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[創作篇]
・解剖された花嫁:結婚した夜急死した花嫁を解剖した大隅博士が自殺した理由は…
→デビュー作。未知の作家だし、二段組だしで借りるの躊躇ってたけど、このタイトルで読むの決めたんや…不木っぽかったもので…

・狐霊:一年振りに東京へ帰ってきた船長の金山は、妻の要望で買い物に出掛け、銀狐の毛皮をせがまれた。金山は865円もするので渋っていたが、尻尾に黒い斑点があるのを見ると進物用に購入し、妻には40円級の栗鼠皮を買ってやった。怒る妻に金山は、銀狐の毛皮の飼い主だった沖田潜水士の妻・葉子が殺された話を聞かせる…
→海中世界の表現が凄い。「凍るアラベスク」思い出した。あと、空の世界だけど、ドイルの恐怖短編(タイトル忘れ)思い出した。

・地獄絵:炭鉱主の妻が誘拐され、あとを追った仲間二人が殺害された。採掘はストライキ中だが、先代に恩のある採掘現場のリーダーは仲間の復讐をする為に誘拐犯を探し出す事に…
→赤沼三郎の父親が炭鉱を持っていたから一度は題材にしたいと思っていたネタらしい。先に読んだ大阪圭吉の「鉱鬼」を思い出してしまった。

・鉛毒を警告する男:先日脳挫傷で死んだ青野は、私が殺した――手紙の送り主・猪野はいかにして隣室から青野を殺害したのか…
→これ、現代社会でやったら名誉毀損とかその他諸々余罪がついてくるやつやで…

・戦雲:上海からの引揚げ船に、兄の遺骨と共に乗った奈美。兄の沢野健と友人・木山浩二は日本を飛び出しスペンサー率いる国際鳥人団でショーに出ていた。沢野は小型飛行機での空中乗移りに失敗し、転落死したのだが…
→スパイ物。

・髑髏譜:メゾ・ソプラノ歌手が医師の息子兄弟と共に百舌鳥巌で無残な死体となって発見された。ホテルの支配人は、彼女をめぐって三人の男が闘争した果てだと言い、彼女の伴奏者を疑った。伴奏者は犯行を否認し、弟の死体のポケットに入っていたという三通の手紙から真相を知ったと語る…
→虚栄心というか、利己的な妄念に巻き込まれた人が気の毒。

・寝台:浮気した妻を無言で責め続けていた画家。ある日いつもの癖で絵筆の穂先を唇に含んだところ、異様な金属臭がした。妻によって食事や飲み物、絵の具を溶く水にまで水銀を微量ずつ盛られていた事に気付いたが症状が悪化し寝付いたきりになってしまった。そんな画家から仲間の元に妻を殺したという手紙が届いた。衰弱した彼がいかにして妻を殺したというのだろうか…
→バックグラウンドに ひえー てなった。あなおそろしや…

・不死身:病巣や自身の老いた器官と健康な臓器を取り替えることで不老不死を得たと言う遠矢博士。博士が高須脳病院にいると知った私は、博士の自叙伝を読ませてもらう事になり…

・幽閉夫人:高須脳病院に理学博士の夫人が入院していると聞いた私。夫人に直接会って話を聞くと、彼女の夫には盗癖があるのだと言う…

・双面身:高須脳病院の十五号室に一年前から入院しているのはジキル博士を自称する大学生だった。彼は殺人を犯し、精神鑑定の結果、兇暴性二重人格者として入院させられたのだが、自分は人殺しなどしていないと言う…
→高須脳病院の患者シリーズ。患者の話を鵜呑みにしちゃう「私」は院長の友人らしいけど、本当は入院患者なんじゃないかと疑ってしまう…しかし「私」の“本当は正気なのに誤って狂人と見做してるのではないか”ってゆうニュアンスの言葉は怖いよね(高木彬光の某長編思い出しながら)

・彼氏の傑作:天才作家を自称する加茂から旅に出る前にパーティを開き、その場で借金を返済したいという手紙を受け取った山路。加茂は昔から虚言癖がある為、彼から招待状を受け取った友人達と加茂の話は本当なのだろうかと議論になる。しかしパーティの当日、本当にホテルで豪華な食事会が開かれ、着飾った加茂が現れる…
→嘘の代償。

・天網恢々:金持ちの家で家政婦をしている女とつるんで強盗を働いている男。主人が近々出張で家を開けるので、通りから良く見えるバルコニーにハンカチを巻いて主人の不在を合図する事にした。出張前日、女は「明日決行」の合図をバルコニーに残したが…
→予想外の展開。しかし男が恨めしそうにしながらも女の事は黙ってたところが男気を感じるね。

・霜夜の懺悔:「伯父を殺した」と自首してきた男。事件発覚前にも関わらず自首してきた意図が判らず、刑事部長が訳を尋ねると、男は「殺した伯父が死んじゃいないのです」と言い出した…
→生き返った死体というホラーかと思いきや…

・林檎と手風琴(アコーディオン)師:アコーディオンを演奏し酒場から酒場へ渡り歩く薄倖な混血児・ベルチロン。生まれながらにして両親の顔を知らずに育った由利は彼に同情し、客のいなくなった店へ呼び入れて客が残した煙草や飲み物を与えていた。由利の親切が身にしみたベルチロンは、由利に愛人と別れて一緒になってくれるように頼むが、由利の愛人・村越は激しい気性の持ち主で素直に別れてくれそうにもなく、寧ろベルチロンを殺しかねないと案じた由利は彼に諦めるよう諭すが…
→おお、このトリックこの人も書いてたのか!真相は、知らぬが仏じゃな…

・夜の虹:夜釣りに出掛けた男が、沈没船で生活する老人と出会い…
→戦後、最初に書かれた作品。ちょっと不思議な話。

・天国:ジュリィという名の犬と仲の良い浮浪者。いつしか彼はジュリィの飼い主の夫人と寄り添い、語り合う事を願うようになった。ある日、ついに夫人から声を掛けられ、家に招き入れられるようになった…
→エッ??アッ、ドッペルゲンガーってこと??ゆうたいりだつ?? ???

