・レテーロ・エン・ラ・カーヴォ
→デビュー作そのいち。全編書簡体。Letero en la Kavetoとは、エスペラント語で「小さな穴の中の手紙」という意味らしい。
・赤鱏(あかえい)のはらわた
→デビュー作そのに。荒木十三郎名義。
・狆(ちん)
→26年発表、荒木十三郎名義。妾のヒモ男が警察や探偵をなめきっている話。
・探偵開業
→26年発表。堤君が探偵になった経緯。ユーモア系。
・塞翁苦笑:芸術家を志すニートの「彼」と友人の中沢。ついに生活が難しくなり、「彼」が田舎へ帰る為乞食の真似事をして西田という中年男から金を貰う。その金で田舎へ向うが途中下車した駅で山口という男に捕まりもてなされる事になってしまう…
→27年発表。人違いで悪事に加担させられる「彼」だが…小気味良い話だね。
・海龍館事件:寂れた旅館・海龍館にやってきた二人連れ二組の客たちは、主人にこの旅館を一万円で売ってくれと持ちかけてきた。せいぜい五、六千円にしかならない旅館を手に入れる為、客たちは二万まで値上げしてきた。不審に思った主人は長く逗留している当麻に相談するが…
→28年発表。
・脣花(しんか)No・1:「恋愛に関する変わった物語」の執筆依頼があったところへ変な手紙が「私」宛てに届いた。指定された家へ行くと、喜久田と名乗る男が集めた、あらゆる職業・階級の女性の唇のスクラップブックを見せられた。そして、唇を蒐集するきっかけとなった話を始め…
→28年発表。横溝の『悪魔の百唇譜』や…そして恐いオチ。
・青い手提袋:奇妙な盗難事件の被害者が、その翌日殺害され…
→28年発表。ほのぼのユーモアが続いたところへ突然殺人事件出てきてびっくりしたよ…橋本五郎も人殺してたのか…(言い方)
・お静様の事件:おしで白痴のお静様が何者かによって妊娠させられた。しかし、父と名乗り出た男は三人もいて…
→28年発表。金目当ての悪い奴二人(番頭と親戚の甥)と子どもだけくれっていう盲人の按摩の内、誰が本当の相手なのか…という話なんだけど、これは…忖度ってやつですかね、金の流れからすると盲人が相手なのでは…
金目当ての悪人から家を守れて、世間体も保たれたお静の姉夫婦的にも、悪者になったが田坂からお金を貰って恋人と一緒になれたおみよにも、家を継ぐ事になってた順三にも理想的な解決だし、探偵役の田坂も多額の謝礼を貰ったしだし、win winでハピエンだね!(真っ黒なハッピーエンド…)
・ペリカン後日譚(ごじつものがたり):佐々木三郎探偵の元に舞い込んだ事件の依頼。僕――彼の助手で世話人で唯一の友人でもある加知(かじ)すすむ――は探偵の活躍を期待して喜んだが、当の本人は乗り気ではない。佐々木探偵の名を我が町・多古奈(たこな)に知らしめたのは、ペリカン事件がきっかけだった…
→29年発表。やる気のない探偵…そこには深い?事情があったのだ!ポジオリ博士の次くらいに類を見ない探偵だぞ。
・地図にない街
→30年発表。青空文庫にて既読。
・蝙蝠と空気船:
→31年発表。青年甲から青年乙への三通の手紙。エアーシップしか喫まない甲の家で殆ど吸われていないバットが見付かった事で、妻の浮気を疑う話。
・眼
→31年発表。眼科病棟が舞台。網膜炎で入院する美女が昔捨てた男に脅かされる話。これん、めっちゃ恐いよ…
・疑問の叫び
→31年発表。佐々木三郎探偵が、何故探偵になったのかという話。探偵事務所の採用試験で出された、密室殺人を佐々木青年はいかにして解決したのか。尚、「ペリカン~」の佐々木氏とは別人のようです。
・撞球室の七人:撞球室にいた七人の内、一人が刺殺されたが、容疑者となった他の六人は一歩も外に出ていないにも関わらず、凶器は発見されなかった…
→31年発表。
・美談の詭計:養老の滝で汲んだ水が酒に変化したという話を聞いた役人が、真実か確かめる為にある衛士(えじ)を向わせた…
→31年発表。執念…!
