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[創作篇]
・小盗児市場(しょうとるいちば)の殺人→1933年発表。自殺に見せかけて妻を殺した男が、それを目撃していた男から脅迫され、一度は満州へ逃れるが脅迫者に再会した為殺害する話。「脅迫してくるやつが悪い。だから殺す」って…元はお前が嫁殺した(これも浮気してると思い込んだ末の凶行)のが悪いんじゃん…
・毒薬自殺綺譚――薬学教室のノオトから/病を得、恋に破れ自殺しかないと嘆いていた友人の山田。彼が服毒自殺したと電報を受けた医学士の相良は、その自殺を不思議に思った。自殺する理由は多々あれど、それらは自殺の理由とは成り得ないのだ…
→1933年発表。自殺理由満載の友人の自殺を疑問に思うのは何故か?てか薬を渡すときにちゃんと注意しとけよお…
・拾つた拳銃(ピストル)→1934年発表。満州事変後、特ダネを求めて戦線を駆ける記者たち。護身用にと拳銃を拾ったNの、一夜の冒険。コント。
・カジノの殺人事件→1934年発表。室内には死体と犯人。しかし犯人と思しき青年は犯行を認めつつも供述には曖昧なところもあり…若き紳士H氏によって真実が明かされる。警察、仕事しろ。
・復讐綺譚→1935年発表。「憎悪、憤怒ノ感情昂マリシ」血を「別人ノ血液」に混ぜると死ぬ、という医学雑誌の記事を読んだ男が、恋人を横取りした男に復讐する話。登場人物みんな嫌な感じ。
・歌姫失踪事件/当時世間を賑わせていた怪盗「青髭」が歌姫の黒沢恵子を走行中の車中から誘拐した。記者をしていた私は古い友人で南米に移住し、偶々帰国していた峰島に事件解決を依頼した…
→1937年発表。消失トリックは判らんかったけど(あの説明ではそんな事する時間的余裕があったのかも疑問…)失踪事件の犯人及び動機はすぐに判っちゃうし、青髭の正体も判り易い。でもマァ、自殺者が出るとは思わなんだよ、そんな簡単に自殺するなよ。
・タンヂーの口紅→1938年発表。一夜のアバンチュール。



・難破船→1930年発表。難破船上の一幕。生への執着する者、死を受け入れる者、恐怖から正気を失った者…
・三吉積罪物語→1930年発表。犯罪から足を洗った三吉が、ひょんな事から殺人を繰り返す話。自分勝手なやつだなァ…
・港の抒情詩→1932年発表。映画化もされたという恋愛小説。船で死んだ友人の恋人に恋する男、亡き恋人の友人を愛するようになった女。お節介焼きな友人がキャバレーの女を紹介してややこしくなる話。なんかヤな感じだったまゆみが最後で良い人だった…
・明けゆく満蒙→1932年発表。中絶作品。軍事探偵もの。

[随筆篇]
文科教室/探偵小説と私/馬賊・義賊・その他/亡き父を語る/大連と探偵小説/書かない弁/ふるさと/書かれざる傑作
→「馬賊・~」は満州の犯罪実話。「ふるさと」は十歳まで暮らした浜松の情景。
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[創作篇]
・痴人の宴→1951年発表。『宝石』に「犯人当て探偵小説」として掲載されデビュー。イキナリ神津恭介の名が出てきたから動揺して犯当てどころじゃなかった…何故恭介が??と思ったら、高木彬光の犯人当てに二年連続で正解したからっぽい。その実績を買われて翌年の犯人当て出題者にも選ばれたので、縁を感じたのかもしれない。知らんけど。
・ヴィナスの丘→1951年発表。スケッチ旅行に出ている間に妻を殺された画家の話。「痴人の宴」とは作風がすごく違う。こうゆう、逸脱した心理描写も面白い。
・遊園地の事件→1951年発表。NHKラジオドラマ用に書き下ろされた作品。ジュブナイル作品かと思った。遊園地で子どもが迷子になる話。迷子の二郎ちゃんは一体どこにいるのか…!?
