[創作篇]
・噂と真相→1923年発表。寄宿舎で起きた盗難事件。圭二は山根から犯人と決めつけられ、生徒監の前で身体検査を受けた。すると覚えのない五十銭札が左のポケットから出てきて…
・利己主義→1923年発表。暗闇で殺された親日派の呉均。彼を斃した短刀の持ち主である日本人の私は拘留されたが、一人の日本人刑事に助けられ、真犯人を捕まえる事になった…
・股から覗く→1927年発表。股の間から世間を逆さに見る事を好む加宮が目撃したマラソンランナー殺害現場。彼の証言で「九」のナンバーを付けた浦地が拘留されたが、その後第三者によるアリバイ証明が成され、今度は加宮が疑われ…(以下ネタバレ反転)逆さで「23」を認識したのに、何で「6」を「9」と誤認しちゃうの…?あと、藤直先生とばっちり過ぎる…浦地悪人過ぎるだろ…(反転終わり)
・赤光寺(しやくくわうじ)→1928年発表。八人が集った会の最中、突然停電した僅かの間に男が一人殺されて…「利己主義」の焼き直し的な話。ちょっとだけ肝試し的要素が入ってるけど、必要を感じない…
・偽(いつわり)の記憶→1929年発表。「鉄道三部作」そのいち。自分の記憶に自信がない青年の話。そして彼の幻想を打ち破る最後の一行の強さよ。
・赧顔(あからがお)の商人→1929年発表。「鉄道三部作」そのに。
・杭を打つ音→1929年発表。「鉄道三部作」そのさん。猟の最中に誤って打ち殺された女の夫が自殺した。列車で出会った男はその夫・梅原の友人であると言う…このシリーズは列車で乗り合わせた見ず知らずの人間から事件の話を聞かされる話になっている。
・赤いペンキを買つた女→1929年発表。弁護士花堂初登場。走行中のタクシーに飛び移り乗客を殺したとして起訴された被告の裁判風景。被告弁護人の花堂は、唯一の証人である運転手の証言の信憑性を問うていくが…1928年に施行された陪審法を啓蒙するため、この頃はこういった法廷物が書かれていたとか。浜尾四郎とかね。
・霧の夜道→1930年発表。花堂氏の人となりが判る一編。
・骨→1931年発表。近所付き合いの全くない一家が惨殺されているのが発見されたが、現場は室内から鍵がかけられた密室だった…冒頭で「モルグ街の殺人」「黄色い部屋」のネタバレあり。この人は作品のオチ(要点?)をタイトルにしがちだなァ。ところで、この一家は斧で殺されたんだけど、六人も順々に殺されるってドウなの?最初の被害者悲鳴位上げるでしょ?何で一人も逃げたりできんかったの??犯人ひとりやぞ。
・影に聴く瞳(め)→1931年発表。母殺しを疑われ、かつ父が子を庇い自首して獄死した事によって世間から冷たい目で見られている女性と、彼女の友人の兄との往復書簡。愛を乞い、手紙を通じて兄は彼女の母の死の真相に迫るが…謎の装置登場。これ、実現できても相当な訓練が必要だから絶対一般には普及しないよ…それより冬子を愛したって…
・暗視野→1932年発表。自堕落な女と一緒になってしまった気の弱い男が、大金を盗もうとする話。強かな女。
・染められた男→1932年発表。女優殺しの裁判の話。
・女と群衆→1932年発表。男に財布を盗まれたと騒ぐ女。男を調べても財布は見つからず、群衆に罵倒された女の取った行動…
・古銭鑑賞家の死→1933年発表。過失死とみなされた転落死事件の捜査を依頼された花堂。現場で出会った南山警部は、痴情の縺れや遺産目的だと疑ったため、表面上は過失死だと言ったのだと答える。墜死した男は骨董集めが趣味で、中でも値が付けられぬほど貴重な古銭を持っていたという。しかし、その古銭が紛失している事から更に容疑者が増え…ちょっと犯人の立ち回りに小細工がありすぎて判り易いな…
・蝕春鬼→1933年発表。三、四十代の金持ちばかりが三、四カ月で衰弱死する事件が相次ぎ…人里離れた一軒家の床下にいた女は何だったの??とか何で金持ちばかり狙ったのかとか疑問しか残らない。そもそも性別誤認トリック無理あり過ぎるでしょ。おじさんみたいなおばさんなら兎も角二十五~六って。付け髭なんてスグばれるでしょ何なのみんなポンコツなの??人物の書き分けもビミョウで、怪しい男みんな花堂なんだけど、なんでそんなに犯人側にいるの??弁護士なにしてんの??