→デビュー作そのいち。全編書簡体。Letero en la Kavetoとは、エスペラント語で「小さな穴の中の手紙」という意味らしい。
・赤鱏(あかえい)のはらわた
→デビュー作そのに。荒木十三郎名義。
・狆(ちん)
→26年発表、荒木十三郎名義。妾のヒモ男が警察や探偵をなめきっている話。
・探偵開業
→26年発表。堤君が探偵になった経緯。ユーモア系。
・塞翁苦笑:芸術家を志すニートの「彼」と友人の中沢。ついに生活が難しくなり、「彼」が田舎へ帰る為乞食の真似事をして西田という中年男から金を貰う。その金で田舎へ向うが途中下車した駅で山口という男に捕まりもてなされる事になってしまう…
→27年発表。人違いで悪事に加担させられる「彼」だが…小気味良い話だね。
・海龍館事件:寂れた旅館・海龍館にやってきた二人連れ二組の客たちは、主人にこの旅館を一万円で売ってくれと持ちかけてきた。せいぜい五、六千円にしかならない旅館を手に入れる為、客たちは二万まで値上げしてきた。不審に思った主人は長く逗留している当麻に相談するが…
→28年発表。
・脣花(しんか)No・1:「恋愛に関する変わった物語」の執筆依頼があったところへ変な手紙が「私」宛てに届いた。指定された家へ行くと、喜久田と名乗る男が集めた、あらゆる職業・階級の女性の唇のスクラップブックを見せられた。そして、唇を蒐集するきっかけとなった話を始め…
→28年発表。横溝の『悪魔の百唇譜』や…そして恐いオチ。
・青い手提袋:奇妙な盗難事件の被害者が、その翌日殺害され…
→28年発表。ほのぼのユーモアが続いたところへ突然殺人事件出てきてびっくりしたよ…橋本五郎も人殺してたのか…(言い方)
・お静様の事件:おしで白痴のお静様が何者かによって妊娠させられた。しかし、父と名乗り出た男は三人もいて…
→28年発表。金目当ての悪い奴二人(番頭と親戚の甥)と子どもだけくれっていう盲人の按摩の内、誰が本当の相手なのか…という話なんだけど、これは…忖度ってやつですかね、金の流れからすると盲人が相手なのでは…
金目当ての悪人から家を守れて、世間体も保たれたお静の姉夫婦的にも、悪者になったが田坂からお金を貰って恋人と一緒になれたおみよにも、家を継ぐ事になってた順三にも理想的な解決だし、探偵役の田坂も多額の謝礼を貰ったしだし、win winでハピエンだね!(真っ黒なハッピーエンド…)
・ペリカン後日譚(ごじつものがたり):佐々木三郎探偵の元に舞い込んだ事件の依頼。僕――彼の助手で世話人で唯一の友人でもある加知(かじ)すすむ――は探偵の活躍を期待して喜んだが、当の本人は乗り気ではない。佐々木探偵の名を我が町・多古奈(たこな)に知らしめたのは、ペリカン事件がきっかけだった…
→29年発表。やる気のない探偵…そこには深い?事情があったのだ!ポジオリ博士の次くらいに類を見ない探偵だぞ。
・地図にない街
→30年発表。青空文庫にて既読。
・蝙蝠と空気船:
→31年発表。青年甲から青年乙への三通の手紙。エアーシップしか喫まない甲の家で殆ど吸われていないバットが見付かった事で、妻の浮気を疑う話。
・眼
→31年発表。眼科病棟が舞台。網膜炎で入院する美女が昔捨てた男に脅かされる話。これん、めっちゃ恐いよ…
・疑問の叫び
→31年発表。佐々木三郎探偵が、何故探偵になったのかという話。探偵事務所の採用試験で出された、密室殺人を佐々木青年はいかにして解決したのか。尚、「ペリカン~」の佐々木氏とは別人のようです。
・撞球室の七人:撞球室にいた七人の内、一人が刺殺されたが、容疑者となった他の六人は一歩も外に出ていないにも関わらず、凶器は発見されなかった…
→31年発表。
・美談の詭計:養老の滝で汲んだ水が酒に変化したという話を聞いた役人が、真実か確かめる為にある衛士(えじ)を向わせた…
→31年発表。執念…!
