忍者ブログ
* admin *
[37]  [38]  [39]  [40]  [41]  [42]  [43]  [44]  [45]  [46]  [47
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

誘拐者
私立探偵・春日と渡辺助手シリーズ第一作。
議員の次男との婚約を控えた娘が誘拐され、捜査を依頼された春日だが、脅迫状の消印の場所を捜査しない春日に依頼者は怒りを爆発させ、渡辺がはらはらする話。
原稿の枚数制限の為だろうが、春日が超人的な観察力で真相を見破ります。

詩人の愛
春日・渡辺シリーズ第二作。
米国で成功した男の娘が突然婚約破棄された。相手の流行詩人は何故急に婚約解消したのか。

頭の悪い男
小学校教師・吉塚亮吉シリーズ第一作。原題は「大詐欺師」。
知らない男に町で声を掛けられた亮吉が「こいつは先日起きた詐欺事件の犯人ではないか…?」と疑い逃げ出すが、いつの間にかポケットの中に十円札五枚が入っていて恐怖に駆られたり誘惑に負けそうになる話。
亮吉の心理描写が良い。タイトルも効いてるとオモウ。
乱歩に「あなどりがたし」と言わせた作品。

君子の眼
真逆の鼠視点。漱石の『我輩は猫である』的な描写と、殺人を目撃してしまった鼠の人間に対するアイロニーが良い。

小野さん
何をやっても長続きしない小野さんが、巡査の試験に合格した。うまい事昇進してゆくゆくは知事になってやろうと野望を抱く小野さん。
しかし平和な交番勤務によって次第に野望が遠のく小野さん。それでも私服刑事になる夢は諦めきれず、非番にも巡回する野心家の小野さん。
やっと事件に遭遇し、犯人を尾行する小野さん。
果たして小野さんは手柄を立てる事が出来るのか??

夜の呪
春日・渡辺シリーズ第三作。
あれ、渡辺出てたっけ…??

ある哲学者の死
佐村むかつく。

裏口から
リストラされた男が、裏口の開いている家を見付けて盗みを働こうと忍び込む。しかしその家の子どもに見つかり遊び相手になるようせがまれてしまう。
瀬下さんの「幇助者」や妹尾さんの「アヴェ・マリア」を彷彿とさせる話だけど、何というか彼らの作品ほど悲壮感を感じない分感動が薄い気がする。
あとはこのラスト、読む人によっては宗教的な導きで悪に染まらず済んだと見做すか、お布施で良い暮らししとる宗教なんて詐欺だと思うかに分かれると思った。
私はひねくれているから勿論後者である。

温故想題
夫から渡されたがま口の中に入っていた十円札で四円五銭の蚊帳を購入した妻。実はその十円札は贋金だった事を知り慌てるが、悪気があって渡したわけでもなく、また、良く確認しなかった商人も悪い、という事で早速蚊帳を吊って寝ようとするが…

第一義
亮吉は地元の有力者の息子を叱り、反感を買ったため教職を辞職する。車に轢かれそうになった子どもを助けた後、小学校に忍び込み校長を殺害する。事件の発覚を恐れた亮吉は小学校に火をつけ証拠隠滅を図るが…
オチは途中で気付いちゃうけど、最後はちょっと良い話。亮吉が良い先生に見えるマジック。

藻くづ
知らぬが仏。

模人
つまり自分そっくりのアンドロイド。SFですな。

正体
不快感くるよ、利三郎の実体験を基にしたものらしい。

規則違反
タクシーの話。免許持ってないからか、ちょっと意味が判らなかった。

流転
冤罪で服役していた男の話を聞いた新聞記者。後日、身に覚えのない小包が届くが…

素晴しや亮吉
事故以来、禁酒している亮吉。代わりにミステリ中毒に陥ってしまっていた。そんな亮吉の名推理!

