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閲覧開始直後からこつこつ読んでいけば『三国志』もコワくないかと思っていたが、
モウ追いつけない位更新されてきた…無理かも^^^
青空文庫は毎日更新されているので、読めそうなものから攻略していかないと…


田中貢太郎/狼の怪、黄金の枕、虎杖採り、一緒に歩く亡霊、位牌田、位牌と鼠、岩魚の怪、宇賀長者物語、馬の顔、海坊主、円朝の牡丹灯籠、おいてけ堀
「牡丹灯籠」は円朝の演目を簡略化して、主人公がお露の亡霊にとり殺されるまでの話。

坂口安吾/明治開化安吾捕物 読者への口上〜その二十
舞台は明治。勝海舟が探偵にハマっている虎之介の話を聞き、安楽椅子探偵を発揮する。
と見せかけて、実際の名探偵は新十郎という西洋帰りの美青年である。勝先生の推理は的外れ(かする程度だったり、探偵に霊感を与える程度)に終わる。
で、安吾は「偉大な勝先生でも推理を間違えるんだから、読者が判らなくてもそんなに落胆する事はありません」と、読者への口上で前置きしている。
しかしマァ、密室トリックが「針と糸」的禁じ手だったり催眠術を駆使していたり、ぶっとんでる^^^
これじゃ読者にゃ判らないよ^^^流石安吾、と言ったところです。

国枝史郎/十二神貝十朗(おちふるいかいじゅうろう)手柄話、血ぬられた懐刀
おちふるい^^^読めぬ^^^悪人六人(女装の男を含む)を手下にした旗本を、おちふるいが罠にかけて手を切らる話…かな?というか女装が一般人に見破られない不思議。
懐刀の方は最後ちょっと感動した。けど、改めて結末を思い返すと、この女ひでえな^^^という結論に達した。
感動を返せ。
ちょっと私、国枝史郎は合わない気がする。

岡本綺堂/我家の園芸、影(一幕)、飛騨の怪談
「影」は「木曽の旅人」を戯曲化したもの。登場人物の一人が女性に変更されている。
小説を実写化する時、主要人物が女性になる法則。
ってゆうのを、東野圭吾が『名探偵の掟』の一編で書いてます^^^面白いよ。

アンドレーエフ・レオニード・ニコラエヴィッチ/ラザルス(岡本綺堂訳)
死んで三日後に蘇った男・ラザルス。最初は皆、奇跡を喜んだけど、生前とは真逆の性格になり死斑の消えないラザルスを気味悪がり嫌悪するように。
彼に興味を持ち、一晩語り合った者は皆、絶望感に支配されるようになる。
何故蘇ったのか、死後の世界ってのはどんなだったのか、何一つ判明する事なく物語は終わります。

リチャード・オースティン・フリーマン/オスカー・ブロズキー事件(妹尾韶夫訳)
ソーンダイク博士、という人が探偵役(てっきり心理学者かと思ったが、法医学系の博士)で、発表当時はホームズと人気を二分しておったそうな。今じゃホームズばかり流行ってるけど、ほんと、良い推理小説イッパイあるのねー。
この作品は、犯罪編と推理編に分かれていて、前半の犯人が殺人を犯すまでの葛藤が描かれているところが面白い!結構ね、迫真なのよ。
ちょっとソーンダイク博士シリーズ買い揃えたくなった。
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昭和36年発行の、イギリスで発表された推理小説を発掘したもの。
二人(三人か)は探偵小説を専門としている作家ではないけれど、一読の価値あり。
古書だので、図書館の倉庫から発掘してもらいました。
古書のかほりがします、取扱いに注意しないと頁が破れます。