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自殺した画家の卵・リンバードの追悼展にて、遺作で最高傑作とされる絵が盗まれた。アプルビイ夫妻も招待された内覧会の最中の出来事だった。
リンバードの死に疑問を持ったアプルビイが、彼の住居だったアパートを訪ねると、そこには本物のジョージ・スタイルスの絵が置かれていた。更なる盗難を避ける為、一端絵を自宅に持ち帰ったアプルビイ。自宅にはエドワード・クリスピンがスカナム・コートで起きた絵の盗難事件の調査を依頼しにやって来ていた。クリスピンはアプルビイが持ち帰った絵こそが盗まれた絵の一つであると告げる。そして、盗まれたもう一つの絵は、フェルメールの傑作「水槽」だという。
1952年発表。アプルビイシリーズ13番目の長編。
『ハムレット、復讐せよ』のエドワード・クリスピンが再登場!!これだからイネスは発表順に読まねばならんのよ…はよ未訳完訳で出して…
飛び飛びで出てるから、前回読んだ『アリントン邸の怪事件』ですっかり引退したアプルビイが警視監として現役で働いてる事に衝撃…警部~警視監の間がないもんだから…
デスクワークばかりだった警視監が久し振りに現場に出て犯人と対決…そして行方不明にってゆうすんごいスリルな展開!以降妻のジョディを中心に事件を追う事になるんだけど、こっちも緊張感溢れる展開。アプルビイの右腕として働くキャドーヴァーと合流し、アプルビイと絵の行方を捜査していく、冒険譚みたいな感じでした。
この、今回初登場(未訳本には出てるかもだが)のキャドーヴァー氏、実は別の長編で主人公として活躍してたキャラクタなのだとか。それも読みたいから翻訳お願いします出版者様ァーーー!!
リンバードの死に疑問を持ったアプルビイが、彼の住居だったアパートを訪ねると、そこには本物のジョージ・スタイルスの絵が置かれていた。更なる盗難を避ける為、一端絵を自宅に持ち帰ったアプルビイ。自宅にはエドワード・クリスピンがスカナム・コートで起きた絵の盗難事件の調査を依頼しにやって来ていた。クリスピンはアプルビイが持ち帰った絵こそが盗まれた絵の一つであると告げる。そして、盗まれたもう一つの絵は、フェルメールの傑作「水槽」だという。
1952年発表。アプルビイシリーズ13番目の長編。
『ハムレット、復讐せよ』のエドワード・クリスピンが再登場!!これだからイネスは発表順に読まねばならんのよ…はよ未訳完訳で出して…
飛び飛びで出てるから、前回読んだ『アリントン邸の怪事件』ですっかり引退したアプルビイが警視監として現役で働いてる事に衝撃…警部~警視監の間がないもんだから…
デスクワークばかりだった警視監が久し振りに現場に出て犯人と対決…そして行方不明にってゆうすんごいスリルな展開!以降妻のジョディを中心に事件を追う事になるんだけど、こっちも緊張感溢れる展開。アプルビイの右腕として働くキャドーヴァーと合流し、アプルビイと絵の行方を捜査していく、冒険譚みたいな感じでした。
この、今回初登場(未訳本には出てるかもだが)のキャドーヴァー氏、実は別の長編で主人公として活躍してたキャラクタなのだとか。それも読みたいから翻訳お願いします出版者様ァーーー!!
・月光の曲
→『少女画報』1931年1月号~9月号に連載された未完作品。父親と二人暮らしの少女が主人公。父から託された秘密の書類をめぐって、父親が誘拐?されて生死不明になっちゃうし自身も誘拐されたり危険に晒されたりするけど、「少年第十三号」と名乗る謎の美少年(恐らく彼女の生き別れた兄か)に助けられたり。しかし彼は列車のボーイ殺しの容疑者として警察や少女の協力者である探偵兄妹に追われる身なのだ!スリルとサスペンスと冒険色溢れるお話だよ!
…という感じか。
当時の少女達が憧れたであろう要素ぶち盛りした感じです。登場する少年少女みんな美少年美少女で全く区別付かない。何で少年少女向けの少女って「か弱いけど悪に立ち向かう勇気と正義感を持つ美少女」ばっかなんだろ。足手纏いだし事件ややこしくなるだけだからじっとしてろよ!
というかジュブナイルな小説は全部怪人二十面相シリーズを読んでいる気持ちになっちゃうのは私だけなのだろうか??