・肌の一夜→1952年発表。「痴人の宴」で探偵役を務めた園牧雄が再登場。自分が引き合わせてしまったが為に、女にだらしのない男と令嬢が婚約してしまった事に後悔している画家が、激高してクソ男を殴りつける。クソ男はその後死亡し、動揺した画家は犯行を目撃したと思われる女を探し出して…
・死は恋のごとく→1952年発表。父から猛反対を受けた恋の行方…マァ、反対理由はすぐに判っちゃうよね。
・ダイヤの指輪→1952年発表。これもNHKラジオドラマ。人物表にある「直木勝子」って誰。本編には登場せず、最後に視聴者に犯人は誰かと問いかけてるから、アナウンサーなのかな?
・エロスの悲歌→1952年発表。自称フランス人とのハーフ男とその生徒姉弟との三角関係やら未亡人と亡夫の友人との怪しい関係やら弟妹間の近親相姦やらがてんこ盛りな中、弟が殺され園が登場。意外な犯人の、意外な正体。
・宝石殺人事件→1952年発表。園牧雄シリーズ。ダイヤ紛失事件と殺人事件。ダイヤ紛失トリックは簡単に判るけど、殺人の方の犯人…この衝動性は現代にも通用するというか…「そんな事で殺しちゃうの?!」感が、何か現代的。
・美悪の果→1954年発表。園の無職時代の話。列車への飛び込み自殺現場に遭遇した園。しかも自殺者は園の見知った娘だった…女を騙して生活してる男が、こんな簡単に自殺に追い込まれるものかしら…?というかこんな男が死者を怖れ恐怖に苛まれたりするもんだろうか…
・死人の座/献金疑獄の渦中にある代議士が失踪し、数日後腐乱死体となって発見された。彼の死に疑問を持った園は、ある男の足取りを辿る…
→1954年発表。園、デート中に腐乱死体を見付けるの巻。死体の隠し場所は、マァ判りやすいよ。
・白骨塔→1954年発表。SF作品。老いらくの恋の果て。

[評論・随筆篇]
探偵小説第三芸術論/知性と情熱/マンスリー・ガヴェル――月々の新刊・新作紹介――/二十世紀英米文学と探偵小説/文学のエロティシズム/犯人当て解答を選んで/とりとめもない読書/スリラーの浪漫性/「文芸」特集推理小説を推理する/作者からの挨拶/悟性と感応の天才/ヴァン・ダインの妙味/アンケート

ちよ・ゆうぞう(1912-1986)
大阪府生まれ。本名・鈴木幸夫。
早稲田大学文学部英文科卒業。旧制大学院修了。1939年早稲田大学理工学部講師就任。
47年、探偵作家クラブの正会員となる。新年恒例イベントとして行われた犯人当てゲームで二年連続して正解した事から、51年の犯人当てゲーム用に「痴人の宴」を書き下ろす。それが『宝石』に掲載されデビューする。ラジオ番組の原作者としても活躍し、55年以降は海外ミステリの翻訳紹介やミステリ関係の評論やエッセイをまとめた『英米の推理作家たち』を鈴木名義で刊行。
57年に結成されたワセダ・ミステリ・クラブの初代会長に就任し、定年退職する82年まで務めた。86年死去。87年、遺稿集『道草ばなし』刊行。
→1952年発表。会社社長のモンド氏は誰からも祝われない誕生日に、昔から憧れていた「失踪」ってやつを実行するの巻。
男に捨てられ自殺を図った女を助け、彼女と共にニースへと向かう。そこで持っていたお金を盗まれ秘密クラブで働く事に。そこへ出入りする訳アリな人々を観察しながら働くモンド氏は、二人の子どもを置いて出て行った最初の妻と再会する…
[創作篇]
・初釜/経済的にかなり切迫しているため、今年は無理だろうと噂されていた青厳堂の初釜に招待された地方検事の相良。常なら五人以上の客を招かぬ青厳堂だったが、今回は二人の上客が加わった。茶道に慣れぬ上客も居る中、茶花では唯一のタブーである金盞花が茶室に活けられていて…