愚者の罪
再婚相手が死に、連れ子も病気で亡くしてしまった男。葬式をする金のない彼は子どもの死体を汽車に遺棄することで弔おうとするが、ずっと尾行している刑事らしき男から逃れようとするが…
人間不信に陥ってしまっていた男の、哀しい話。

仔猫と余六
今も昔も年の差婚は犯罪ネタに尽きないようで。
若い妻と間男が毒を呷って死んだ事件の真相を語る老師。
この話ケッコウ好きよ。

虎狼の街
タイトルめっちゃハードボイルドだけどユーモア作品。
凄腕ドクトル・佐山の治療術。

亮吉何をする!
前作の冴えている亮吉とは真逆の話。
いつだって損をするのは貧乏人なんだ。

朱色の祭壇
冒頭、船の遭難話が挿入されていて、海の上の話かと思ったら村での話に飛んでドウしようかと思った。
けど、最後はちゃんと繋がってて良かった。
利三郎の体調不良によりオチの駆け足感は否めない。

地球滅亡前
人類が滅亡する前に火星に移住するべきだ、我々の世代で無理でも子孫の為に早急に対策を取らなければならないと訴える男。
ついに病院に送り込まれた男は…

やました・りさぶろう(1892-1952)
四国生まれ。本名は平八郎。別名に山下平八郎
幼い頃に一家で京都に移り、叔父の家を継いで山下姓となる(旧姓は不明)。
『新趣味』の懸賞に応募し、1922年12月号に「誘拐者」が当選・掲載される。
1933年、筆名を山下平八郎に改名。作品を発表するが、若い世代の作家からは「時代遅れの作家」とみなされる。
また、軍国主義的風潮の高まりから探偵小説を発表する事が困難となった為、探偵小説の執筆から遠ざかる。
PR
石原忍/色盲検査表の話

野村胡堂/随筆銭形平次 捕物帖談義、随筆銭形平次 捕物小説について、銭形平次捕物控 001金色の処女、芸術としての探偵小説、最近の犯罪の傾向に就て、捕物小説のむずかしさ、探偵小説と音楽、涙香に還れ、無題(故海野十三氏追悼諸家文集)
テレビ放送見てた筈なんだけど、テーマソングしか覚えていないので「銭形平次ってこーゆう話だったのか!」と思いながら読んでます。てゆうか入力校正済みのものからアップされるので続きが読めてません。いきなり300番代の作品が掲載されてたしかもタイトル「美少年国」って気になり過ぎてウダウダする。

岡本綺堂/三浦老人昔話
綺堂はつい何度も読み直してしまう。この作品は小話が何点か掲載されているので読み応え充分だよ、不思議な話とか憤慨する話とか色々。

山之口貘/沖縄帰郷始末記、池袋の店、声をあげて泣く——私の処女出版、おきなわやまとぐち、ダルマ船日記、詩とはなにか
沖縄出身の詩人。「やまとぐち」とは、沖縄の方言で日本語(標準語)の事。

久保田万太郎/浅草の喰べもの、可哀想な彼女、文字に対する敏感、「引札」のはなし
「文字に対する敏感」は、何か戒められた感じした。私は文字を扱った創作をしている訳ではないけど、こういう事を気を付けて繊細なものを感じていたいと思った。ちょっと正しいニュアンスで感じた事を伝えられない語彙の少なさに遺憾。ぷん!

菊池寛/我が馬券哲学、芥川の事ども、ある恋の話、無名作家の日記、恩讐の彼方に、屋上の狂人、大力物語
人生初、菊池寛読みました。この人の作品面白いな!「ある恋の話」は綺堂の「三浦老人昔話」の一編みたいな感じ。面白いよ。「無名作家の日記」は創作活動サボり勝ちな私には身に沁みるんだぜ…

今年も色んな作家さんの作品を読むぞ!
・創作篇
霧の夜の出来事
2006年に世田谷の旧宅で発見された未発表作品。
自殺する為に青酸カリを買った青年と、青年に渡すはずの青酸カリを間違えて別の人に渡してしまった薬局の女性店員の、不思議な夜の物語。これ好き。