*
・梅由兵衛捕物噺 巻の一
ぬすみぎき/遺品(かたみ)の文束/奥州なまり/おっかさん/怪盗の約束/ぬれつばめ
・梅由兵衛捕物噺 巻の二
異説野崎村/与太郎の恋/河豚喰はぬ/盗人に追銭(おひせん)/怪談枇杷瀧(かいだんびわのたき)
・梅由兵衛捕物噺 巻の三
霜枯与太郎/けむり小僧/ほたる供養/茶番に一役/羽織の片袖
→それぞれB5ノートに清書された形で残された梅由兵衛シリーズもの。「怪盗の約束」は『久山秀子探偵小説選Ⅱ』収録の「由兵衛黒星」。なんだか梅吉姐さんがお秀っぽくなってるぞ…!
・風流落語調
・死出の股旅
→印刷はされていないが原稿用紙に清書されていた作品
・箱根みやげ
・妾宅の盗難
・実話牡丹灯
*
・付録
『久山秀子探偵小説選Ⅰ・Ⅱ』を発行後、久山の同僚だった人から連絡があり、久山の経歴や未発表作品を提供された為、『Ⅲ・Ⅳ』が発行されたそうな。すっげーこうやって埋もれていた作品が世に出回るのね…かんどう…
ひさやま・ひでこ(1896-1976)
東京都生まれ。本名・片山襄(のぼる)、のちに芳村升(のぼる)と改名。別名・久山千代子。
1922年東京帝国大学文学部国科卒業。25~28年、立正大学講師を務める。
25年、『新青年』に「浮かれてゐる「隼」」が掲載される。28年から海軍の教授職に就き、45年鹿児島海軍航空隊で終戦を迎え失職。
48年天理教校修養科卒業、52~57年ラ・サール高校の講師を務めるかたわら、「梅由兵衛捕物噺」で文壇に再登場。76年死去。
→『少女画報』1931年1月号~9月号に連載された未完作品。父親と二人暮らしの少女が主人公。父から託された秘密の書類をめぐって、父親が誘拐?されて生死不明になっちゃうし自身も誘拐されたり危険に晒されたりするけど、「少年第十三号」と名乗る謎の美少年(恐らく彼女の生き別れた兄か)に助けられたり。しかし彼は列車のボーイ殺しの容疑者として警察や少女の協力者である探偵兄妹に追われる身なのだ!スリルとサスペンスと冒険色溢れるお話だよ!
…という感じか。
当時の少女達が憧れたであろう要素ぶち盛りした感じです。登場する少年少女みんな美少年美少女で全く区別付かない。何で少年少女向けの少女って「か弱いけど悪に立ち向かう勇気と正義感を持つ美少女」ばっかなんだろ。足手纏いだし事件ややこしくなるだけだからじっとしてろよ!
というかジュブナイルな小説は全部怪人二十面相シリーズを読んでいる気持ちになっちゃうのは私だけなのだろうか??
*
・梅由兵衛捕物噺 巻の一
ぬすみぎき/遺品(かたみ)の文束/奥州なまり/おっかさん/怪盗の約束/ぬれつばめ
・梅由兵衛捕物噺 巻の二
異説野崎村/与太郎の恋/河豚喰はぬ/盗人に追銭(おひせん)/怪談枇杷瀧(かいだんびわのたき)
・梅由兵衛捕物噺 巻の三
霜枯与太郎/けむり小僧/ほたる供養/茶番に一役/羽織の片袖
→それぞれB5ノートに清書された形で残された梅由兵衛シリーズもの。「怪盗の約束」は『久山秀子探偵小説選Ⅱ』収録の「由兵衛黒星」。なんだか梅吉姐さんがお秀っぽくなってるぞ…!
