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[創作篇]
明石良輔の事件簿
・印度林檎:新聞記者の明石良輔は、「夕刊新東洋」に「推理の世界」という、主として過去の未解決事件を机上推理による彼一流の解釈を繰り広げるコラムを掲載している。午後七時四十五分着の電車で中野駅に降りる時に出会った女と口を利くようになった明石は、十二月半ばにその女の家を訪ねる事になった。しかし強盗に襲われ、女は殺されてしまう…
→明石の眼前で行われた殺人…普通の探偵なら俄然犯人に対する闘志を燃やす筈だが、彼は積極的に事件を解決しようとはしない、ちょっと変わった立ち位置の探偵役のよう。(長編では事件とどのように接するか判らんけど)以降の作品でも、事件の真相を探る積極的な姿勢より、犯人から罪の告白を受けて事件が解明する展開が多い。それは、犯人が本当の悪人ではない事や明石の優しさ(甘さ)の表れなのかも知れない。しかし新聞記者ならもちょっと事件解決に係われよ…仕事しろよおと思わんでもない。

・蔦のある家:ある家の暖炉に隠された手紙には、恐ろしい犯罪の懺悔が綴られていた…
→えっ、えっ…??えええ…(驚愕の事実)

・暗闇の女狼
→切り裂きジャック事件。レギュラー化しそうな女子出てきたけど、結局これ一話にしか出てこなかったんだって。思わせぶりな書き方しやがって…

・鳥は見ていた
→救いが無さ過ぎてツライよお!!

・小指のない女
→ひ、無茶するなぁ…

・二月の悲劇
→明石は探偵ではないので、虫の知らせがあっても事件を止める事は出来ないし、犯人を指摘して断罪する事もしないってゆうスタンスが強く描かれた作品だと思った。この話では、明石がとったある少女に対する行為の結果、悲劇を引き起こしたとも言えなくもない。そして明石はただ、事件の結末を見届ける為に存在している。超人的な素人探偵じゃないところに好感が持てる。

・笛吹けば人が死ぬ
→犯人はどこまでも計算していたのか…それとも単なる自己顕示なのか…。明石、完全なる敗北。

・冷たい唇

・青い雌蕊
→「笛吹けば人が死ぬ」と同じく、犯罪傾向の強い女なのか、男達に利用されただけなのか…



・毛皮の外套を着た男:毛皮の外套を着た吉田と名乗る男が、印度から持ち帰った五万円の夜光珠を銀行へ預けにやってきた。夜光珠に万が一の事があったら全責任は銀行が負うという約束だった。翌々日、急に印度に帰る事になったと言って夜光珠を受け取った吉田だったが、更に翌日、再び吉田がやって来て前日に来た男は偽者だった事が判明する。銀行の支配人は徳田探偵と事件の捜索掛長に夜光珠を見付け出してくれるよう依頼する…
→大体判るよね。因みに「夜光珠」はダイヤモンドの別名なんだって。とってもカッコイイ呼び方だよね。

・罠の罠:徳田探偵から、六時までに帰らなかったら警視庁総監に渡してくれと封筒を預かった私。狼団を壊滅すべく罠と知りながら狼団の会合するS鉄橋へ出かけた彼の後を追った私は、探偵が狼団に捕らえられ激流に投げ込まれるのを目撃した。しかし一縷の望みを捨てきれぬ私は徳田探偵が帰ってくるのを事務所でひたすら待ち続け…
→タイトルがネタバレなのでは…?これも大体判っちゃうし、「私」の(悪い意味での)ワトソンぶりにもやもやするぜ。

・あかはぎの拇指紋:狂人として収容された男の遺言書――そこには狂人とされた男が犯した罪と、被害者の恐るべき秘密が認められていた…
→「あかはぎ」と呼ばれる強盗の正体を知った男が恐怖の為に自分の罪を自白するも、てんで相手にされず、彼を「犯罪者」にしたくない家族や恋人によって「狂人」に仕立ててしまうという狂気の展開。更にどんでん返しもあるよ。