・お夏の死:千人に一人も信じてはくれないだろうが、それでも私はお夏の死について書かねばならない…
→被爆した恋人が小さくなった話。海野十三的SFだなァ。「翡翠湖~」執筆後SF作品書いたそうだから、この頃からSF書きたかったのかな~…

・楽園悲歌(パラダイスエレジィ):世の中に辟易している男はいっそ百年後に行ってしまいたいと漏らす。冷凍保存して百年後に解凍してやろうかと友人の科学者に進められ、ついに冷凍される事になる。再び目覚めると、そこは百年後の世界だった…
→海野的SF。かと思いきや…ほほえましいオチで。

・目撃者:牛泥棒を正当防衛で殺してしまった気の弱い男。殺した相手は村中の爪弾き者で、しかも村人達は皆出払っていたのを幸いに、自分の土地である山林に埋めてしまった。しかし良心の呵責に耐えられず犯行を自供するが誰も信じてはくれなかった。仕方なく死体を埋めた場所へ駐在を連れて行き掘り返すが死体は消失していた…
→良かれと思ってした事が裏目に出て起きた悲劇。

・まぼろし夫人:音楽家の自殺の真相を知る為、一番親しくしていた友人の元を尋ねると、どう説明したら良いか判らないから、自殺へ至った経緯を認めた手紙を読むよう渡される。そこには人妻を愛してしまった音楽家の苦悩が綴られていて…
→ちょっと「天国」に似た話。

・密室のロミオ:人妻との恋に悩む奏者をけしかけた指揮者。しかし詳しい話を聞くと、彼の不倫相手は自分の妻のような気がしてならない…
→復讐するものとされるものの罠の仕掛け合い。そしてだれもいなくなる…

・やどりかずら:自分の意思とは無関係に右手が盗みを働くと言い張る画家。怪我の為右肘から切断する事になったが…
→罪を免れる為の画家の作り話かと思いきや???乱歩っぽい話だなァ。

・人面師梅朱芳(じんめんしばいしゅほう):特殊な樹脂を用い、別人の顔に仕立て上げる事が出来る男から手紙が届く。彼はあらゆる有名人の男の顔を他人に施し、有閑マダム達に享楽を与える秘密倶楽部に雇われていた。しかしある男が他人になりすましたまま姿を消してしまった。その男に施した顔が手紙を受け取った女性の夫である小説家だと言う…
→おおおおおそろしき復讐や。

・日輪荘の女:幾百幾千もの日輪草が咲く事から「日輪荘」と呼ばれる小田切アパート。しかし日輪の種目当てに夥しい鼠がアパートを荒らすので住民達は日輪草を引っこ抜き芋畑にしてしまった。アパートに住む大山は、妻を失いやもめ暮らしをしていたが再婚する気配は無い。会社が潰れ夜警に採用された大山が不在の夜間だけ部屋を未亡人に貸してもよいかと大家の小田切老人は持ちかける。未亡人が越してきて、顔も知らない彼女に好意を持つようになった大山だったが、ある日男からの手紙が届いたことで彼女に対する不審が募り…
→小田切のもくろみはすぐに判ったけど、こんな穏やかならざる展開になるとは…この話、好き。

・翡翠湖の悲劇:蛭の研究者・清水博士の若く美しい後妻をモデルに翡翠湖を描きたいと申し出たフランス帰りの画家・黒田。博士の息子・一也は五歳しか違わない義母が黒田と戯れているのが面白くない。二人の仲の事で父子が口論した翌日、博士は蛭に血を吸われ絶命しているのが発見された。義母が犯人である確証を得た一也は煩悶し…
→一途というか、純情というか、一也が世間知らずで刷り込まれ易いが為に起きる死の連鎖…そして一転二転する真相。それぞれ皆バカだなーと思ってしまったので誰にも感情移入出来なかったけど、博士は気の毒だと思った。


[随筆篇]
思ひ出すことども/探偵と科学小説/キャメルと馬刀/「扉」海底トンネルをくぐる/聖ミシエル号のごとく/アンケート

あかぬま・さぶろう(1909-??)
福岡県生まれ。本名・権藤実。九州帝国大学農学部卒。1933年『大衆文芸』募集の選外佳作に「解剖された花嫁」が残りデビュー。
1938年、春秋社主催の長編探偵小説懸賞に「悪魔黙示録」を投稿、受賞するが公刊はされず、大下宇陀児の推薦にて枚数を約半分に減らしたものが『新青年』で掲載された。
1944年、権藤名義で発表した『兵営の記録』で第4回野間文芸奨励賞受賞。1950年の「翡翠湖の悲劇」以降探偵小説から離れた。
1994年、自伝的作品集『夢法師』を自費出版。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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