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・創作篇―推理小説
三津木俊助・御子柴進の事件簿:鋼鉄魔人/まほうの金貨/のろいの王冠
→三津木は金田一シリーズにもちょぼちょぼ出てくる新聞記者。少年探偵シリーズでは自身も名探偵として名高い存在に。探偵小僧(このネーミングセンス…)こと御子柴少年を助手に、わるいやつらをつかまえるぞ!
良い大人(しかも名探偵と名高い)が怪人に裏をかかれてじだんだふんだり、ピストルの弾を弾き返すと判っているのに武器がピストルとか、情けない限り。
同じパタンである乱歩の怪人二十面相シリーズの方が魅力ある(?)ストーリィとキャラクタですね、何故なら乱歩は殺人が起きないから。小林少年の書き方も乱歩にお稚児趣味があったからか生き生きと可愛らしく書かれておる。挿絵もめちゃんこ美少年だしな。

鋼鉄魔人…アッ誤植発見!からだじゅう が さらだじゅう になっとる!

寄木細工の家
→遠足中の中学生たちが勝手な行動をして恐ろしい眼に遭う話。
自業自得じゃ一人位死んでも文句言えぬて。

げんとうどろぼう
→げんとう=幻燈。

地獄の花嫁
→綺堂の『青蛙堂鬼談』みたいに同士が集まって不思議話した時に書き留めておいた物の一遍、という設定。
引っ込み思案で一人で小説を読んでいるのが好きな「あたし」と美人で朗らかで活動的な珠緒。二人は正反対の性格だったが女学校では一番の親友だった。
卒業後、珠緒は許婚と結婚する事になり、あたしも手伝いで彼女の郷里へ行ったが、珠緒は別れて二月もしない間に痩せて顔色も悪くなっていた。色々問いただしたが口を割ろうとしない珠緒。だが、あたしは彼女の家で家政婦をしているお琴さんが原因ではないかと直感した。
そして結婚式当日、ウェディングドレスに着替えた珠緒が鏡の前に立っていると、そこに映し出されたのは珠緒と同じ花嫁衣裳を纏った骸骨の姿だった…
この話ケッコウ好きよ。

・創作篇―時代小説
智慧若捕物帳:雪だるま/とんびの行方/幽霊兄弟
→大岡越前の生まれ変わりと評判の町奉行・遠山左衛門の息子、智慧若こと千代若(15、6歳)と、彼の従者で12、3歳のちょン丸(本名は長丸だが誰もそう呼ばない設定)、いとこの小菊ちゃん(14歳。寺社奉行の娘)が主な登場人物。
雪だるま:大雪続きの江戸の辻に作られた夥しい数の雪だるまを壊して回る男の謎。こうも雪だるまが多いと死体が隠されていると思ってしまうが死者は出ないので安心して読めます。
とんびの行方:鳶に有難いお経を取られ自殺を図った小姓を助けた智慧若とちょン丸。半七の話では鷹が出てたね。
幽霊兄弟:季節外れの角兵衛獅子の兄弟を見かけた智慧若とちょン丸。自身番へ入っていった角兵衛獅子を追ったが、そこで兄弟は消えてしまう。

神変龍巻組
→もしも豊臣秀吉の孫・松国丸が生きていたらというイフの物語。国枝四郎系(ぶっとびすぎて通過点でページ使い過ぎて枚数制限に無理矢理収めた感の強いオチ)だと慄いたが、ちゃんといい感じに終わってるるる~。
八年前、自分の替え玉として殺された子どもを弔う為に隠れ家から出てきた松国丸。幕府側の侍に見付かり、徳川幕府に宣戦布告。それによって様々な思惑を持つ人物達に追われる事に…
ちょっとネタバレだけど…
実は生きていた真田幸村とその息子大助、猿飛佐助の忘れ形見の妖術使い・菊童。この三人と松国丸は一緒に暮らしていた。
海賊の女頭目、実は長曾我部盛親の娘が率いるのが龍巻組。部下に右近と左近、前髪の若者たくさん。このあたりが味方。
幕府を倒し、天下を取ろうと野心に燃える海賊の辰砂(しんしゃ)源兵衛。腹心の部下に天日坊と地雷太郎・人丸次郎の双子。この双子がお笑い担当。なかなか良い味出してる。
それから秀頼から信頼されていたにも関わらず、彼を裏切り徳川に寝返った小畑勘兵衛。
松国丸は捕まったり筏で流されたり金持ち同士の争いに巻き込まれたりまた流されたり忙しい。
何だか裏主役は真田幸村だと思った。