・慈善家名簿→1935年発表。(ネタバレ反転)花堂、詐欺に遭うの巻。(反転終わり)
・情熱の殺人→1935年発表。死の直前にある父から同居する身寄りのない女性と結婚するよう強く遺言された息子。だがある時出会った金持ちの娘と激しい恋に落ち、身を持ち崩してゆく…プロットはオルチー夫人の「情熱の犯罪」をベースとしているらしい。こんな男さっさと捨てた方が良いよ。
・花堂氏の再起→1948年発表。大陸からの引き揚げ船で再会した花堂の話――仕事で奉天へ行った際、銃撃事件に巻き込まれ、ある期間の記憶を失い足を引きずるようになった花堂。彼は南に置いた枕が夜になると北に移動しているのを発見し、次第に強迫観念に囚われる…
・紅鬼(フングウイ)→1948年発表。ショートショート。新妻の初夜を奪う紅鬼と呼ばれる怪人の噂。ユーモア。
・雨雲→1948年発表。田舎で起きた連続殺人事件。怪しい人物だらけだが、花堂の推理が冴える!短いけれど、トリック、ダイイングメッセージ、犯人が凝ってて面白い。
・後家横町の事件→1948年発表。雪密室。蕎麦嫌いの被害者の胃に二杯分の蕎麦があった謎。花堂の甥・新城裕刑事登場。
*
アンケート
・噂と真相→1923年発表。寄宿舎で起きた盗難事件。圭二は山根から犯人と決めつけられ、生徒監の前で身体検査を受けた。すると覚えのない五十銭札が左のポケットから出てきて…
・利己主義→1923年発表。暗闇で殺された親日派の呉均。彼を斃した短刀の持ち主である日本人の私は拘留されたが、一人の日本人刑事に助けられ、真犯人を捕まえる事になった…
・股から覗く→1927年発表。股の間から世間を逆さに見る事を好む加宮が目撃したマラソンランナー殺害現場。彼の証言で「九」のナンバーを付けた浦地が拘留されたが、その後第三者によるアリバイ証明が成され、今度は加宮が疑われ…(以下ネタバレ反転)逆さで「23」を認識したのに、何で「6」を「9」と誤認しちゃうの…?あと、藤直先生とばっちり過ぎる…浦地悪人過ぎるだろ…(反転終わり)
・赤光寺(しやくくわうじ)→1928年発表。八人が集った会の最中、突然停電した僅かの間に男が一人殺されて…「利己主義」の焼き直し的な話。ちょっとだけ肝試し的要素が入ってるけど、必要を感じない…
・偽(いつわり)の記憶→1929年発表。「鉄道三部作」そのいち。自分の記憶に自信がない青年の話。そして彼の幻想を打ち破る最後の一行の強さよ。
・赧顔(あからがお)の商人→1929年発表。「鉄道三部作」そのに。
・杭を打つ音→1929年発表。「鉄道三部作」そのさん。猟の最中に誤って打ち殺された女の夫が自殺した。列車で出会った男はその夫・梅原の友人であると言う…このシリーズは列車で乗り合わせた見ず知らずの人間から事件の話を聞かされる話になっている。
・赤いペンキを買つた女→1929年発表。弁護士花堂初登場。走行中のタクシーに飛び移り乗客を殺したとして起訴された被告の裁判風景。被告弁護人の花堂は、唯一の証人である運転手の証言の信憑性を問うていくが…1928年に施行された陪審法を啓蒙するため、この頃はこういった法廷物が書かれていたとか。浜尾四郎とかね。
・霧の夜道→1930年発表。花堂氏の人となりが判る一編。
・骨→1931年発表。近所付き合いの全くない一家が惨殺されているのが発見されたが、現場は室内から鍵がかけられた密室だった…冒頭で「モルグ街の殺人」「黄色い部屋」のネタバレあり。この人は作品のオチ(要点?)をタイトルにしがちだなァ。ところで、この一家は斧で殺されたんだけど、六人も順々に殺されるってドウなの?最初の被害者悲鳴位上げるでしょ?何で一人も逃げたりできんかったの??犯人ひとりやぞ。