・風流落語調
・死出の股旅
→印刷はされていないが原稿用紙に清書されていた作品
・箱根みやげ
・妾宅の盗難
・実話牡丹灯
*
・付録
『久山秀子探偵小説選Ⅰ・Ⅱ』を発行後、久山の同僚だった人から連絡があり、久山の経歴や未発表作品を提供された為、『Ⅲ・Ⅳ』が発行されたそうな。すっげーこうやって埋もれていた作品が世に出回るのね…かんどう…
ひさやま・ひでこ(1896-1976)
東京都生まれ。本名・片山襄(のぼる)、のちに芳村升(のぼる)と改名。別名・久山千代子。
1922年東京帝国大学文学部国科卒業。25~28年、立正大学講師を務める。
25年、『新青年』に「浮かれてゐる「隼」」が掲載される。28年から海軍の教授職に就き、45年鹿児島海軍航空隊で終戦を迎え失職。
48年天理教校修養科卒業、52~57年ラ・サール高校の講師を務めるかたわら、「梅由兵衛捕物噺」で文壇に再登場。76年死去。
[創作篇]
明石良輔の事件簿
・印度林檎:新聞記者の明石良輔は、「夕刊新東洋」に「推理の世界」という、主として過去の未解決事件を机上推理による彼一流の解釈を繰り広げるコラムを掲載している。午後七時四十五分着の電車で中野駅に降りる時に出会った女と口を利くようになった明石は、十二月半ばにその女の家を訪ねる事になった。しかし強盗に襲われ、女は殺されてしまう…
→明石の眼前で行われた殺人…普通の探偵なら俄然犯人に対する闘志を燃やす筈だが、彼は積極的に事件を解決しようとはしない、ちょっと変わった立ち位置の探偵役のよう。(長編では事件とどのように接するか判らんけど)以降の作品でも、事件の真相を探る積極的な姿勢より、犯人から罪の告白を受けて事件が解明する展開が多い。それは、犯人が本当の悪人ではない事や明石の優しさ(甘さ)の表れなのかも知れない。しかし新聞記者ならもちょっと事件解決に係われよ…仕事しろよおと思わんでもない。
・蔦のある家:ある家の暖炉に隠された手紙には、恐ろしい犯罪の懺悔が綴られていた…
→えっ、えっ…??えええ…(驚愕の事実)
・暗闇の女狼
→切り裂きジャック事件。レギュラー化しそうな女子出てきたけど、結局これ一話にしか出てこなかったんだって。思わせぶりな書き方しやがって…
・鳥は見ていた
→救いが無さ過ぎてツライよお!!
・小指のない女
→ひ、無茶するなぁ…
・二月の悲劇
→明石は探偵ではないので、虫の知らせがあっても事件を止める事は出来ないし、犯人を指摘して断罪する事もしないってゆうスタンスが強く描かれた作品だと思った。この話では、明石がとったある少女に対する行為の結果、悲劇を引き起こしたとも言えなくもない。そして明石はただ、事件の結末を見届ける為に存在している。超人的な素人探偵じゃないところに好感が持てる。
・笛吹けば人が死ぬ
→犯人はどこまでも計算していたのか…それとも単なる自己顕示なのか…。明石、完全なる敗北。
・冷たい唇
・青い雌蕊
→「笛吹けば人が死ぬ」と同じく、犯罪傾向の強い女なのか、男達に利用されただけなのか…
*
・毛皮の外套を着た男:毛皮の外套を着た吉田と名乗る男が、印度から持ち帰った五万円の夜光珠を銀行へ預けにやってきた。夜光珠に万が一の事があったら全責任は銀行が負うという約束だった。翌々日、急に印度に帰る事になったと言って夜光珠を受け取った吉田だったが、更に翌日、再び吉田がやって来て前日に来た男は偽者だった事が判明する。銀行の支配人は徳田探偵と事件の捜索掛長に夜光珠を見付け出してくれるよう依頼する…
→大体判るよね。因みに「夜光珠」はダイヤモンドの別名なんだって。とってもカッコイイ呼び方だよね。
・罠の罠:徳田探偵から、六時までに帰らなかったら警視庁総監に渡してくれと封筒を預かった私。狼団を壊滅すべく罠と知りながら狼団の会合するS鉄橋へ出かけた彼の後を追った私は、探偵が狼団に捕らえられ激流に投げ込まれるのを目撃した。しかし一縷の望みを捨てきれぬ私は徳田探偵が帰ってくるのを事務所でひたすら待ち続け…
→タイトルがネタバレなのでは…?これも大体判っちゃうし、「私」の(悪い意味での)ワトソンぶりにもやもやするぜ。
・あかはぎの拇指紋:狂人として収容された男の遺言書――そこには狂人とされた男が犯した罪と、被害者の恐るべき秘密が認められていた…
→「あかはぎ」と呼ばれる強盗の正体を知った男が恐怖の為に自分の罪を自白するも、てんで相手にされず、彼を「犯罪者」にしたくない家族や恋人によって「狂人」に仕立ててしまうという狂気の展開。更にどんでん返しもあるよ。