奇傑左一平―怪しき猿人吹矢の巻
→矢毒ちゅうたらヤドクガエルですねぇ。土人とゆってるからクラーレかも。
ドイルのあの話に似ている。

白狼浪人
→古事に倣って千羽の鶴を放ったが、誤って紅鶴と呼ばれる鶴っぽい鳥まで放してしまった家光(紅色してるのに何故間違って放したのか…よっぽどアレな人じゃないか)。
何とか見つけ出し、江戸までつれて来る途中で曲者によってまた逃がしてしまう。
その責任を一人で背負って切腹した侍の病弱な息子と、紅鶴が庭に下りてきたのを捕まえこっそり飼っていた父を件の曲者に殺された娘。この二人が親の敵を討つ話。
枚数制限の所為か、始終ばたばたしている感が否めない。

秘文貝殻陣
→医学を学ばせる為に長崎へ留学させた息子がキリシタンになって悪事に加担しているらしいと知った元岡っ引きの男。
まさかの(ネタバレ自粛)だよ好きだねぇ横溝。

まぼろし小町
→与力の屋敷に投げ込まれた人気絵師・鳥居清彦が描いた風流三小町の錦絵は、それぞれ唇、眼、鼻がくり抜かれていた。錦絵と共に「この謎を解いてみよ まぼろし小町」と署名された手紙が同封されていた。
まぼろし小町とは、風流三小町と共に発表されたモデル不明の美人画の通称。清彦は彼女に恋焦がれ、パトロン達と船で宴会をしている最中に、川へ自ら飛び込み死体も上がらなかった。
そして風流三小町のモデルの一人が殺害され唇を切り取られた。更に眼をくり抜かれたモデルの死体も発見され…
これは、被害者が可哀想。悪いのはあいつらである。ひどい。

蝶合戦
→昼夜問わず、無数の黄蝶と白蝶が飛び交うようになった。日ごとに数が増し、人々は戦の前触れだとか、駿河大納言の祟りだとか噂する。更に光る蝶まで現れるようになり、見物客が絶えなくなってしまった。
(※駿河大納言とは、徳川家光の弟・忠長の事で、家光よりも人望があった為難癖つけて自害させられた人物であるらしい。私歴史詳しくないもんで)
そんな中、蝶合戦とともに名物となっていたのが一人の狂女。頗るつきの美人だが、道行く人を捕まえては「金弥さま、なぜわたしを置いて行ったのです、父はどこにいるのです」と問い詰め、人違いに気付くとそのまま別の人を捕まえるのであった。
金弥に間違われた長七郎(忠長の息子と言われている架空の人物)は、狂女から間違えたお詫びにと、光る蝶のからくりを教えてられた。
狂人の戯言にしては筋が通っているので、長七郎は光る蝶を調べる事に…

犯人さがし捕物帳:お蝶殺し
→おお、これは人形佐七です、初めての佐七。
トリックはあの作品のあのトリックだので犯人すぐ判るよ。あのトリックを知らなくてもミステリのセオリーを知っていれば犯人の目星はつくよ。

・評論・随筆篇
探偵小説への飢餓/探偵小説と療養生活/『蝶々殺人事件』の映画化について/映画にしたい探偵小説/探偵小説の方向/獄門島顛末/めくら蛇におぢず―翻訳誌の思出/新しい探偵小説/探偵小説の構想/森下雨村の好意―私の処女出版/還暦感あり/推理小説万歳/推理小説を勉強中/探偵小説五十年
佐七誕生記/人形佐七捕物控/私の捕物帳縁起
『ドイル全集』訳者の言葉/御存じカー好み/怪奇幻想の作家三橋一夫氏に期待す/家庭必備の書/ガードナーを推す/「魔術師」について/エデン・フィルポッツのこと

渡辺温の話が出てくると切なくなるー…国枝史郎の小酒井不木ネタと同じ現象。
温の実兄・渡辺啓と同い年なんだね横溝さんって。他の人と合わせて三人で合同還暦会してもらったんだって。
因みに啓助氏は百歳まで生きられたそうな(1901-2002)。弟の分まで長生きされたのねー…おんんー…ウウ。