・影に聴く瞳(め)→1931年発表。母殺しを疑われ、かつ父が子を庇い自首して獄死した事によって世間から冷たい目で見られている女性と、彼女の友人の兄との往復書簡。愛を乞い、手紙を通じて兄は彼女の母の死の真相に迫るが…謎の装置登場。これ、実現できても相当な訓練が必要だから絶対一般には普及しないよ…それより冬子を愛したって…
・暗視野→1932年発表。自堕落な女と一緒になってしまった気の弱い男が、大金を盗もうとする話。強かな女。
・染められた男→1932年発表。女優殺しの裁判の話。
・女と群衆→1932年発表。男に財布を盗まれたと騒ぐ女。男を調べても財布は見つからず、群衆に罵倒された女の取った行動…
・古銭鑑賞家の死→1933年発表。過失死とみなされた転落死事件の捜査を依頼された花堂。現場で出会った南山警部は、痴情の縺れや遺産目的だと疑ったため、表面上は過失死だと言ったのだと答える。墜死した男は骨董集めが趣味で、中でも値が付けられぬほど貴重な古銭を持っていたという。しかし、その古銭が紛失している事から更に容疑者が増え…ちょっと犯人の立ち回りに小細工がありすぎて判り易いな…
・蝕春鬼→1933年発表。三、四十代の金持ちばかりが三、四カ月で衰弱死する事件が相次ぎ…人里離れた一軒家の床下にいた女は何だったの??とか何で金持ちばかり狙ったのかとか疑問しか残らない。そもそも性別誤認トリック無理あり過ぎるでしょ。おじさんみたいなおばさんなら兎も角二十五~六って。付け髭なんてスグばれるでしょ何なのみんなポンコツなの??人物の書き分けもビミョウで、怪しい男みんな花堂なんだけど、なんでそんなに犯人側にいるの??弁護士なにしてんの??
・慈善家名簿→1935年発表。(ネタバレ反転)花堂、詐欺に遭うの巻。(反転終わり)
・情熱の殺人→1935年発表。死の直前にある父から同居する身寄りのない女性と結婚するよう強く遺言された息子。だがある時出会った金持ちの娘と激しい恋に落ち、身を持ち崩してゆく…プロットはオルチー夫人の「情熱の犯罪」をベースとしているらしい。こんな男さっさと捨てた方が良いよ。
・花堂氏の再起→1948年発表。大陸からの引き揚げ船で再会した花堂の話――仕事で奉天へ行った際、銃撃事件に巻き込まれ、ある期間の記憶を失い足を引きずるようになった花堂。彼は南に置いた枕が夜になると北に移動しているのを発見し、次第に強迫観念に囚われる…
・紅鬼(フングウイ)→1948年発表。ショートショート。新妻の初夜を奪う紅鬼と呼ばれる怪人の噂。ユーモア。
・雨雲→1948年発表。田舎で起きた連続殺人事件。怪しい人物だらけだが、花堂の推理が冴える!短いけれど、トリック、ダイイングメッセージ、犯人が凝ってて面白い。
・後家横町の事件→1948年発表。雪密室。蕎麦嫌いの被害者の胃に二杯分の蕎麦があった謎。花堂の甥・新城裕刑事登場。
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アンケート
くずやま・じろう(1902-1994)
大阪府生まれ。本名同じ。
八歳の時、父の赴任先だった満州国旅順へ移る。中学卒業後一人で帰国。
1923年、「噂と真相」を『新趣味』の懸賞探偵小説賞に投稿し一等入選。県立病院の病理研究所で助手として働く傍ら、27年『新青年』の懸賞に「股から覗く」を投じ一等入選。29年旅順に戻り兄の家業を手助けしながら、花堂琢磨弁護士シリーズや鉄道三部作を発表するが、家業の多忙と病気の為執筆が途絶える。
47年帰国。翌年「花堂氏の再起」で復活したが、「後家横町の事件」を最後に筆を断つ。92年第一作品集『股から覗く』刊行。94年死去。
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