・発狂:秋山敬作は、父に両足を切断する大怪我を負わせ、病弱だった母の死期を早めた男・米田に復讐するよう父に教育されて育った。父子は住処を転々とし、いつの間にか戸籍は「稲葉善造」とその子「保」となっていた。二十三歳の時、父が死ぬと、保は米田に接近し、一人娘である敏子の恋人となった。そして、ついに復讐が始まった…
→割と早い段階で「ああ、アレはコレでソレでコウだね」って判ってしまうけど、三章がそれまでのシリアス調から一転して滑稽な感じのオチに繋がっていて、更に最後には正気である事が果たして幸せなのかってゆう問題提起になっていて、ちょっと考えさせられる。文章はそれ程上手い感じしないけど、これ、中学生の時の作品なんだって…(1926年ね)
・現場不在証明(アリバイ):勝見は堀を挟んだ向かいに住む秋山を殺そうとしている。しかし敵が多い秋山だが、一番の動機を持つのは勝見であり、秋山が殺害されれば真っ先に疑われるのは充分承知していた。しかし完璧な現場不在証明さえあれば捕まらないと考えた勝見は、秋山邸の隣に建てた小屋から伸びるアンテナから完全犯罪を思い付く…
→乱歩の「心理試験」や、小酒井不木が霧原警部にやらせた“特等訊問”みたいな…ただ、このやり方はあんまり好きじゃないな、揚げ足取りじゃん、証拠がないんだし、勝見のメンタルがしっかりしてればいくらでも切り抜けられただろうに。つーか、船岡刑事が言う程勝見は頭良いとは思えぬが…
・梅雨時の冒険:浅野の元に三度も届けられた真紅な封筒…友人の上条と共に出かける先々に現れる森という男。昨年起きた宝石盗難事件に係わっているようだが…
→ちょっと良く判らない。というか、何がしたいの??行動が不自然で茶番が過ぎる。都合良く浅野に似た身元不明の自殺者が出てきたり、そいつの懐中に盗品を入れたり(つか、そんな事出来るのは死体第一発見者を除いたら、自殺に見せかけて殺さん限り無理やろ)筆跡を真似したり(というかどうやって小原の筆跡を手に入れたんだ)色々無理が有り余る。夢野久作しか書いてはいけないタイプのやつやで。
・死体昇天:幸次は妻の時子と親友の浅川の仲を疑っていた。十二月、A山へスキーに来た夫妻を追うようにやって来た浅川は、時子と二人でスキー遠征に出かけたが、谷に落ちてしまう。時子から知らせを受けた幸次は浅川を助ける為吹雪の中へ…十ヵ月後、白骨化した浅川の死体が見付かったが、頭には銃創が残っており、浅川が見付かる数日前に拾われた幸次の水筒には銃創と血痕が付いていた…
・蒼魂:特種を追って、緑川一族四人と機関士が乗った旅客機へ向った操縦士の私と写真班の最上、そして緑川の甥でもある記者の遠矢。しかし追いついた旅客機は無人であった…
→マリー・セレスト号事件の飛行機版。
[随筆篇]
『発狂』について/書けざるの弁/急がば廻れ/大衆文芸と探偵小説/処女作の思ひ出/ルブランと髷物/時代小説の新分野/抱負
つのだ・きくお(1906-1994)
神奈川県生まれ。別名・奥田野月。
小学生の頃から俳句や短歌の投稿を始める。東京府立三中在学中の1921年、スポーツ小説の懸賞に応募して二等となる。22年、『新趣味』に「毛皮の外套を着た男」を発表しデビュー。
その後は伝奇小説、時代小説など幅広いジャンルの作品を書き、47年、『小説』に『高木家の惨劇』を発表。54年から60年まで日本探偵作家クラブ副会長を務める。
66年、還暦の記念として『角田喜久雄氏華甲記念文集』が出版されるが75年頃には創作から手を引く。94年死去。
明石良輔の事件簿
・印度林檎:新聞記者の明石良輔は、「夕刊新東洋」に「推理の世界」という、主として過去の未解決事件を机上推理による彼一流の解釈を繰り広げるコラムを掲載している。午後七時四十五分着の電車で中野駅に降りる時に出会った女と口を利くようになった明石は、十二月半ばにその女の家を訪ねる事になった。しかし強盗に襲われ、女は殺されてしまう…
→明石の眼前で行われた殺人…普通の探偵なら俄然犯人に対する闘志を燃やす筈だが、彼は積極的に事件を解決しようとはしない、ちょっと変わった立ち位置の探偵役のよう。(長編では事件とどのように接するか判らんけど)以降の作品でも、事件の真相を探る積極的な姿勢より、犯人から罪の告白を受けて事件が解明する展開が多い。それは、犯人が本当の悪人ではない事や明石の優しさ(甘さ)の表れなのかも知れない。しかし新聞記者ならもちょっと事件解決に係われよ…仕事しろよおと思わんでもない。
・蔦のある家:ある家の暖炉に隠された手紙には、恐ろしい犯罪の懺悔が綴られていた…
→えっ、えっ…??えええ…(驚愕の事実)
・暗闇の女狼
→切り裂きジャック事件。レギュラー化しそうな女子出てきたけど、結局これ一話にしか出てこなかったんだって。思わせぶりな書き方しやがって…
・鳥は見ていた
→救いが無さ過ぎてツライよお!!