→1960年発表。主人公が検事だからか、このオチでも納得感があるし、読後感も良かった。それにしても相良の部下は優秀だな…一日足らずで見付けちゃうんだもの…
・二枚の納品書/殺された女が靴に隠し持っていた二枚の納品書。雨に濡れて読めない部分もあるが、社名は読み取れたため、二社を訪ねる刑事…
→1963年発表。大貫進名義。一か所、アレッと思うところがあって、前後読み返してもやっぱりアレだから「犯人め語るに落ちたな!」と思ったのに読み進めたら実行犯は違うし刑事もその事には触れてくれなくて「…アレ?」となった。作者の筆が滑ったってやつかな…
・枕頭の青春→1964年発表。大貫進名義。母親に支配され盲従している娘が、母親を自殺させるために一芝居打つ話。母親の造詣が本当に憎らしいし、娘の無抵抗さも苛立つしな上に、オチも救いがなくて、これが「イヤミス」ってやつか…という気持ち。しかし後から思い出すと、最後の一行がドウにもユーモアミステリっぽく感じる…瀬下耽の「やさしい風」もプロバビリティの犯罪をテーマとしていて共通点も(無理矢理だが)マァそこそこあるけど、読後感は真逆だなァって。
・暁の討伐隊→1964年発表。大貫進名義。
・死の配達夫/尾崎静子は、同姓同名の別人宛の書き留めを受け取った。誤配である事に気付いたのは開封し、中を見てからだった。彼女が蓄えてきた貯金と、誤配の通帳の金額を合わせると分譲住宅が購入できると知ると、静子は「尾崎静子」を殺害する決心をした…
→1967年発表。大貫進名義。やたら自意識過剰で厭世的でイヤな女がめちゃくちゃ自己中心的な理由で殺人を犯す話。1989年に二時間サスペンスでドラマ化もされたとか。しかしタイトルの「配達夫」は特に何もしていない…タイトルにする必要あったの??
・破戒→1967年発表。大貫進名義。この人はイヤなやつ書くの上手いなァ…めっちゃ後味悪い話なんだろうなァ…と思いながらしか読めなくなってしまった。期待通りイヤな話だったよ!神父はもの凄い被害者だと思うけど、他人が思ってる(と神父自身が思い込んでいる)「神父としての私」という虚像を壊さないようふるまう姿が鼻につく。その姿勢が破滅の道へと進むしかなくさせている。作者自身の「宗教に対する懐疑的な姿勢」がこうゆうのを書かせたんだろうな。
・姑殺し/夫と別居中の千代子が住むアパートの隣室に越してきた安子とその姑。ある日安子は姑に殺されかける騒ぎを起こした。住民は姑を警察へ突き出せと忠告するが安子は頑として受け入れなかった。その三日後、再び襲われた安子は、反対に姑を殺してしまう…
→1968年発表。大貫進名義。これはなかなか…おっかねえ話。
・誤殺→1968年発表。大貫進名義。自分に恥をかかせた鉄道車掌を殺そうとして別人を殺してしまった男が、五年後に犯行を目撃していた女と再会、口封じの為に無関係な女性を巻き込んで連続殺人をしたやべーやつの話。異常なまでに自意識過剰で被害妄想が強い。因みに、作者が推理小説を読むきっかけとなったのは、この作品で男が鉄道車掌に受けたのと同じ扱いをされた事で「あいつマジ殺す」と思って殺しの勉強の為に読み方始めたんだそうな。その車掌も作中の車掌も名前は「中尾」。作者もやべーやつだった…
・幽鬼→1969年発表。大貫進名義。継子虐めの話とキリスト教への不信感が融合した話。…美加ちゃん、幸せになって…
・舌禍→1971年発表。藤井禮子名義。近所の嫌われ女が殺され、第一発見者の主婦ふたりが犯人を推理する話。マァ、私はもっと早い段階で「見えない人の殺人」だって判ったけどね(無意味なマウント)。