赤い館の秘密/A・A・ミルン
言わずと知れた「くまのプーさん」でお馴染みの童話作家ミルン。
彼の父親が、大のミステリファンだったらしく、親孝行の為に書かれた物。
当初は「先生!ミステリなんか書いてないで児童小説書いて下さい!」と周りから言われたそうだけど、出版されたら、みんな口を揃えて
「先生!童話はいいです、みんな先生の推理小説を待ち望んでます!」と言われたそうな。
(しかしミルンはその後推理小説は書いていない)
父親の為に書かれた、ミルンが「これこそ“フェア”な推理小説」の探偵役として登場したのが、アントニー・ギリンガム。
横溝正史が、金田一耕助を「ギリンガムを日本人にしたような」と評した、あのギリンガムである。
ミルンの考える、フェアな推理小説とは、ホームズみたいな超人的人物が探偵でないこと、ワトスンみたいな一般人より劣った頭脳の助手でないこと
(ワトスンは馬鹿じゃないけど、ホームズを超天才的人物に見せる為にあえて愚鈍な人物に書かれているのだと思うけど…だってこの人医者だし。マァ、6フィートもあるホームズのおばあさん変装を見破れないのはドウかと思うけど。ただしこれはヤク中患者を満足させる為に騙されたふりをしているという説もあるが)、
終盤に至るまで提示されなかった手掛かりを、何故か探偵が知っていること、またそれを知り得た時点で読者にそれを明かさないなど、アンフェアな証拠の書き方をしないこと、
これらの条件を満たしているものを指している。
で、ミルンの探偵は、ほぼ一般人と同じ能力しか持っていない。のだが、瞬間記憶能力は備えておる。これって超人的に入るのでは…
ワトスン役の青年も、そこそこ使えるやつである。透明度の低過ぎる湖に潜水してくれるし、ちょっとお喋りだけど良いやつだ。
本編も、大体探偵と同じペースで犯人が判るように書かれている。
というか、殺人が起こった時に館に来ていた客は全員一緒にゴルフをしていたというアリバイがあるので、(ワトスン役を勤めるギリンガムの友人を除いて)全員舞台から退場させられ、ちょう初期に容疑者は減ります。
寧ろ容疑者は一人しかいないのである、なんてこった。
それでも、ギリンガムと一緒に

1.第一発見者が(偶々居合わせた)ギリンガムに悟られないよう容疑者を密室から逃がしたのか
2.容疑者はどこへ逃げたのか
3.そもそも、容疑者が本当に犯人なのか

を突き詰めていく感じが面白かったです。ミルンすげー。
これほんと、色んな人に読んで欲しい。
ミルンはプーさんばっか書いてたのじゃないのですよって自慢したい(何故私が自慢するのだ)


百万長者の死/G・D・H & M・Iコール
経済学が専門の夫妻による犯罪小説。これは途中でアレが判った。アレだよあれ、うん。
こちらには決まった探偵は出てこない、優秀な警視が出てくる。
んだけど、恐ろしいことに登場人物達がぐるになって犯罪者を逃がしちゃうんで、完全に司法の負けである。
しっかも登場人物の殆どが地位と名誉を守って、なおかつ金をもうける為なら何でもするってやつばかり。
オチも、すっごく後味悪くて人間不信になることうけあい^^^
本編は、事件と同時進行で株のやりとりとか、金融ドウのコウのが描かれている為、経済とか数字がからきし駄目な私にとって苦痛と眠気の文字列でしかない。
勧善懲悪ではない、割と珍しいタイプの犯罪小説(と、あえて私は区分する、だって探偵でてないし)です。
まー話としては中々興味深いよ、ただ、私の好みじゃないだけで…
知里真志保/あの世の入口——いわゆる地獄穴について——、和人わ舟お食う
アイヌの話である。

柳宗悦/手仕事の日本
民芸への関心が強まるよ、手仕事を絶やしてはならん!

酒井嘉七/ある完全犯罪人の手記

三遊亭圓朝/闇夜の梅

佐々木味津三/旗本退屈男 第一話〜第十一話、右門捕物帖 01〜38、十万石の怪談
やかましやの伝六が登場すると、日高建男版巷説百物語に出てくる貸本屋平八の顔が浮かぶ…右門は又市。
旗本退屈男は田所様のあのでかい顎が浮かぶけど、退屈男のトレードマークは額の三日月傷である。
顎がすごいのは久生十蘭の顎十郎捕物帳である。
十万石の怪談は、語った人も聞いた人も不幸になるという怪談の話。怪談の内容はそんなに怖いものではないが、彼らが辿る運命を思うとすごく効いてるとオモウ。

ロバート・ルイス・スティーヴンソン/ジーキル博士とハイド氏の怪事件(佐々木直次訳)、僕の国(新美南吉訳)、積木の町(新美南吉訳)、誰か(新美南吉訳)、ゐろりの中の街(新美南吉訳)、医師と旅行鞄の話(佐藤緑葉訳)
「医師と〜」は、『新アラビア夜話』という連作集の中の一編。なので全然話が完結してない。