よこみぞ・せいし(1902-1981)
神戸市生まれ。本名は正史(まさし)
神戸二中卒業後、銀行勤務。1921年「恐ろしきエイプリル・フール」が『新青年』懸賞に入賞。
その年に大阪薬学専門学校入学、卒業後は家業の薬屋を営みながら執筆したものや翻訳を雑誌に投稿して過ごす。
乱歩の勧めで上京し、博文館入社。『新青年』の編集長に就任する。
戦後、『本陣殺人事件』で、日本家屋における密室殺人を完成させ(※それまでは、木と紙で出来た日本の家で密室を作るのは不可能とされていた)第1回日本探偵作家クラブ賞(後の日本推理作家協会賞)長編賞を受賞。
その後社会派ミステリの台頭で筆を折ったが、映画『犬神家の一族』で空前のブームとなり再び執筆。70歳を過ぎて4つの長編を上梓する。
勲三等瑞宝章受章。
81年12月28日、結腸ガンのため死去。
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明治45年に新城で生まれた大阪圭吉。昭和20年7月2日、33歳でルソン島にて戦病死したとされとるそうです。つまり今日が命日。
巻末に作品リストが載ってるんだけど、昭和7年にデパートの絞刑吏でデビューして10年位の作家人人生のうちに結構な量の作品を残している事に驚きました。ほぼ短編ですけど。
ああ、大阪圭吉も資料館的なのないかなあ、あれば行ってみたいなぁ。

・三狂人
三代続いた赤沢脳病院には現在中年の男性患者が三人いた。
右足の爪先で絶えず羽目板を叩き続ける「トントン」、女物の着物を着て昔の流行歌を歌う髭面の「歌姫」、怪我をしている訳でもないのに頭から顔中に包帯を巻いている「怪我人」。それが彼らの呼び名であった。
ある日の早朝、裏木戸が開けられているのを看護人が発見する。三人の患者の姿はなく、脱走したとしか思われない。急いで院長に知らせに走るが院長の姿も見当たらなかった。
裏木戸のあたりをを良く見ると、ビール瓶の破片のようなものが散らかっており、何かを引きずった跡があった。跡を辿ると、顔中をガラス片で滅茶苦茶に切り付けられ、頭を割られて脳味噌を抜き取られた院長の惨殺死体があった。
連続短編第1話で、探偵役は精神病院院長の松永博士。
圭吉作品の傑作の一つに数えられているだけあって面白い。因みに脳味噌を取り出したのは、院長から「お前らみんな脳味噌を取り替えちまえ!」とたびたび怒鳴られていたから。
可哀相なのは被害者たちです…

・銀座幽霊
ジャズバー「青蘭」の女中と客が、向かいの煙草屋の女将が血まみれの剃刀を振り回しているのを目撃。
現場に駆けつけると、剃刀で首を切られたバイトの女が女将の名前を告げて息を引き取った。
警察の捜査によって、煙草屋から出入りした人間はいない事、犯人と目された女将が犯行現場の押入れから死体で見つかった事、しかも女将の方が40分程早く死んでいた事が判明した。
連続短編第4話。

・寒の夜晴れ(かんのよばれ)
クリスマス・イブの夜、同僚の妻と妻の甥が惨殺され、子どもが誘拐された。残されたスキーの跡を辿ると、途中で跡は消えてしまっていた。まるで空へ上っていったかのように…
連続短編第6話(最終話)。これはとても哀しい話。

・灯台鬼
「灯台」と聞くとツイ中国の故事を思い出してしまう…都市伝説にもなってるあれです、マァ、あれは灯台じゃなくて燭台?
気味の悪い呻き声を聞いた灯台守がランプ室へ飛び込むと、四、五十貫もありそうな大石が機械を壊し、当直の看守の腹に食い込むようにあった。
更に、真っ赤な茹蛸のようなグニャグニャの幽霊まで目撃し…
哀しいオチの、東屋三郎もの。

・動かぬ鯨郡
捕鯨船の砲手を勤めていた夫は、他の船員達と共に、船もろとも沈没してしまった。
幼い子どもを育てる為、港の酒場で働く妻。一年後、彼女の前に死んだ筈の夫が現れ、一緒に逃げようと言い出した。
訳も判らぬまま、子どもと身の回りのものを持って夫の元へ駆けつけたが、夫は捕鯨用の手銛で殺されていた…
連続短編第5話で東屋三郎もの。

・花束の虫
大月弁護士の秘書・秋田登場。しかしこの一遍のみの登場である。

・闖入者
青空文庫と幻影城で読んだので、これで三度目の読み。
写実派の画家が死の直前まで描いていたのは富士山の絵だった。しかしその部屋の窓から見えるのは箱根山で…
大月対次弁護士もの。