ルパン大盗伝
ルブラン『水晶の栓』の翻案。
主要人物と、あるトリック以外はほぼオリジナルストーリー。

海底水晶宮
ルブラン『奇岩城』に基き、ルパン以外の登場人物名を日本名に置き換えた翻案。
ショルメス(=ホームズ)が登場せず、結末が原作とは異なっているらしい。

恐ろしきエイプリル・フール
『新青年』の懸賞に一等当選したデビュー作。
4月1日の悪戯が、とんでもない事態を招く。
のちに「恐ろしき四月馬鹿(エイプリルフール)」に改題。

科学教室の怪火
「恐ろしきエイプリル・フール」の探偵役・速水少年が登場。
『新青年』懸賞探偵小説に応募した「破れし便箋」を改題・改稿したもの。

卵と結婚
フランス雑誌の漫画を文章にしたもの。
卵に書かれた結婚相手募集の住所に手紙を送った男のダブル悲劇。

十二時前後
佐川春風(=森下雨村の筆名)名義で発表。
タイトル通り、十二時前後のアリバイの話。

橋場仙吉の結婚
身体的コンプレックスを持つ橋場仙吉が結婚するまでの話。

恐ろしき馬券
恐怖のきちがい連鎖。それを食い止めたのは機転の利いた人物の遺言書だった。
山名耕作名義。

悲しき暗号
暗号と恋愛。

宝玉的説話集
山上三四郎名義。

お尻を叩く話
映画に出ている外国人俳優の仕草を真似るのが好きな山名耕作。
「シャンパンの底を叩いて栓を抜く」という技をマスターした彼は事ある毎にそれを披露するが…

首を抜く話
山名耕作名義。同タイトルの作品を書き直したもの。
乱歩の「芋虫」と同じ設定だけど、こちらはユーモア。

博士昇天
思い込みが強いと何でも可能なんだなァ。

足の裏―共犯野原達男の話
1930年9月に起きた実話を基にした心理ホラー。

五つの踊子
人気絶頂の舞台女優が突然引退した。
真相は明かされないまま、女優は彼女そっくりの人形を五人の男に贈った翌日、死体となって発見された。

妻は売れッ児―甘辛夫婦喧嘩抄
「夫婦書簡文」改稿。
作家として落ち目の夫と流行作家の妻。二人の間で交わされた夫婦喧嘩の手紙を妻は無断で作品にして出版社に送るが…

黄色い手袋
盗賊の元にかかってきた間違い電話から、ある人を陥れる為の恐ろしい犯罪が明るみになる。

五万円の万年筆
奇妙な男達のやり取りを聞いたスリの男が犯罪に巻き込まれる。

ドラ吉の新商売
すごいオチだった^^^

コント・むつごと集
甘い夫婦の二ヶ月:出産の為妻が帰省している間に夫は別の女性と交際するが…
十三人目の恋人:妻の過去の男!
貞操と長靴:年の離れた姉妹の、互いを思いやる心が引き起こした悲劇。

陽気な夢遊病者
内気な青年の恋物語。

堀見先生の推理
推理好きの堀見俊六先生。先生の崇拝者・和戸 孫氏が持ってきた紙入れの持ち主を推理する。
その名の通り、ホームズとワトソンのもじりである。

榧(かや)の木の恐怖
流産して以来、子宝に恵まれない夫婦。妻がノイローゼになったのをきっかけに郊外の一軒家へ引っ越す。
以前そこへ出入りしていた薬売りの話によると、その家に住んでいた老婆が突然姿を消したのだという。
同居していた老婆の甥と遠縁の女が庭の榧の木を移植していたのを目撃していた薬売りは、二人が老婆を殺して木の下に埋めたのではないかと言うが…