・小指のない女
→ひ、無茶するなぁ…
・二月の悲劇
→明石は探偵ではないので、虫の知らせがあっても事件を止める事は出来ないし、犯人を指摘して断罪する事もしないってゆうスタンスが強く描かれた作品だと思った。この話では、明石がとったある少女に対する行為の結果、悲劇を引き起こしたとも言えなくもない。そして明石はただ、事件の結末を見届ける為に存在している。超人的な素人探偵じゃないところに好感が持てる。
・笛吹けば人が死ぬ
→犯人はどこまでも計算していたのか…それとも単なる自己顕示なのか…。明石、完全なる敗北。
・冷たい唇
・青い雌蕊
→「笛吹けば人が死ぬ」と同じく、犯罪傾向の強い女なのか、男達に利用されただけなのか…
*
・毛皮の外套を着た男:毛皮の外套を着た吉田と名乗る男が、印度から持ち帰った五万円の夜光珠を銀行へ預けにやってきた。夜光珠に万が一の事があったら全責任は銀行が負うという約束だった。翌々日、急に印度に帰る事になったと言って夜光珠を受け取った吉田だったが、更に翌日、再び吉田がやって来て前日に来た男は偽者だった事が判明する。銀行の支配人は徳田探偵と事件の捜索掛長に夜光珠を見付け出してくれるよう依頼する…
→大体判るよね。因みに「夜光珠」はダイヤモンドの別名なんだって。とってもカッコイイ呼び方だよね。
・罠の罠:徳田探偵から、六時までに帰らなかったら警視庁総監に渡してくれと封筒を預かった私。狼団を壊滅すべく罠と知りながら狼団の会合するS鉄橋へ出かけた彼の後を追った私は、探偵が狼団に捕らえられ激流に投げ込まれるのを目撃した。しかし一縷の望みを捨てきれぬ私は徳田探偵が帰ってくるのを事務所でひたすら待ち続け…
→タイトルがネタバレなのでは…?これも大体判っちゃうし、「私」の(悪い意味での)ワトソンぶりにもやもやするぜ。
・あかはぎの拇指紋:狂人として収容された男の遺言書――そこには狂人とされた男が犯した罪と、被害者の恐るべき秘密が認められていた…
→「あかはぎ」と呼ばれる強盗の正体を知った男が恐怖の為に自分の罪を自白するも、てんで相手にされず、彼を「犯罪者」にしたくない家族や恋人によって「狂人」に仕立ててしまうという狂気の展開。更にどんでん返しもあるよ。
・発狂:秋山敬作は、父に両足を切断する大怪我を負わせ、病弱だった母の死期を早めた男・米田に復讐するよう父に教育されて育った。父子は住処を転々とし、いつの間にか戸籍は「稲葉善造」とその子「保」となっていた。二十三歳の時、父が死ぬと、保は米田に接近し、一人娘である敏子の恋人となった。そして、ついに復讐が始まった…
→割と早い段階で「ああ、アレはコレでソレでコウだね」って判ってしまうけど、三章がそれまでのシリアス調から一転して滑稽な感じのオチに繋がっていて、更に最後には正気である事が果たして幸せなのかってゆう問題提起になっていて、ちょっと考えさせられる。文章はそれ程上手い感じしないけど、これ、中学生の時の作品なんだって…(1926年ね)
・現場不在証明(アリバイ):勝見は堀を挟んだ向かいに住む秋山を殺そうとしている。しかし敵が多い秋山だが、一番の動機を持つのは勝見であり、秋山が殺害されれば真っ先に疑われるのは充分承知していた。しかし完璧な現場不在証明さえあれば捕まらないと考えた勝見は、秋山邸の隣に建てた小屋から伸びるアンテナから完全犯罪を思い付く…
→乱歩の「心理試験」や、小酒井不木が霧原警部にやらせた“特等訊問”みたいな…ただ、このやり方はあんまり好きじゃないな、揚げ足取りじゃん、証拠がないんだし、勝見のメンタルがしっかりしてればいくらでも切り抜けられただろうに。つーか、船岡刑事が言う程勝見は頭良いとは思えぬが…
