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2006年 明石書房
前作では100の事件を科学捜査法ごとにカテゴライズされていたが、今回は88の事件と科学捜査法及び犯罪解決に貢献した人物についてアルファベット順に分類されている。
翻訳ものだから仕方ないけど、アルファベットに馴染みがないので前作の分類法のが良かったなぁ・・・
あと、前作と翻訳者が同じなのに人物のカタカナ表記が若干異なっているのが気になる・・・ついでにいうと誤植が多い・・・ううん・・・
しかし前作(2000年発行)よりも科学捜査が発達しててすげーと思いました。
DNAは少ない標本から増幅する事が出来るようになったし、法昆虫学も死体農場で日々研究が行われているし、ほんとすごいなぁ。
他にも前作にはなかった項目が増えていて、犯罪を暴く方法は進化してゆくのだなぁと思った。
中でもすごいなぁと思ったのはフランソワ=ユージェーヌ・ヴィドック(1775~1857)という人。
過去に殺人を犯し、その後も犯罪で生計を立てていたのだが、恩赦を受けた見返りにスパイとなりパリの警察庁で捜査を任されるようになる。スパイと情報屋を駆使し、12人の常勤の部下と共に800人以上を逮捕。変装と見張りの名人で、内報や情報を記録する為にカード検索システムを導入したり、犯行現場に残された足跡を石膏で型をとるのを考案した。その後スキャンダルによって警察をやめざるを得なかった彼は世界初の私立探偵事務所を設立したのである。
犯罪者から犯罪者を追う立場に転身しちゃってそのうえ犯罪捜査の先駆者になっちゃうんだから凄いよね。
他にも人体測定学(頭の大きさ、腕の長さ、ほくろや刺青などの肉体的特徴を持つ人間は二人といない、という考えに基づいたもの)によって偽名を使った前科者の正体を見破るのに役立ってたけど、指紋による身元確認が確立した為功績を忘れ去られたアルフォンス・ベルティヨン(1853~1914)とか。
事件だけじゃなく、事件解決の為の手法を考案してきたり、その技術をより精密なものにしてきた人達についても知る事が出来て面白い。
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一級建築士によるミステリに出てくる奇妙な建物を建築図面に落とし込み、ついでに建築にどれだけのお金がかかるのかを調査した本。

調査された家たち・・・

●十角館 (綾辻行人『十角館の殺人』)
●8の字の家 (我孫子武丸『8の殺人』)
 長ーい廊下のロッジ (歌野晶午『長い家の殺人』)
 居留地建築+インド様式なホテル (篠田真由美『玄い女神』)
 十字屋敷 (東野圭吾『十字屋敷のピエロ』)
●3連ドームハウス (森博嗣『笑わない数学者』)
 82mの塔 (法月綸太郎『誰彼』)
●ちょう有名な武家屋敷 (横溝正史『本陣殺人事件』)
 逆L字型の家を真っ二つにした家 (江戸川乱歩『三角館の恐怖』)
●傾いた家+傾いた塔 (島田荘司『斜め屋敷の犯罪』)

読んだ事ある小説には黒丸付けてみました。うーん半分しか読んでないか、まだまだ未熟者だな。
この中で最も気になるのは乱歩です、ちょう資産家の父親が「より長生きした方に全財産相続させる」という遺言を残した事から、仲の良かった兄弟が、その家族ぐるみで険悪になって40年以上も同じ敷地に住んでいるってゆう話・・・気が滅入るね! たとい家を真っ二つに区切っても玄関で鉢合わせしたらテンション下がるよね。
この話の元ネタはスカーレットの『エンジェル家の殺人』良く聞くけど読んだ事ないな・・・
で、この家の凄いのは1890年頃に建てられた家を1920年に改築(家を真っ二つに区切った)したときになんとホームエレベータを設置したところ!
日本で最初に国産エレベータが設置されたのが1913年に建てられた初代通天閣らしい。
てゆかいくら資産家だからって、まじパねぇぇええ! という訳です。乱歩がパねぇ。
(でも風呂・トイレの記述は無かったらしい・・・そっちのが気になる)

因みに、この本で調査された家(塔)を建てるのに必要な最低金額は

島いっこ+4000万以上

です。
高額なものは

数十億

です。(マァあんな装置付いてるんだからな・・・ブツブツ)

結論

辺鄙なところにある金のかかった建物で事件は起きる


今まで読んでた建物内で起きた殺人事件の現場をプロの視点から見る、てゆうのも面白いなぁ。
自分の仕事を趣味と結びつけて、それで書籍化→印税という図式を立ち上げた一級建築士も凄いなぁ・・・
なんか私も趣味と仕事を繋げて金にならんか・・・ ・・・ミステリ小説の漫画化とか、ブックデザインとか、うん、もうみんなやってるよね、凄い人いっぱいいすぎて参入不可だよね知ってた!
・・・夢くらい見たって良いじゃないか。
初めて読んだ時は登場人物に数学者が多くて、必然的に数学的文章が多々出てくるのでさっぱり理解出来なくて読むのがしんどかった記憶。
今読み返したら昔よりは話が判った。
これは、年を経て賢くなったという訳ではなく、判らんことは判らん! とスルー出来るようになっただけの事。
狡賢くなったんですね、こうやって駄目な大人になっていったんですね、成程!