・白妖
連続短編第2話で大月対次弁護士もの。
挟み撃ちにした車が消失するトリック(?)は良く判らんが、殺人の犯人は直ぐに判るよ。解答もろ出しなので…
最後の二行で涙目なった。

・大百貨注文者
初読み短編!
鉄砲屋はピストル三挺、荒物屋は縄を七十m、靴屋は靴を半ダース、マネキン・ガールは二週間の契約を、大月弁護士にはある一件の依頼、料亭には五十人前の特別料理、更にポマード四百個を電話注文されゴム会社社長宅へ集まった七人。
ところが社長はそんな電話していないと皆追い返してしまった。
腑に落ちない七人は夕方憂さ晴らしの会を開く事にして一旦解散。夕刻、集まりが悪いので大月弁護士が催促の電話をかける為電話帳を繰っていると、ある事に気が付いて…
大月対次弁護士もの。最後は大団円なんだけど、人ひとり死んでいるのにこの終わり方は死人に対してちょっと酷いんじゃない??

・人間灯台
嵐の夜、灯台にいた筈の息子が消えてしまった。五日後、その息子が見つかった意外な場所とは…
ポーの「早すぎた埋葬」並にツライ…想像しちゃ駄目エエ

・幽霊妻
離縁された妻が後に自殺。その後元夫が何者かに殺害された。その手には日本髪に使う香油の香りがする髪の毛が数本握られていた…
坂口安吾/心霊殺人事件
ケチで他人にも身内にも冷酷残忍な男が、ビルマで戦死した長男の子どもを引き取り財産を残したいと言い出した。しかし肝心の孫の名前を聞いていなかったので、著名な心霊術師を呼んで降霊会を開く事に。今まで親切にされた事のない四人の子どもたちは、父親が悪巧みをしていると考え、元手品師で霊媒師のインチキを見抜いてきた伊勢崎九太夫に心霊術の詐術を見破ってくれと依頼…
という話。

国枝史郎/小酒井さんのことども、印象に残った新作家、神秘昆虫館、前兆?、小酒井不木氏スケッチ、小酒井不木氏の思い出—その丹念な創作態度—、名古屋の小酒井不木氏、
判った、国枝史郎は長編だらだらしててあんまり面白くない。だらだらしてるだけなら良いけど(良いのか??)、最後の大団円が雑なのがちょっと…
完結に至るまでのエピソードが(無駄と思える程)詰め込まれている割に、最終章のエピソードは結果のみしか書かれていないので、え、今まで読んできて最後こんな簡潔なの??と思ってしまう。モウ殆ど論文のまとめ的。なんだかなーである。
そしてそして、彼のエッセイに小酒井不木の事がやたら書かれているのは、両者ともに病気を患っていた事や愛知県民だったって事が関係してます。
不木は御器所に住んでいて、新舞子にある国枝家の正面に別荘を持っていたそうな。
年齢は国枝の方が上だけど、不木を父のように慕っておったそうな。だので不木が乱歩を見出し世話をしていたのを快く思っておらず、二人は仲が良くなかったみたい。
ああ、不木読みたくなった、蟹江(不木の生まれた地)行かなきゃ。

ベアトリクス・ポッター(大久保ゆう訳)/ごくあくうさぎのものがたり、わるねずふたりぐみのはなし、ねこぬこタムのはなし、パイとやきがたのはなし、きつねめさんのはなし、きたりすナトキンのはなし、おねずみおばさんのはなし、チギウィンクルおばさんのはなし、ジンジャー&ピクルスのはなし
きつねめさんの挿絵に「息子の嫁に折檻されるぴょんぴょんじいさん」「椅子を盾にして部屋の隅でびくびくするぴょんぴょんじいさん」というのがある。これめっちゃ好き^^^
(※なぜ折檻されてたかとゆうと、生まれたばかりの仔兎たちを誘拐されたから。じいさん耄碌したなってピーターラビットがゆってた)

室生犀星/お小姓児太郎
どうせいあいのえすえむだった。但し、そのての描写は殆どなく(態と深爪に切ったり刃物刺したりしてるが)、児太郎の残虐性に囚われてしまった弥吉の心理の動きが良いよ。うん、弥吉が一番嗜虐的かな。

トーマス・マン/幻滅(実吉捷郎訳)
現実世界に起こるすべての事象に「案外たいした事ないな」と幻滅してばかりの男の話。

野村胡堂/お珊文身調べ
おさんほりものしらべ、と読む。銭形平次シリーズ第七話。
・とむらい機関車
元鉄道員が語る、七日おきに起こった轢殺事故の話。そしてその意外な結末。

