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開いてびっくり、二段組。
わたくし、二段組の小説が苦手なんだよ…
右から左まで読みきって、また右下へ戻らなきゃいけないって、何か癪じゃないですか??
マァ読みますけどね、へいへい。

・創作篇
十時/ピストル強盗/スヰートピー/人肉の腸詰(「楠田匡介の悪党振り」第三話)/凍るアラベスク/恋人を食ふ/本牧のヴイナス/壜から出た手紙/夜曲/高い夜空/林檎から出た紙片/アヴェ・マリア/深夜の音楽葬/黒い薔薇/密室殺人/黄昏の花嫁/カフエ奇談/戦傷兵の密書/赤い眼鏡の世界/リラの香のする手紙
花が好き、というだけあって、随所に花の名前が出ていて、登場する女性の、幻想性や神秘性を強調している。
初期の方は、夢野久作に現実感を追加した感じに思いました。人肉の腸詰とか壜から出た手紙とか、久作にもあるよなタイトル。
(と、思ったら夢野久作「人間腸詰」より10年先に発表されていた!
うーむ、涙香から新青年作家までの年譜が必要だな…全然作家の活動時期が判らん。誰か作ってないか)
「本牧のヴイナス」はホラーだし、「スヰートピー」と「高い夜空」は同じオチだし…高い所から落ちるオチが多い。
「密室殺人」トリックに ???ちょっと仕組みが良く判らない。
「リラの香のする手紙」良いですね、ストランド誌というホームズとかが掲載されてた雑誌に纏わる幻想小説。
この雑誌、60年以上ずうっとロンドンのストランドという街の絵が表紙だったんだって。
幻想的でもあり、作家自身の半生が下地になっているので私小説のようにも受け取れる、不思議な読後感。
「アヴェ・マリア」は泣きしました。
母の秘密と、出生の秘密を知ってしまった主人公が、生まれながらに罪人の血が流れていると知り(しかも犯罪者である父親と同じ行動をしていた己の罪深さ!)、餓死しても構わないから、母の子でありたいと願うところが…!
盗みと殺人を犯した主人公は、法律的には罪人だけど、最期に父と同じ罪を犯そうとしていた事への恐怖心と、暴力によって生まれた自分を愛してくれた母親への思いによって宗教的には救われたんじゃないかしら。
最後の奇跡の描写とか、鳥肌ものでした。単に感化され易いだけなのか??
しかしその後の「深夜の音楽葬」でいっきに人間不信に陥れられました。もー…

・評論・随筆篇
翻訳の難しさとか、良い翻訳のこころえとか、他作家の作品批評など。
甲賀三郎贔屓だったのかな??と思う位、甲賀氏に関しては絶賛と言って良い感じの批評。
あとは小栗虫太郎良く判らんけどすごいみたいだから頑張りゃー(名古屋弁)という感じですか…
確かに虫太郎は「人魚謎お岩殺し」とか判らんかったもんなー、人魚がなんだったのかも判らんままだし…例の紋章も…足??見えんがや…と思わず名古屋弁で疑問を呈してしまったぜ。
そんでもその才能は認めていたよう。日本に彼だけで良いって書いてあったけど。マァ虫太郎的作家がわんさかおったら探偵小説の定義が崩壊する^^^
で、結構辛口毒舌な批評をしていた胡鉄梅の正体を暴け!と色んな作家が犯人当てクイズみたく推理しておったらしい。
大下うだるは別の人を指摘していたけど、虫太郎は見事に言い当てたそうな。
ただ、胡鉄梅という名義は複数人が関わっていた?と思われていて、妹尾アキ夫はその一人だと指摘されている。
何か面白いなー、覆面批評家はたくさんいる!

せのお・あきお(1892-1962)
岡山県津山市生まれ。本名は韶夫。別名・胡鉄梅(こてつばい。『新青年』の月評)、小原俊一(『宝石』の月評)
本人は音楽家になりたかったが、父親の反対で早稲田大学英文科に入学。卒業後、英米中心の探偵小説の翻訳を手がける。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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