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人生初の鮎哲…二段組…

【第一部】
・白の恐怖:友人の鮎川君から私の手記を出版しないかと誘いを受けた。民事弁護士の私が係わる事になった白樺荘の事件を発表しろと言うのだ――高毛礼一(こうもれい・はじめ)氏が残した遺産を会った事のない五人の甥姪たちに分配する為、真冬の軽井沢に集まる事になった。甥姪の内、一人は戦死していた為、四人で五千万円を分ける事になったが、高毛礼家の女中と私の助手が殺害されたとの知らせがあり…
→1984年桃源社より発刊。鮎哲長編で唯一の文庫未収録作品。とても読み易かった。鮎哲は時刻表トリックが中心だと思ってたから(数字の羅列を見ると眠くなるタイプ)火サスの鬼貫警部シリーズで満足してたけど、何でもっと早く読んでなかったんだ…!
(いきなりネタバレ反転)死体発見時、丸茂君の顔を確認出来る人はいなかった筈なので、きっと替え玉だ…!と思ってたのに、アッチが入れ替わっていたのか…!眼の付け所は良かったのに(自賛)悔しい!(良い笑顔)あと、遺産の分配に関しては私も不満を覚えたので(もらえないのに…)、動機についても気付けた筈なのに…!(反転終わり)

【第二部】夜の演出
・探偵絵物語 最後の接吻/退屈なエマ子/アドバルーン殺人事件/舞踏会の盗賊/出獄第一歩/処刑の広場/激闘の島/ヨットの野獣/無人艇タラント号/九時〇七分の恐怖/湖泥のギャング/エミの復讐
→鮎哲愛好家が単行本未収録作品だけを集めて刊行した私家版。藤巻一郎、猿丸二郎、畷三郎、五反田四郎名義のローテーションで、牧村史郎という人のイラスト入り。復讐譚あり、ユーモアあり。ところで、眠らせたオッサンを女性一人で運ぶのは困難なのでは…?人目にもつくしだし…みんなグルなの?



・寒椿→(ネタバレ反転)色ネタには気をつけろって!ミスおたなら!なぜ!気付かなかった!!悔しい!!(反転終わり)
・黒い雌蕊→この男むかつくね…
・草が茂った頃に→ショートショート
・殺し屋ジョオ
・青いネッカチーフ→犯人当てクイズ。あからさま過ぎるヒント、いるのか…?
・お年玉を探しましょう→昭和34年1月1日に放送されたラジオドラマ。ハッピーエンド。

【第三部】海彦山彦
・海彦山彦:品行不良な双子の弟・山彦が殺されたと、兄の海彦から電話を受けた警部。山彦を恨んでいたのは女優の山吹マリ子とバーの用心棒・児島半助の二人だが…
→犯人当てクイズ。だから何でこんなあからさまな伏線とヒントを…
・遺書:伯父である音楽評論家の殺害を殺し屋に依頼した甥。殺し屋は評論家に遺書を書かせ射殺し自殺に偽装したが、報酬を受け取る場所で逮捕されてしまう…
・殺し屋の悲劇:夫の殺害を依頼され、散歩ルートで待ち伏せする殺し屋。しかしターゲットは現れず、別の男を殺した容疑で逮捕されてしまった…
・ガーゼのハンカチ:うっかり殺してしまった女の死亡時刻を偽装する事でアリバイを作った男。完全犯罪の筈が、あっさり逮捕されてしまった理由とは…
・酒場にて:Mホテルのバーで雑誌社の女性記者と待ち合わせをしているわたし。彼女は一向に来る気配がなかった。隣の席に座っていた女性が、このホテルで起きた事件について語り出した…

【第四部】
・白樺荘事件
→『白の恐怖』を改稿した未完の遺作。桃源社が三百枚位で一冊として刊行した全集用の書き下ろしだったので、登場人物も少なめで軽井沢へ行くまでも短かった分、がっつり追加されている。甥姪は九人に増えてるし、軽井沢に集まる前に事件が起きてるし(未完なので、このへんの事件が事故か他殺か死を偽装したものなのかは不明)、ついでに遺産も大幅アップ!一人五十億ですってよ!いくらだよ!?
『白の恐怖』では、佐々(さっさ)弁護士の手記だったけど、全国各地に散らばっている甥姪を探し出してきた探偵視点に変更されている(因みに、登場する弁護士も探偵も『白の恐怖』とは別人になっている)。酒と女が大好きな、女房に逃げられた貧乏探偵だよ。高毛礼一族も小森一族に名前を改められ、岡山出身となっている。そして探偵は金田一の小説を思い浮かべる(のだが、後の章では本格は読まずハードボイルドしか読まないと言っている)。
あと、『白の恐怖』では嫌な奴としょうもない奴しかいなかった甥姪は、それぞれ個性的かつどこか憎めないキャラクタに変更されている(一人だけ、嫌な奴枠の甥がいるが…)。なので殺されてしまうとショックだし、探偵が犯人を憎く思う気持ちが判るので、改稿前より人間的な面で魅力がアップしていると思う。『白の恐怖』も魅力的だけど、やはり登場人物(特に甥姪)に感情移入出来ない点がちょっとドライなものにしてると思う。小酒井不木の短篇的な。
ただ、推敲前なので設定が前章と変わっていたりする箇所もある。探偵料が五千万から一千万に減ってるのが一番気になった…
マァ、作者がどのように執筆していくかってのが判る点が良いよね。

【第五部】
・地底の王国
・恐龍を追って
→ノンフィクション。青井久利名義



あゆかわ・てつや(1919-2002)
東京都生まれ。本名・中川透。別名・那珂川透、薔薇小路棘麿、青井久利、中河通、宇田川蘭子ほか多数あり。
小学三年生の時、父親の仕事の関係で大連へ移り住む。戦後上京し、GHQ勤務のかたわら雑誌に投稿。1950年、『宝石』100万円懸賞の長篇部門に『ペトロフ事件』(中川透名義)が第一席で入選しデビュー。56年、講談社の『書下ろし長篇探偵小説全集』第13巻に、『黒いトランク』(鮎川哲也名義)を応募し、当選。
60年、『憎悪の化石』と『黒い白鳥』で、第13回日本探偵作家クラブ賞受賞。
90年、東京創元社主催の長編推理小説新人賞である鮎川哲也賞が創設される。アンソロジーの編纂を通して、戦前の作家・作品を発掘したり、新人作家の発掘に尽力した。
2001年、本格推理小説への多大な貢献を評価され、第1回本格ミステリ大賞特別賞受賞。
02年死去。没後、第6回日本ミステリー文学大賞受賞。
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