村山籌子/〈ピツコロさん〉、バウシ ノ ユクヘ

岡本綺堂/倫敦での一夜

田中貢太郎/老犬の怪、老狐の怪、轆轤首、鷲、緑衣人伝、藍瓶、青い紐、レンズに現れた女の姿、令狐生冥夢録、蓮香、藍微塵の衣服、愛卿伝、赤い牛、赤い花、赤い土の壷、あかんぼの首、悪僧、雨夜草紙、雨夜続志、尼になった老婆、阿宝、朝倉一五〇、雨夜詞、怪しき旅僧、ある神主の話
中国と日本の伝奇話。ちょっと探偵小説風の話もあるけど、やっぱり怪談や不思議話であるので、判らず仕舞いの話が多い。そのもやっとした感じがイイのである。
「怖い」というより「鬼魅(きみ)が悪い」という方がしっくりくる。いいねェ古典ホラー。
落語だけど、探偵趣味のある創作落語。
口演されたものを記者が速記で書いたものを新聞に連載したところ大評判だったとの事。
因みに、記録用に口演したものは、実際の寄席で口演したものとはちょっと違うらしい。
マァ、嫌がらせで演目を先に演られないように創作したのが始まりなんだから、同じものを速記されちゃまずい訳だけど。

・創作篇
西洋人情話英国孝子ジョージスミス之伝
→これはチャールズ・リードという作家の『Hard Cash』を翻案したものだそうです。
日本人にも馴染み易いように、人物名は日本人の名前に、地名も日本に置き換えて口演されたとの事。
この配慮は、のちに涙香が翻案作品を発表する時に手本にしたのではないか??とも考えられると解題に記されている。うーむ、奥深い!
大金を持ってやってきた商人を宿の主人が殺して横領、宿は繁盛していくが殺された商人の家族は没落、母は失明寸前、姉は武家の誇りを持って身売りだけはしないが弟の稼ぎだけでは明日の暮らしすら不安という状況に。
昔商人に恩を受けたという大工とひょんな事から再開し、同情した大工が所謂探偵をして事件の真相を探り出すという筋。
商人を殺した宿屋の主人は悪人だけど、その動機が実は…というのでちょっと見直す。
一番の悪人は又作とお虎婆さんです。

侠骨今に馨(かんばし)く賊胆猶ほ腥(なまぐさ)し松の操美人の生埋(いきうめ)
→夫の悪事を目撃してしまい、生きたまま棺桶に入れられ埋められた妻を救うという話の翻案。
生き埋め、とあるけど、実際は棺桶に入れられてお寺の地下に閉じ込められるだけである。
最後に、夫の悪事を知りながらも夫を守るために自害しようとした妻の思いを知った夫は己の罪を悔い切腹して大団円。

欧州小説黄薔薇(こうしゅうび)
→悪女の話だよーーこわやこわや。
ところで、最後に沸いて出た63人の書生達は一体何者だったんだろう…???
一箇所にわらわら増殖する63人の書生の図が一番恐いかも。

雨夜の引窓
→長編の冒頭部分、らしい。三悪人って書いてあるのに一人しか出てこないから、あれ??てなる。

指物師名人長二
→これ面白いよー、落語で聞いてみたい!
冒頭で、いかに長二が優れた職人であるか、またどんな心根の持ち主かを説明し、次に不幸な生い立ちが判明する、さらに自分を捨てた親と再会、そして殺害という流れ。
長二の技を惜しむ人々は、何とかして彼を生かしておきたいのだけど、本人は実の親を殺したのだから死罪にしろと聞かない。
困った奉行はなんとかして長二を助けようと被害者の過去を洗うのである。ううん、探偵趣味ィ~~。
で、被害者の意外な過去が判り、名奉行のお裁きで長二は親殺しの罪から一転、仇討ちを成したとして褒美を頂く。更に大身代の正式な跡取りとなり公儀から指物御用達を仰せ付けられ大出世。
すごいどんでんがえしだなー。

・資料篇
「名人長次」になる迄―翻案の怪路
→馬場狐蝶が「円朝の『名人長次』の元ネタの出所が判ったよ!」という話である。
因みに、長「次」と表記されているのは誤植ではなく、歌舞伎で演じられるようになってからの表記が「長次」になったので、それを踏襲しての事だと思われる。らしい。

親殺しの話
→「名人長次」の元ネタである、モーパッサンの『Un parricide』をフランス語の先生が話したのを有島幸子という方がメモったもの。ややこしいなぁ。
男女の遺体が発見され、鋭利な刃物で刺し殺されたものだと判る。のちに指物師が自首してきて裁判が開かれる。腕の良い職人だので処刑されるのを惜しんだ弁護士が「被告人は俄かに発狂して殺してしまった」と刑事責任能力が無い事を主張。
しかし指物師は「あれは私を捨てた両親である。いつくしむべきはずの子どもを捨てた非道の親に対して復讐をしたのだ。処刑されるのが当然の我が命、発狂したとして罪を逃れさせられるなんて心外だ」と全てを告白する。
さて、裁判長はこの可哀相な指物師にどのような判決を下すのだろう。
という話。え?結果は??指物師はドウなっちゃうの??と、なんとも頼りない終わり方である。
翻案の「長二」のが随分探偵趣味が出ていて面白かった。