・デパートの絞刑吏
圭吉デビュー作。探偵・青山喬介が登場。
絞殺され、デパートの屋上から落とされた店員が手にしていたのは、先日売り場から盗まれた真珠の首飾りだった。

・カンカン虫殺人事件
「かんかんむし」とは、造船所で働く労働者のこと。
胸を刺され、後頭部を穴が開く程にぶちのめされたうえに、後ろ手に縛られ海中に遺棄された死体が発見された。
被害者と共に行方が判らなくなった男のイニシャルが彫られたジャックナイフが発見されたが、その男が犯人なのだろうか…

・白鮫号の殺人事件
引退した船乗りの他殺死体が発見され、馬に乗って現場に駆けつけた喬介とわたし。
未亡人から話を聞くと、被害者は前日「明日の午後迄だ」と言って何かに怯えていたと言う…
この作品は後に「死の快走船」と改題され、喬介が登場しないものに書き換えられています。

・気狂い機関車
2400形式・73号の機関助手が鶴嘴で殺され車外に遺棄された。
喬介と私が線路脇に垂れた血痕を辿ると、第二の死体に出くわす。それは2400形式・73号の機関手であった。
機関手と機関助手が殺害されたという事は、無人の機関車が走っているという事になるが…

・石塀幽霊
石垣に囲まれた秋森家の差配人の妻が殺害された。
犯行時、偶然居合わせた近所のアパートに住む学生と老郵便配達夫が逃げる白い浴衣を着た二人の犯人を追いかけた。
角を曲がると、向こうから一人の洋服の男がやって来たが誰にも会わなかったというので、犯人は秋森家に逃げ込んだと考えられた。
容疑者は秋森家の息子、宏と実。双子である。
だが、その後の調べで郵便屋と学生の居た場所からは犯人を見る事が不可能である事が判り、二人の証言の信憑性が疑われる事に。
自分の見た事は事実であるのに、暗に嘘吐き呼ばわりされた学生は、時々講義にやってくる青山喬介に相談する事にした…

・あやつり裁判
盗難事件は無罪、放火事件は有罪。この二つの事件はどちらも有罪か無罪か、際どい事件だった。
有罪か無罪か、その決め手となったのはある女の目撃証言だった。
今回の殺人事件も有罪か無罪か際どい事件で、みたび例の女が証人として出廷して…

・雪解
金鉱を探して北海道を放浪する男、木戸黄太郎。
三年たっても金を見つける事が出来ずにいたが、同宿の金持ちの父娘と知り合ってからは焦燥と嫉妬に駆られるようになった。
彼らは東大出の理学士が発見した砂礫鉱床が横たわる場所を買占め、雪解けを待って発掘作業を進めるのだという。
そして、黄太郎の脳に恐ろしく残忍な考えが…
これは初めて読みました。

・坑鬼
圭吉最高傑作とも言われている作品。
新婚のお品と峯吉が受け持った採炭場で起きた爆発事故。お品が採炭坑の入り口に出たところで、他の採炭場に火が回らぬよう鉄の扉が閉められた。
自分の後ろを走っていた峯吉の姿はなく、お品は恐ろしい現実にぶち当たる…
峯吉の両親とお品の兄も現場に駆けつけたが、峯吉を残したまま、鉄扉の塗り込み作業が行われていくのであった。
その塗り込み作業を手伝った技師が殺されてしまう。
犯人は峯吉を見殺しにした事を恨んだ遺族だと考えられ、アリバイのない峯吉の母親を捕らえようとしたところで、塗り込み作業を実行した工手の他殺死体が発見される。
この殺人は、動機を持つ遺族四人は事務所に呼び出され第一の殺人時のアリバイを調べている最中の出来事であった。
直後、水呑場に忘れられたランプが見つかる。真っ暗闇の炭鉱では、ランプは命と同じ位大事な物である。持ち主を調べると、死んだ峯吉の物である事が判った。
閉じ込められ焼かれた峯吉は、鬼となって自分を見殺しにした者へ復讐しているのだろうか…

この短編集、被害者の殆どが頭部にえげつない損傷を受けている^^^
デパートの絞絞刑吏は屋上から落ちてるんで中身飛び散り系だし、他のも飛び散り穴開き向こう側が見えちゃう程のもあるから、そうゆう描写が駄目な人は読めない短編集かも。
気狂い機関車はつるはしでざっくりやられてるしなー。
私はとむらい機関車が好きかな、叙述系って結構好きかも。
長岡半太郎/アインシュタイン博士のこと
アインシュタインは簡潔な事が好きらしくて、相対性理論の論文って80枚ちょっとしかなかったらしい。4,000枚の解説書があっても理解出来る気がしない。

