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落語だけど、探偵趣味のある創作落語。
口演されたものを記者が速記で書いたものを新聞に連載したところ大評判だったとの事。
因みに、記録用に口演したものは、実際の寄席で口演したものとはちょっと違うらしい。
マァ、嫌がらせで演目を先に演られないように創作したのが始まりなんだから、同じものを速記されちゃまずい訳だけど。

・創作篇
西洋人情話英国孝子ジョージスミス之伝
→これはチャールズ・リードという作家の『Hard Cash』を翻案したものだそうです。
日本人にも馴染み易いように、人物名は日本人の名前に、地名も日本に置き換えて口演されたとの事。
この配慮は、のちに涙香が翻案作品を発表する時に手本にしたのではないか??とも考えられると解題に記されている。うーむ、奥深い!
大金を持ってやってきた商人を宿の主人が殺して横領、宿は繁盛していくが殺された商人の家族は没落、母は失明寸前、姉は武家の誇りを持って身売りだけはしないが弟の稼ぎだけでは明日の暮らしすら不安という状況に。
昔商人に恩を受けたという大工とひょんな事から再開し、同情した大工が所謂探偵をして事件の真相を探り出すという筋。
商人を殺した宿屋の主人は悪人だけど、その動機が実は…というのでちょっと見直す。
一番の悪人は又作とお虎婆さんです。

侠骨今に馨(かんばし)く賊胆猶ほ腥(なまぐさ)し松の操美人の生埋(いきうめ)
→夫の悪事を目撃してしまい、生きたまま棺桶に入れられ埋められた妻を救うという話の翻案。
生き埋め、とあるけど、実際は棺桶に入れられてお寺の地下に閉じ込められるだけである。
最後に、夫の悪事を知りながらも夫を守るために自害しようとした妻の思いを知った夫は己の罪を悔い切腹して大団円。

欧州小説黄薔薇(こうしゅうび)
→悪女の話だよーーこわやこわや。
ところで、最後に沸いて出た63人の書生達は一体何者だったんだろう…???
一箇所にわらわら増殖する63人の書生の図が一番恐いかも。

雨夜の引窓
→長編の冒頭部分、らしい。三悪人って書いてあるのに一人しか出てこないから、あれ??てなる。

指物師名人長二
→これ面白いよー、落語で聞いてみたい!
冒頭で、いかに長二が優れた職人であるか、またどんな心根の持ち主かを説明し、次に不幸な生い立ちが判明する、さらに自分を捨てた親と再会、そして殺害という流れ。
長二の技を惜しむ人々は、何とかして彼を生かしておきたいのだけど、本人は実の親を殺したのだから死罪にしろと聞かない。
困った奉行はなんとかして長二を助けようと被害者の過去を洗うのである。ううん、探偵趣味ィ~~。
で、被害者の意外な過去が判り、名奉行のお裁きで長二は親殺しの罪から一転、仇討ちを成したとして褒美を頂く。更に大身代の正式な跡取りとなり公儀から指物御用達を仰せ付けられ大出世。
すごいどんでんがえしだなー。

・資料篇
「名人長次」になる迄―翻案の怪路
→馬場狐蝶が「円朝の『名人長次』の元ネタの出所が判ったよ!」という話である。
因みに、長「次」と表記されているのは誤植ではなく、歌舞伎で演じられるようになってからの表記が「長次」になったので、それを踏襲しての事だと思われる。らしい。

親殺しの話
→「名人長次」の元ネタである、モーパッサンの『Un parricide』をフランス語の先生が話したのを有島幸子という方がメモったもの。ややこしいなぁ。
男女の遺体が発見され、鋭利な刃物で刺し殺されたものだと判る。のちに指物師が自首してきて裁判が開かれる。腕の良い職人だので処刑されるのを惜しんだ弁護士が「被告人は俄かに発狂して殺してしまった」と刑事責任能力が無い事を主張。
しかし指物師は「あれは私を捨てた両親である。いつくしむべきはずの子どもを捨てた非道の親に対して復讐をしたのだ。処刑されるのが当然の我が命、発狂したとして罪を逃れさせられるなんて心外だ」と全てを告白する。
さて、裁判長はこの可哀相な指物師にどのような判決を下すのだろう。
という話。え?結果は??指物師はドウなっちゃうの??と、なんとも頼りない終わり方である。
翻案の「長二」のが随分探偵趣味が出ていて面白かった。

さんゆうてい・えんちょう(1839-1900)
江戸生まれ。本名は出淵次郎吉
父は音曲師の橘屋円太郎で、1845年に橘屋小円太を名乗り6歳で初舞台を踏む。
47年、父の師匠である二代目三遊亭円生に内弟子として入門、55年に円朝と改名し真打になる。
しかしあまりの巧さに嫉妬され、円朝が演ずる演目を円生らが先に演じるという妨害を受ける。
そのため誰も演じる事の出来ない創作落語を口演するようになる。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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