・評論・随筆篇
ビーストンの面白さ/創作探偵小説集『心理試験』(新著評判)/幽霊屋敷/私の死ぬる日/ビーストンに現れる探偵/探偵小説講座(『探偵趣味』版)/処女作云々/いろいろ/探偵映画蝙蝠(バット)を観る/無題(喫茶室)/酔中語/「ユリエ殺し」の記/恋愛曲線を称ふ/銀座小景―或は、貧しきクリスマス・プレゼント/散歩の事から/シネマの玩具化/不吉な数(近頃面白く読んだもの)/陰獣縁起/トーキーと探偵物/思ひ出の断片(亡き小酒井不木氏を偲ぶ)/グリーンの作品/ファーガス・ヒューム/ビーステンドサム/パリのなぞ/くすり屋の抽斗から/探偵・猟奇・ナンセンス/探偵小説講義(『探偵小説』版)/横溝正史小伝/光る石(大下宇陀児氏の作品)/クロスワード式探偵小説/彼の精神力(水谷準氏の横顔)/現実派探偵小説(橋本五郎氏の作品)/浮気な妻故(女性を解剖する)/東京パンの思ひ出(佐左木俊郎氏の思い出)/カミ礼讃!/探偵小説壇の展望/江戸川乱歩へ/槿槿先生夢物語/探偵小説の簡便化/クレオパトラと蚤/続槿槿先生夢物語/私の探偵小説論/上諏訪三界/アンケートほか
※幽霊屋敷=ホラーな見世物小屋。今でいうお化け屋敷。
※「ユリエ殺し」=探偵作家たちによる寸劇タイトル。乱歩が警察官の格好をして舞台が始まる前から警備の仕事をしていたけれど、誰にも気付かれなかったとか。
※恋愛曲線=小酒井不木の代表作。
※パリのなぞ=当時パリで起きた動機不明の殺人事件の事について

印象深いのは「私の死ぬる日」。これは若かりし頃、いきなり見ず知らずのおばあさんに
「お前は28歳で死ぬ!九月に死ぬ!」
と予言された事を書いたもの。九月だったかドウかは定かじゃないけど。
親族か友人がこの月に死んだだろう、だからお前も同じ月に死ぬと言われたんだって。
で、まだ20代前半だった横溝さん(24だったかな)は、言われた月に友人が死んだので吃驚した。吃驚せざるを得んわな。
んで、気が向いたらどこどこに来い、私が祈祷してやるからと言って老婆は去って行った。
友人達にその話をしたら、是非祈祷してもらってこいと勧められたんだとか。
行ったかドウかまでは書かれてないんだけど、横溝さんは何度も大喀血をしながらも煙草を吸い続け79歳まで生きていたので、…行ったの…かなぁ。
小説家って占い大好きだからね、高木彬光も占いで小説書けって出たから書いたんじゃなかったっけ。
・創作篇
三つの樽 ※クロフツ『樽』ネタバレ有
事故を起こしたトラックから落ちた二つの樽。
一つは空で、どこかへ転がっていってしまったが、もう一つの樽には女性の死体が詰められていた。
樽の送り主は彫刻家で、樽には石像が運送屋の目の前で梱包されていた。しかもそれを手伝っていたのは樽から死体となって発見されたモデルの女性だった。
冒頭は何だかすンごい犯罪だ!と思ったけど、最後は犯人の自滅ってゆうオチでちょっとがっかり。
因みに彼の探偵小説に登場する探偵は二人いて、一人は満城(みつき)警部補というシムノンのメグレ警部を彷彿とさせる巨漢の男性。
地道な捜査で犯人を追い詰めるので「和製メーグレ」と渾名されている。いつもむっつりしていてニコリともしないパイプ愛好家。
もう一人は三原検事。ファイロ・ヴァンスが好きらしく、捜査に心理実験を用いたり、会議で事件とは無関係と思われる学術的な長話をしたりする。
実はそれが事件と関係がある話だと気付く人間がいるか試すためだったりするので、多分職場で嫌われているとオモウ。

