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1913年から14年にかけて発表された、若作りした老人のようでもあり、老いて見える中年のようにも見えるモリス・クロウを探偵としたの短編集。
この探偵は事件の起きた場所で眠り、夢の中で事件を追体験する事で解決するという、サイコメトリー探偵の嚆矢なのである。
普通だったら胡乱な自称探偵が事件に関わるまでに紆余曲折ある筈なのに、絶世の美女である娘・イシスを登場させて現場の男達を虜にして強引に事件に関わらせている(親父を追い払うと美女も帰ってしまうし、親父を小馬鹿にすると美女が嘲笑の眼で見てくる)ところがすごい。
彼女のお陰で探偵は残留思念が薄れない内に捜査(寝るだけだが)し、よって物語が短編という枠に収まっているわけで、それは変人探偵を主役とした短編を創作するための発明なんじゃないかと思います(前例があるかもだが、不勉強なので思い付かない)。
100年前のサイコメトリー探偵なんて、オカルトやホラーなオチで片付けられちゃう話かと思っていたけど、訳が新しいからか古臭い感じは無く、事件の解決も現実的で超常現象でしたよって作品は最後の一篇を除いて無い。
以下、収録作品と簡単なあらすじ。

ギリシャの間の悲劇:博物館の「ギリシャの間」で起きた密室殺人。
アヌビスの陶片:遺跡から盗み出した陶片を巡る怪奇現象。
十字軍の斧:斧でぶち殺された評判の悪い男。凶器の斧は一人で持ち上げるのも困難なものだが…
象牙の彫像:アトリエから女性像が盗まれる事件が起きる。しかし彫刻家が眼を離したのはほんの30秒程だった…
ブルー・ラージャ:宝石紛失事件。
囁くポプラ:死亡事件が何件も起きている屋敷とは知らずに休暇の為にやってきた家族。ある日、誰もいない庭から名前を呼ぶ声が聞こえ…
ト短調の和音:アトリエで絞殺された画家。モリス・クロウが現場で視たのは、今までに聞いたことのない音楽だった。
頭のないミイラ:ミイラの首が切り落とされる事件が起きる。モリス・クロウの店にあるミイラも被害に遭い…
グレンジ館の呪い:幽霊が出ると言われているグレンジ館で起きる怪奇現象。クロウは主人にすぐさま引っ越すよう助言する。
イシスのヴェール:エジプト学者が解読したパルピスの古文書。クロウ他二人を証人に、古文書に書かれた儀式を忠実に再現する…


事件が起きる前にけっこうがっつり伏線はられた作品もあるので、怪奇現象の正体を見破るのは難しくない…と思う。正しくトリックを暴くまではいかなくとも、何となく判る…囁くポプラは特に。
それでも面白く読めました。なんか初期のXファイルみたいな感じ(人体発火事件とかやってた頃のイメージ)。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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