本編はマザー・グース「誰が駒鳥殺したの」をベースに「コック・ロビン」という渾名を持つ男が弓と矢で殺害されるところから始まります。
マザー・グース殺人というと、クリスティの『そして誰もいなくなった』、日本だと横溝正史の『獄門島』が有名ですが、僧正はクリスティより前に書かれています。元祖ですね元祖。
だのに何故『マザー・グース殺人事件』ではないのか。
これは犯人が自らを「僧正」と名乗り、新聞社に犯行声明文を送ったからなのです。他にも理由があるけどネタバレなので割愛。
マザー・グースで思い出したけど、これ読んだ後、マザー・グース集読んだなー・・・いっぱいありすぎて、なおかつ翻訳があんまり正しい感じしなかったのとで殆ど読まなかったけど。
日本人にアメリカ人のユーモアセンスを丸々理解する事は不可能だった。少なくとも、10年前の私には無理だった。

改めて読んだら、結構オチが好きだった。
マァ、相変わらず犯人は自殺するのだけど。犯人が自殺して幕を閉じる話は本当は好きじゃない・・・

そういえば、普段翻訳ものは創元推理社って決めているのですが(オタクなので)、これは集英社の「乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST 10」というシリーズもので、いつもと翻訳者が違ったので新鮮だった!
カナリアとグリーン家はエラリー・クイーンと翻訳者が同じで、しかも探偵が理屈屋だので言い回しとか被ってて違う作家の本読んでいる気が薄かったんだよー。
再読。これは犯人覚えていなかった。

しろうと探偵のファイロ・ヴァンスがポーカーゲームで容疑者たちの心理を探り、真犯人となり得る人格を持つ人物を指摘するという画期的推理方法。
マァ昔の話なので、骨相学で犯罪者タイプを分けたり平気でしていた時代なので「本当にそんなんで犯人が判るのか」というツッコミは無しで。
それに心理学で犯人を見極めた訳ではなく、ちゃんと論理と証拠に基いて真犯人を指摘している。
うむ、ヴァン・ダインなかなかやるな!(何故上から目線)

ところでこのヴァン・ダインという人物。
本来は美術批評家で、芸術にすごく造詣が深く、作中のヴァンスも「ちゃちな」美術蒐集家として美術作品の批評をしている。
で、美術史なんかの執筆業で生計を立てていたのだが、病気になり、入院生活を余儀なくされ暇つぶしにミステリを2千冊読んだんだって。
現代では、ミステリ2千冊ってゆったら氷山の一角程度だろうけど、約100年前の2千冊って凄くね??
殆ど全てのミステリを読みきったと言っても過言ではないんじゃね??いや、こまかいことは知らないけどさ。
で、病状が安定してまた仕事するぞーて時にまた悪化!どんなけ!藪医者にでもかかっていたんじゃなかろうかと邪推してしまう。
しかも今回は絶対安静、仕事なんてとんでもない死にたいのか!位に脅されての入院。収入がないのにこんなじゃやっていけない・・・!
と、そこでヴァンは思った。
「私の美術評論文はたいした稼ぎにならんのに、ミステリは何年も売れている・・・しかも、しょうもない駄作ミステリですら印税が入っている・・・てゆうか私にも書けるんじゃね??2千冊読んだ私の方がもっと良いミステリ書けるんじゃね??」
そうして書き上げたのが処女作『ベンスン殺人事件』。大ヒット。
そして続くこの『カナリア殺人事件』。前作の倍売れた。
うーん、転んでもタダでは起きない人生だ。



ネットでPC価格比較サイト見てて、一昨日より今日みたら1000円安くなっていたので思い切って購入しました。
本当は白いのが良かったけど、白は黒の倍近い値段・・・何故・・・
白のが良いならマック買っとけ!正論です。
再読。
全然覚えてない!と思ったけど犯人は覚えていた。
読み返してみたら、僧正殺人事件と並んでヴァンの最高傑作と言われているのが良く判った。最初に読んだ当時はあんまり考えた事なかったけど、これ凄いよ!犯人自身にクリエイティブなところは一欠けらもない(と、最後に判る)んだけど、こうきたかヴァン・ダイン!て感じです。良く考えたら推理小説って多かれ少なかれどれもそうなんだけど、これは作中でそれを暴露しちゃっているからね!それとかこれとかで濁すって事は事件の核心に迫っているという事であるからして、スバルタはボキャブラリが貧弱なんだなぁと思わないように。一理あるけど。

イレギュラーな登場人物は、誰もが一癖二癖ある人物ばかりで、被害者となるグリーン家族の誰しもが、殺されたところで悲しむ者は居ないという凄まじい一家なのである。
憎しみと嫉妬で淀んだ、悪意に満ちた屋敷に25年間棲まないと莫大な財産の相続権が破棄されてしまうという悪夢のような遺言に縛られているグリーン家。
そんな一家を皆殺しにしようと動き出す殺人鬼。

うーん・・・頑張って僧正読み直そうかな・・・意味の判らん数式がちらちら出てきて苛っとするけど・・・約10年ぶりに読めばもうちょっと理解できるようになっているかもしれん。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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