎ちゃんは一体どこにいるのか…!?
・肌の一夜→1952年発表。「痴人の宴」で探偵役を務めた園牧雄が再登場。自分が引き合わせてしまったが為に、女にだらしのない男と令嬢が婚約してしまった事に後悔している画家が、激高してクソ男を殴りつける。クソ男はその後死亡し、動揺した画家は犯行を目撃したと思われる女を探し出して…
・死は恋のごとく→1952年発表。父から猛反対を受けた恋の行方…マァ、反対理由はすぐに判っちゃうよね。
・ダイヤの指輪→1952年発表。これもNHKラジオドラマ。人物表にある「直木勝子」って誰。本編には登場せず、最後に視聴者に犯人は誰かと問いかけてるから、アナウンサーなのかな?
・エロスの悲歌→1952年発表。自称フランス人とのハーフ男とその生徒姉弟との三角関係やら未亡人と亡夫の友人との怪しい関係やら弟妹間の近親相姦やらがてんこ盛りな中、弟が殺され園が登場。意外な犯人の、意外な正体。
・宝石殺人事件→1952年発表。園牧雄シリーズ。ダイヤ紛失事件と殺人事件。ダイヤ紛失トリックは簡単に判るけど、殺人の方の犯人…この衝動性は現代にも通用するというか…「そんな事で殺しちゃうの?!」感が、何か現代的。
・美悪の果→1954年発表。園の無職時代の話。列車への飛び込み自殺現場に遭遇した園。しかも自殺者は園の見知った娘だった…女を騙して生活してる男が、こんな簡単に自殺に追い込まれるものかしら…?というかこんな男が死者を怖れ恐怖に苛まれたりするもんだろうか…
・死人の座/献金疑獄の渦中にある代議士が失踪し、数日後腐乱死体となって発見された。彼の死に疑問を持った園は、ある男の足取りを辿る…
→1954年発表。園、デート中に腐乱死体を見付けるの巻。死体の隠し場所は、マァ判りやすいよ。
・白骨塔→1954年発表。SF作品。老いらくの恋の果て。

[評論・随筆篇]
探偵小説第三芸術論/知性と情熱/マンスリー・ガヴェル――月々の新刊・新作紹介――/二十世紀英米文学と探偵小説/文学のエロティシズム/犯人当て解答を選んで/とりとめもない読書/スリラーの浪漫性/「文芸」特集推理小説を推理する/作者からの挨拶/悟性と感応の天才/ヴァン・ダインの妙味/アンケート

ちよ・ゆうぞう(1912-1986)
大阪府生まれ。本名・鈴木幸夫。
早稲田大学文学部英文科卒業。旧制大学院修了。1939年早稲田大学理工学部講師就任。
47年、探偵作家クラブの正会員となる。新年恒例イベントとして行われた犯人当てゲームで二年連続して正解した事から、51年の犯人当てゲーム用に「痴人の宴」を書き下ろす。それが『宝石』に掲載されデビューする。ラジオ番組の原作者としても活躍し、55年以降は海外ミステリの翻訳紹介やミステリ関係の評論やエッセイをまとめた『英米の推理作家たち』を鈴木名義で刊行。
57年に結成されたワセダ・ミステリ・クラブの初代会長に就任し、定年退職する82年まで務めた。86年死去。87年、遺稿集『道草ばなし』刊行。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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