H・P・ラヴクラフト/ニャルラトホテプ(大久保ゆう訳)
なんか壮大なファンタジィの登場悪魔(神?)らしい。

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ/あのときの王子くん(大久保ゆう訳)
『星の王子さま』の青空文庫版新訳。作者の手による挿絵も掲載。
わたくし、この年になるまで星の王子さま読んだ事なくってですね、初読みなんですよ。
こんな深い話だったのね。大人になってから読んでも刺さるわー…

大阪圭吉/死の快走船
大阪圭吉短編集『とむらい機関車』に、改稿前のものがあったので改稿後を再読。
うむ、探偵役の登場が自然ですよね、改稿前は青山探偵が誰に呼ばれたでもなく馬に乗ってやってくるよ。

野村胡堂/銭形平次捕物控 振袖源太、大盗懺悔、呪ひの銀簪、胡堂百話
銭形平次2〜4話まで。「胡堂百話」には石川啄木とか金田一京助とか原敬とか出てます。原敬の甥っ子と友達で、新聞社に就職する時に原敬に推薦文書いて貰った(実際には秘書が書いて原敬名義にしたもの)にも関わらず、別の新聞社に就職したエピソードとか、色々。歴史の教科書で読んだ人物の、教科書には載ってない話があって面白い。

国枝史郎/物凄き人喰い花の怪、一枚絵の女、マイクロフォン—雑感—(新青年1925年12月)、マイクロフォン(新青年1926年2月)、マイクロフォン(新青年1926年3月)、マイクロフォン(新青年1926年11月)、マイクロフォン(新青年1927年3月)、マイクロフォン(新青年1927年5月)、マイクロフォン(新青年1928年2月)、マイクロフォン—八月増刊『陰獣』を中心として—(新青年1928年10月)、マイクロフォン(新青年1928年11月)、マイクロフォン(新青年1933年7月)、北斎と幽霊、五右衛門と新左、人を呪わば、赤い手、首頂戴
人喰いの花…なんというネタバレタイトル^^^
「マイクロフォン」は『新青年』のコーナータイトル。寸評とか載せてた。
「人を呪わば」「赤い手」はちょっとホラーなタイトルだけど、前者はユーモア、後者はミステリテイスト。
北斎や石川五右衛門、天一坊など歴史上の人名が出てくるので歴史小説かと思いきや、国枝史郎特有の伝奇小説なのでご用心。
最初はとっつきにくいなーと思っていたけど、(蘭郁二郎程ではないが)中毒性があるよ史郎。

富永太郎/鳥獣剥製所、癲狂院外景、PANTOMIME

モーパッサン/ある自殺者の手記(秋田滋訳)

高祖保/希臘十字
詩集。ギリシャ十字→エジプト十字架と連想してしまったので読んでみた。
牧歌的のインパクトすごい。有栖川有栖『作家小説』の「殺しにくるもの」、島田荘司『眩暈』的なインパクト。ぼぼぼぼぼ。

山之口貘/私の青春時代、チャンプルー

ジビュレ・フォン・オルファース/もりのおひめさま(大久保ゆう訳)、ねっこうまれのこびとたち(大久保ゆう訳)
挿絵も掲載されている。

神田左京/海螢の話

矢田部達郎/心理学
矢田部って何か聞いた事なるなーと思ってウィキったらYG性格検査の矢田部さんだった。
この検査、大学でやった筈なんだけど全然覚えてない^^^
一応、検査系の講義と表現療法というゼミを取っていたので、受けた筈なんだけどなあ、よっぽど検査結果が面白くなかったんやろなあ。
質問紙法で印象に残ってるのはエゴグラム。「厳格な父親」タイプの得点が高く「優しい母親」タイプの得点が低くて笑った記憶。他人に厳しく自分に甘いタイプだよ。
あとは必修科目だった講義で毎年度初回にバウムテストやらされたんで、想像上の実の生る木を描くのは随分上手くなったと思う。マァ、実を付けてない木を描いてたけど。
これ読んだら学生時代を諸々思い出せました。もっと真面目に勉強しとけばよかった!

高浜虚子/斑鳩物語

ミカイル・アレクセーヴィチ・クスミン/フロルスと賊と(森鴎外訳)
人物表で大体のオチが判る。でもなかなか面白い。けっこう好き。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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