・発狂:秋山敬作は、父に両足を切断する大怪我を負わせ、病弱だった母の死期を早めた男・米田に復讐するよう父に教育されて育った。父子は住処を転々とし、いつの間にか戸籍は「稲葉善造」とその子「保」となっていた。二十三歳の時、父が死ぬと、保は米田に接近し、一人娘である敏子の恋人となった。そして、ついに復讐が始まった…
→割と早い段階で「ああ、アレはコレでソレでコウだね」って判ってしまうけど、三章がそれまでのシリアス調から一転して滑稽な感じのオチに繋がっていて、更に最後には正気である事が果たして幸せなのかってゆう問題提起になっていて、ちょっと考えさせられる。文章はそれ程上手い感じしないけど、これ、中学生の時の作品なんだって…(1926年ね)

・現場不在証明(アリバイ):勝見は堀を挟んだ向かいに住む秋山を殺そうとしている。しかし敵が多い秋山だが、一番の動機を持つのは勝見であり、秋山が殺害されれば真っ先に疑われるのは充分承知していた。しかし完璧な現場不在証明さえあれば捕まらないと考えた勝見は、秋山邸の隣に建てた小屋から伸びるアンテナから完全犯罪を思い付く…
→乱歩の「心理試験」や、小酒井不木が霧原警部にやらせた“特等訊問”みたいな…ただ、このやり方はあんまり好きじゃないな、揚げ足取りじゃん、証拠がないんだし、勝見のメンタルがしっかりしてればいくらでも切り抜けられただろうに。つーか、船岡刑事が言う程勝見は頭良いとは思えぬが…

・梅雨時の冒険:浅野の元に三度も届けられた真紅な封筒…友人の上条と共に出かける先々に現れる森という男。昨年起きた宝石盗難事件に係わっているようだが…
→ちょっと良く判らない。というか、何がしたいの??行動が不自然で茶番が過ぎる。都合良く浅野に似た身元不明の自殺者が出てきたり、そいつの懐中に盗品を入れたり(つか、そんな事出来るのは死体第一発見者を除いたら、自殺に見せかけて殺さん限り無理やろ)筆跡を真似したり(というかどうやって小原の筆跡を手に入れたんだ)色々無理が有り余る。夢野久作しか書いてはいけないタイプのやつやで。

・死体昇天:幸次は妻の時子と親友の浅川の仲を疑っていた。十二月、A山へスキーに来た夫妻を追うようにやって来た浅川は、時子と二人でスキー遠征に出かけたが、谷に落ちてしまう。時子から知らせを受けた幸次は浅川を助ける為吹雪の中へ…十ヵ月後、白骨化した浅川の死体が見付かったが、頭には銃創が残っており、浅川が見付かる数日前に拾われた幸次の水筒には銃創と血痕が付いていた…

・蒼魂:特種を追って、緑川一族四人と機関士が乗った旅客機へ向った操縦士の私と写真班の最上、そして緑川の甥でもある記者の遠矢。しかし追いついた旅客機は無人であった…
→マリー・セレスト号事件の飛行機版。

[随筆篇]
『発狂』について/書けざるの弁/急がば廻れ/大衆文芸と探偵小説/処女作の思ひ出/ルブランと髷物/時代小説の新分野/抱負

つのだ・きくお(1906-1994)
神奈川県生まれ。別名・奥田野月。
小学生の頃から俳句や短歌の投稿を始める。東京府立三中在学中の1921年、スポーツ小説の懸賞に応募して二等となる。22年、『新趣味』に「毛皮の外套を着た男」を発表しデビュー。
その後は伝奇小説、時代小説など幅広いジャンルの作品を書き、47年、『小説』に『高木家の惨劇』を発表。54年から60年まで日本探偵作家クラブ副会長を務める。
66年、還暦の記念として『角田喜久雄氏華甲記念文集』が出版されるが75年頃には創作から手を引く。94年死去。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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