・梅雨時の冒険:浅野の元に三度も届けられた真紅な封筒…友人の上条と共に出かける先々に現れる森という男。昨年起きた宝石盗難事件に係わっているようだが…
→ちょっと良く判らない。というか、何がしたいの??行動が不自然で茶番が過ぎる。都合良く浅野に似た身元不明の自殺者が出てきたり、そいつの懐中に盗品を入れたり(つか、そんな事出来るのは死体第一発見者を除いたら、自殺に見せかけて殺さん限り無理やろ)筆跡を真似したり(というかどうやって小原の筆跡を手に入れたんだ)色々無理が有り余る。夢野久作しか書いてはいけないタイプのやつやで。
・死体昇天:幸次は妻の時子と親友の浅川の仲を疑っていた。十二月、A山へスキーに来た夫妻を追うようにやって来た浅川は、時子と二人でスキー遠征に出かけたが、谷に落ちてしまう。時子から知らせを受けた幸次は浅川を助ける為吹雪の中へ…十ヵ月後、白骨化した浅川の死体が見付かったが、頭には銃創が残っており、浅川が見付かる数日前に拾われた幸次の水筒には銃創と血痕が付いていた…
・蒼魂:特種を追って、緑川一族四人と機関士が乗った旅客機へ向った操縦士の私と写真班の最上、そして緑川の甥でもある記者の遠矢。しかし追いついた旅客機は無人であった…
→マリー・セレスト号事件の飛行機版。
[随筆篇]
『発狂』について/書けざるの弁/急がば廻れ/大衆文芸と探偵小説/処女作の思ひ出/ルブランと髷物/時代小説の新分野/抱負
つのだ・きくお(1906-1994)
神奈川県生まれ。別名・奥田野月。
小学生の頃から俳句や短歌の投稿を始める。東京府立三中在学中の1921年、スポーツ小説の懸賞に応募して二等となる。22年、『新趣味』に「毛皮の外套を着た男」を発表しデビュー。
その後は伝奇小説、時代小説など幅広いジャンルの作品を書き、47年、『小説』に『高木家の惨劇』を発表。54年から60年まで日本探偵作家クラブ副会長を務める。
66年、還暦の記念として『角田喜久雄氏華甲記念文集』が出版されるが75年頃には創作から手を引く。94年死去。
骨董品蒐集家のペンローズが失踪した。子どもが居ない彼の遺産相続人となっている従弟のホリッジに、ペンローズの居場所を突き止めるよう依頼された事務弁護士のブロッドリブは、友人のソーンダイクとジャーヴィスに相談する。ペンローズの父親は相当な資産家で、最近風邪をこじらせ死ぬのは時間の問題だった。ペンローズが父親より先に死んでいると十五万ポンドも損失するホリッジは、是が非でも叔父が生きていなければならないのだ。ソーンダイクとジャーヴィスがペンローズが失踪した日の足取りを調査すると、彼が立ち寄った先で老婦人轢逃げ事件があった事が判明した。事故を起こしたペンローズは、罪の発覚を恐れ姿を消したと思われたのだが…
やっぱソーンダイクシリーズ面白いなぁ…!
ペンローズさんちの執事がいい味だしてる。また出てこないかな無理か。
そして有能で博識でプライベートは謎に包まれているポルトンが!出番多い!その上ペンローズと知り合いだった事が発覚したり(第一章ロックハートの独白で語られてたけど、ポルトンがソーンダイクの友人という事を忘れていた)アレやコレやで大活躍だ…
やっぱソーンダイクシリーズ面白いなぁ…!
ペンローズさんちの執事がいい味だしてる。また出てこないかな無理か。
そして有能で博識でプライベートは謎に包まれているポルトンが!出番多い!その上ペンローズと知り合いだった事が発覚したり(第一章ロックハートの独白で語られてたけど、ポルトンがソーンダイクの友人という事を忘れていた)アレやコレやで大活躍だ…