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[創作篇]
・跳び込んで来た男:俳優・伊沢の家に綺窗(まど)から跳び込んで来た男。男の様子がただならぬ――非常に怯えていた――事に気付いた伊沢は、男に何があったのかを聞いた。あぶれ職人に見える男は木村と名乗り、今し方自身に起きた恐ろしい出来事を語りだした…
→これ寓話や。

・月下の亡霊:画家の松本は散歩の途中で見付けた空き屋敷を気に入り、番人に売ってくれるよう頼むが、無愛想な青年は「ここは幽霊屋敷だ」と言う。幽霊が出ると言う部屋に案内され、この屋敷で何が起きたのか詳細が書かれているという当時の主人の日記を借りて帰宅した。日記には殺人の告白が書かれていて…
→幽霊の正体は在り来たりだけど、中々面白かった。番人、良い味出してる。

・試胆会奇話――疑問符くらぶ:怪談好きが集まって怪談話に花を咲かせた後に行った試胆会で起きた話…
→真相は有耶無耶なオチ。競作企画の一遍らしい。

・地球交響楽:音楽好きの外国人が「人間を音に代えた」というレコード…
→〆のコメントが…うん…。SF的。

・守宮の眼:恋人の青沼に捨てられ惨めに死んでいった姉の復讐の為、妹の与志枝は青沼に接近した。だが青沼と過ごす内に相反する思いに悩まされる。そしてついに男を殺すか、男のものになるかを選ぶ時が来た…
→「青斑猿のたたり」「鋭利な歯か牙に咽喉を抉られ死んだ姦婦」とか、装飾が効いてる。ちょっと探偵小説とは言い難いけど、結構好き。

・路地の端(はず)れ:人を殺して逃げ、海に飛び込もうとする夢を続けて六度も見た阿部は、自身の境遇の所為もあってついに正気を失ってしまった。そしてとうとう売春婦・たか子の首を絞めて…
→ちょっともう、狂人利用し過ぎ。この後の作品にも狂人出てくるから「どんなに理屈つかない話でも狂人だったから」で済まそうとしてる感じがしていい加減飽きる。面白い作品もあるのに、何にでも狂人出してお茶を濁すの、いくない。

・幻想の魔薬:知り合いの藤原博士の精神病院が脱走しようとした患者の放火によって、三棟のうち一棟が焼失してしまった。この家事で焼死した唯一の患者・柴原は、頭に短く切った銛を括りつけ、同僚の春日を突き殺した男だった。その話に興味を持った小説家の私は、柴原の許婚で彼の看護の為この病院に看護婦として雇ってもらったという女性から話を聞く事になった…
→蛇足が多過ぎると思う。「妄想の真理」の章とかいらないし。もっとこう、読後の余韻に浸れる感じに終わって欲しかった。そもそも春日の日記も殺される直前まで書き続けてるとかオカシイやろ。「助けてくれ!」じゃねーだろ。

・歪んだ三面鏡:昭和十二年秋、K県K市で起きた殺人事件。事件の主要人物であるユノオ氏からの手紙を受け取った本庄は、当時の事を回想する…
→出た多重人格症…と思ったら意外な結末。しかし冒頭に大分ネタバレな一文が挿入されていたのであった…もっと他に書き方ないのか。

・赤バラ白バラ:二人の女と付き合っていた男。その一人・滋子が無理心中の果てに死んだと知る…
→これまた冒頭でネタバレ的な一文が…繰り返される因果とか、似た様なネタの作品を短編集としてまとめて読むと「またこのネタか」感がドウしても起きてしまう…

・八月の狂気:画家のA・Tが散歩の途中で見かけたせむしの男は墓を彫っていた。墓碑銘を見ると、『A・Tの墓』とあり、日付は今日になっていた…
→偶然なのか、天罰なのか…

・墓場→青空文庫にて既読。

・人魚岩の悲劇:人魚岩と呼ばれる岩のそばで三年に一度起こる渦潮に飲み込まれたものは二度と水面に浮かび上がらないという。今年は丁度三年目にあたり、付近には漁師も近寄らなかった。私はしかしその渦をあまり恐れてはおらず、夜釣りで舟を出すと人魚岩の近くまで漂い寄せられる事がしばしばあった。だがある日、人魚岩の上に一糸纏わぬ全裸の美女の姿があった。彼女は私に気が付くと海に飛び込んで泳いでいってしまった…
→人魚になって海底で幸せになってて欲しい…

・怪奇作家:怪奇小説家の西村は、超常規な現象に遭ってみたいと思っていた。そんな彼の元に届いたのは読者からの体験談を綴った手記のような手紙だった。後日、実話風の怪奇譚を依頼された西村は、その手紙を下敷きに一遍の作品を発表したが…
→モウ何も信じられない。

・女性の敵―近代犯罪説話「観念の殺人」:K県K市のH町とZ町の中間を流れるN川から市内へ通ずる松並木路では、数え切れないほどの傷害と強姦未遂事件が起こったが、六年前、わずかの間をおいて二人の若い女性が殺害された…
→怪奇作家と同じようなパタンや。

・焼ビルの幽鬼:青山俊二と名乗る男と焼ビルの部屋で逢瀬を重ねていた恭枝。だが昼間にそこを訪ねると彼の部屋は見当たらなかった。そして、その焼ビルで若い女性の死体が発見され…
→おお…ホラー…

・謎の風呂敷包み:東京I駅―M駅間で轢死した全裸の青年は、発育状態から二十四・五歳で体格はいいが筋肉労働の経験のない良家の子弟らしいが、肝心の首が見当たらなかった。この記事を読んで、小説家のNと私は中村の事を思い浮かべた…
→(ネタバレ反転)阿部定事件を彷彿とさせる展開だけど、人物誤認トリックと合わさってのどんでん返しがナカナカ良かった。定ってゆうより「地獄タクシー」て感じか(反転終わり)

・地獄の妖婦:恋愛作家の井川は自身の女性体験を元に小説を発表する流行作家である。彼の元に六年前に別れた女・芙佐子から「会いたい」という手紙を受け取ったが返事を出すと名宛人不明で戻ってきてしまった。住所を尋ねるとそこには別の家族が住んでいた…
→歿後に発表されたもので、多分西尾の作品。らしい。

・誕生日の午前二時:「私は豊崎さんが好きで好きでなりません。だからこそこんな大それたことも、仕出かしてしまったのです。」――武田家の家政婦・高子の陳述…
→西尾名義だけど遺作かも知らんし、同名の別人かもしれん、という作品。女の浅はかさよ…

・海辺の陽炎―大学生のある老婦人に与えた書簡
→MIKAN!!乞食の集落に住む若い女と老婆を殺した青年の友人が、青年の母親に宛てて送った手紙、という体裁。ドウ着地するんかは判らんけど、全ての元凶はこの母親やねん…


[評論・随筆篇]
鎌倉病床記/続鎌倉病床記/「日常性について」その他/アンケートほか(私の書くもの/諸家の感想/お問合せ/ハガキ回等/名士メンタルテスト/創刊号に寄す)
西尾の自画像付き!けっこう似てる。
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エグチマサヤ
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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