さんゆうてい・えんちょう(1839-1900)
江戸生まれ。本名は出淵次郎吉
父は音曲師の橘屋円太郎で、1845年に橘屋小円太を名乗り6歳で初舞台を踏む。
47年、父の師匠である二代目三遊亭円生に内弟子として入門、55年に円朝と改名し真打になる。
しかしあまりの巧さに嫉妬され、円朝が演ずる演目を円生らが先に演じるという妨害を受ける。
そのため誰も演じる事の出来ない創作落語を口演するようになる。
・創作篇
妖影/消えた霊媒女(ミヂアム)/情鬼/蛇性の執念/鉄の処女/機密の魅惑/耳香水/むかでの跫音/黒猫十三(とみ)/鳩つかひ/梟の眼/青い風呂敷包/美人鷹匠/深夜の客/鷲娘/魂の喘ぎ/和製椿姫/あの顔/魔性の女/恐怖の幻兵団員
「妖影」から「耳香水」までは、本人を髣髴とさせるS外交官夫人が探偵役の連作。助手の「私」がS夫人に聞いたり関わったりした事件を記したというホームズ-ワトスン形式。
だが正直探偵が推理を働かして犯人を追い詰める、というテイストではない。
偶ッ々、不審な行動を起こした人物を目撃したり、相手が勝手にS夫人が全てを知っていると勘違いして白状する、という偶然性に頼ったもの。
そのうえ、事件が解決しても関係者が自殺したり、なんだがもやもやするオチばかり…
犯行動機も男女間の感情の縺れか金かってとこでちょっとありきたり感も。
地位ある立場の人たちの、家や名前を汚してはいけないという強い感情が働いていて、当時の由緒ある家柄(あるいは職業)に対する誇りというか、人命より家が大事という風習が感じられます。
騒ぎを起こして醜聞で家名を汚す位なら、目の前で毒を呑んだ妻を見殺しにせざるを得ないなんて、今の時代じゃ考えられないよ。
ノン・シリーズものも、不幸な結婚をした妻が更に不幸になるパタンが多い。
「恐怖の~」は割と大団円だけど、うーん、そんな事件の締め方で皆納得するのかな?マァ夫が見つかった妻は喜んでたけど、元はといえばこの妻が軽率だった事が事件の発端の一因であるのだけど…
ちょっと納得いかないオチばかりかなァ…そーゆう時代背景なのかもしらんけど。

・随筆篇
心霊の抱く金塊/素晴しい記念品/蘭郁二郎氏の処女作―「夢鬼」を読みて―/今年の抱負/最初の印象/アンケート
「心霊~」は随筆だったんやね、創作かと思ってたわ。
「今年の抱負」にあるように、大倉さんは生活の為に発表済みの作品をリメイクして何パタンも新作書いてたようです、「一族の中の突然変異的性格の人物」とか「子殺し」とか、何度も繰り返されるモチーフがあります。
乱歩と不木の往復書簡を読んだわたくしとしては、「最初の印象」が印象的でした。
これは大倉さんと乱歩の話で、色んなこわい噂のあった乱歩に本の推薦文書いてもらう為かなんかでびくびくしながら会いに行った話や、戦後お金がないから全集を出版してもらえるように口利きして下さいと頼みに行った話とか、乱歩が実はとても面倒見の良い親切な人ですよってエッセイ。
なんかねー、これ読んでたら乱歩が不木にしてもらった事を後進にもしている感じがしたの、不木に恩返しするつもりで後輩の育成に助力しとったんかなーって…
うっ、うっ、ふぼくうう…(不木の晩年を思うと切なくなる病気)

おおくら・てるこ(1886-1960)
東京生まれ。別名・岩田由美、岩田百合子、丘ミドリ
父は国学者の物集(もずめ)高見。
現・お茶の水女子大学へ入学するも、父の反対で中退。その後中村吉蔵に師事。更に二葉亭四迷、夏目漱石に師事。
1909年「兄」でデビュー。その後外交官との結婚を機に筆を絶つ。離婚後、1934年に「妖影」で女流探偵小説家として再デビューを果たす。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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