新納(にいろ)の棺
新納家四兄弟のうち、三人が一週間の間に死亡した。
長男が脳溢血で死亡した翌日に次男も脳溢血で死亡しているのが発見され、葬儀の帰りの汽車内で長女が青酸カリによって毒殺されたのだ。
遺産の殆どを相続する事になった三男と、長男の保険金を受け取った若い嫁に容疑がかかるが、どうやって兄弟を殺したのか。
容疑者の特定は、二人が犯行を仄めかす会話をしていたのを満城警部補が盗み聞きしていたからな訳でして…
マア、ちゃんと裏を取ったりしてるけど、例の「第三の尋問」によって犯人を自滅に追い込むのは単に三原検事の趣味だと思う。
で、ちょっと疑問なんだけど、長女毒殺のトリックに利用された柿羊羹なるお土産。
羊羹の材料って寒天だよね?カプセルの時差で毒が回ったのだから、解剖の結果寒天とゼラチンが検出されるんじゃないの?当時は寒天とゼラチンを区別出来る程精密な結果が出せなかったんだろうか…
結構、犯罪捜査の技術って侮れん程進んでいたようなのにうーん…

不知火 ※ヴァン、ルルー、ルブラン、島久平、乱歩作品のネタバレ有
不思議現象・不知火(しらぬい)を気象学的に解明しようとする博士と、不知火信仰で栄えていた部落の長。
博士の妻が何者かに襲われ、隣室にいた青年が殺害される。現場の階下には酩酊していたとはいえ、四人の若者が屯し、また、下男下女もいたにも関わらず、犯人の姿はどこにもなかった。
博士の不知火観測日、部落の長の娘が儀式の最中に焼死。博士も入浴中に頭を砕かれて殺されてしまう。
虫太郎程の読み難さはないけれど、人によっては読むのが面倒くさいと思われるペダンティックな作品。
運命に翻弄された女の悲しい結末。

ニッポン・海鷹(シーホーク) ※ヴァン作品ネタバレ有
海上から姿を消した大型和船。二ヵ月後の霧の濃い日、猟師達の目の前に突然現れ、再び姿を消してしまった。
残されていたのは、その和船の盾(※昔の船には、海賊が襲ってきた時用に常備されていたらしい)に括り付けられ、矢で胸を刺された男の死体だった。
同じ頃、一人の都会の青年が部落の掟によって処刑される。しかし死体を確認すると、全く別の男の死体にすり替わっていた。
海賊の財宝伝説や、特殊な部落への差別や偏見、村のしきたり、一族の血…これらの宿命に翻弄される人々の悲しい話。

南泉斬猫(なんせんざんみょう)
「国宝にしよう」運動の起こった猫見櫓が何者かによって燃やされてしまう。国宝にする事で入ってくる金を目当てに、市と町の政治家達が権利を取り合いしていたものだったので、捜査は難航。
後日、近くの竹やぶで、首と胴が殆ど切断されたホステスの死体が発見される。
彼女は猫見櫓の利権で対立する二人の政治家達から口説かれており、事件当日も放火のあった日も三人で一緒にいたのだった。
「動機なき殺人」の犯人は…??

瓢(ひさご)と鯰(なまず)
瓢箪収集家の長男の未亡人が滝壺に落ちて死んだ。自殺か、過失か、あるいは殺人なのか。
その後の捜査で凶器及び「被害者が滝壺に落ちるまでに時差を作るトリック」が判明したが、容疑者であった被害者の婚約者が砂の詰まった大きな瓢箪の下敷きになって死亡した。
これ、犯人はものすごく自分勝手な動機でもって二人を殺すんだけど、オチがなんか奇麗にまとまってる感じがする。

髭のある自画像
画壇の大家が絞殺され、線路上に遺棄される事件が起こる。詳しく調べると、死体は別の画家である事が判った。
贋作問題とか、スランプとか、芸術論とか…事件の背後にある問題に、私はすごく魅かれる。魅かれる?何と言うか、すごく焦燥感に駆られました。

雪のなかの標的
鴨撃ちに行った四人のハンター。銃声がしたので立ち止まって振り返ると、もう一発の銃声が。
銃弾はハンターの一人を撃ち抜き、犯人は無人の小屋に逃げていった。
一人は怪我人の介抱の為残り、残るハンター二人と、銃声を聞きつけた農夫が小屋を見張っていた。
地元の警察官達が駆けつけ、小屋に踏み込むと、そこには首吊り死体がぶら下がっていた。
「犯人の性格上、自殺をするなんて考えられない」という人々の話により、満城警部補と三原検事が事件を調査する。

世木氏・最後の旅
吊橋から転落した男女の死体は、大阪から九州旅行に来ていた世木氏とその妻と判明。
事故か自殺か、あるいは他殺かを調べるうちに、世木氏と思われていた男性が背格好の似た別人だという事が判明した。
私の苦手な時刻表トリックです、案の定乗り換えとかちんぷんかんぷんでした。
私ほんと数字が出てくるトリックわからん。

ある密室の設定 ※ヴァン、ポーのネタバレ有
鍵をかけずに五分程留守にしていた間に内側から鍵をかけられたホステスの部屋。何の被害もなかったので、「密室騒動」は有耶無耶になったが、後日そのホステスが殺害される。
入り口は施錠されていたが、窓には鍵がかかっておらず、被害者のベッドの下からは窓からの出入りに使用されていたロープが、現場から離れた川の中からは被害者の血の着いた凶器がハンカチに包まれて発見された。
容疑者として浮上したのは、ホステスの部屋の向かいに住んでいる女性探偵小説家。しかし彼女は交通事故で足を怪我していて松葉杖なしでは動けないでいた。

・評論・随筆篇
「動機のない動機」の魅力/本格派の文学理論/惨殺された本格派/“伝奇”は虚構ではない―探偵小説の構成に関する一考察/新・本格派への待望―芭蕉は一人だけで沢山だ/本格派の陰謀―戦後派の探偵小説観/乱歩・文字の非文字
木々高太郎と甲賀三郎の抗争の時のものでしょうね、文学論についての意見を述べるものが殆どです。
私は甲賀さんより木々さんのが面白いと思って読んでるけど、宮原さんの評論とか読むと木々さんの印象すげー悪くなりました。流されやすいのです。

みやはら・たつお(1915-2008)
佐賀県佐賀市生まれ。本名は龍男
1949年『宝石』主催の百万円の懸賞付き探偵小説コンクールに「三つの樽」が三等入選。
中・短編を30作程発表するが、62年「葦のなかの犯罪」で筆を断つ。
76年に「マクベス殺人事件」を発表した後は再び執筆する事無く歿する。
いっぱい作品を読ませてくれて有難うございます。
また来年もお世話になります。


吉川英治/三国志 序、桃園の巻、篇外余録
三国志、ついに読んだよ最初と最後だけ…!人が多過ぎて判らんからさ…
関羽と張飛は髯、劉備はイケメンだって事は判った。曹操はあまり頭良くないと思った。暗殺用にぎらぎらの宝玉付きの刀使うなんて、大胆不適を通り越してるよ。

リチャード・オースティン・フリーマン/歌う白骨(妹尾アキ夫訳)、予謀殺人(妹尾アキ夫訳)
「歌う白骨」はドイツの古い話からのタイトルだけど、白骨は出てこない。この犯人は賢くないよ。
「予謀殺人」は恐喝者を亡き者にする話。この犯人はそこそこ賢い上に運が良い。

小川未明/木と鳥になった姉妹

田中貢太郎/黄金の枕、狼の怪、唖の妖女、唖娘、追っかけてくる飛行機、男の顔、鬼火を追う武士、お化けの面、阿芳の怨霊、女の姿、女の首、女の怪異、蛾、女の出る蚊帳、海異志、海神に祈る

蒲松齢/王成(田中貢太郎訳)、汪士秀(田中貢太郎訳)

アダ・ネグリ/母(上田敏訳)

夏目漱石/倫敦消息、夢十夜、『我輩は猫である』上篇自序

正宗白鳥/奇怪な客、見て過ぎた女、幼少の思ひ出
BACK HOME NEXT
calendar
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
profile
HN:
エグチマサヤ
趣味:
寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: All Rights Reserved