・ガス――恐ろしい隣人達――→1971年発表。大貫進名義。閉めた筈の屋外にあるガスの元栓が開いていたのは近所の誰かの嫌がらせではないかと興信所へやってきた人妻の話。
・狂気の系譜→1972年発表。大貫進名義。「幽鬼」と同じテーマだが、結果は真逆…恐ろしい娘じゃ…
・盲点→1972年発表。大貫進名義。嫉妬からママ友に硫酸ぶっかけに行く話。子ども可哀そう…
・帰館/財産目当てに伯父を殺そうと毒入りカプセルを薬瓶に混ぜて旅立った甥。二ケ月後に帰国すると、思った通り伯父は死んだという。その夜、死んだ筈の伯父が姿を現し…
→1973年発表。大貫進名義。
・籠の鳥/夫の海外留学へついていく決心をした絹子。それと同時期に始まった団地住人への悪質ないたずら電話。犯人の心当たりがあるという主婦は、二ケ月以内に出ていけば警察沙汰にしないと集会の場で言い放った。絹子は犯人の濡れ衣を着せられるのを恐れて夫についていくのを諦めたが…
→1973年発表。大貫進名義。醜い嫉妬ーーーー!だが、珍しく救いのあるオチに。
・魔女→1973年発表。大貫進名義。やべーやつ。
・歪んだ殺意→1973年発表。大貫進名義。やべーやつ。プライドが高過ぎて他人の人生を破壊する系女。
・赤い靴→1973年発表。大貫進名義。父娘は完全に悪人だけど、被害者の「弱者を助けてやってる私は正しい」という(多分無意識の)優越感が窺えるので、自業自得と感じてしまう。他人や自分の娘の忠告を受け入れず、己が正義という姿勢だったんだから同情できない。
・善意の牙→1974年発表。大貫進名義。美しい悠子と醜い節子は仲の良い従姉妹だった。悠子が不幸な事故に遭ってからは節子が彼女の世話をし、それは美談として語られるが…
・五年目の報復→1974年発表。大貫進名義。「誤殺」と同じく横暴な車掌を殺す話。車掌はやっぱり「中尾」である。むかつくから二度殺したった系か。

[随筆篇]
受賞の言葉(「枕頭の青春」)/会員消息欄(1)/受賞のことば(「死の配達夫」)/会員消息欄(2)/推理小説との出合い/子供の目/新年葉書随想/戌午随想/九州男ふたり/アンケート

ふじい・れいこ(1935-1986)
福岡県生まれ。本名・禮子(旧姓・岡部)。筆名・大貫進(しん)。
県立福岡中央高等学校卒業後、クリスチャンと見合い結婚して洗礼を受ける。
1960年、『宝石』主催の第1回宝石賞に「初釜」を応募し、翌年佳作入選。63年、大貫進名義で第2回宝石短篇賞に「二枚の納品書」を応募。64年、第3回宝石短篇賞に「枕頭の青春」を応募し一等入選。67年「死の配達夫」が第2回双葉推理に入選する。
86年死去。
[創作篇]
・十八号室の殺人/遠山はアパートの一室で服毒死した。現場には鍵が掛かっており自殺と思われたが、郷里の岡山から出てきた父親と会う約束をしていたと言う。更に、彼が死んで二日後、生家に遺書が届いたが、自殺の原因と思われるような事は書かれておらず、漠然としたものだった。事件から八日後、遠山と同じアパートに住む私を訪ねてきた嶺口(みねぐち)は、遠山の自殺に疑問があると切り出した…
→本名の光石太郎名義で1931年発表したデビュー作。介太郎唯一の本格物(しかも密室!)。素人探偵にどんどん追い詰められていく私だが、何だが他人事みたいだなーと思っていたら…!
・霧の夜/嵩張った新聞紙の包みを大事そうに抱えて歩く男。私が話しかけると、男は「ひとを殺すってことは淋しい事ですね」と答えた…
→1935年発表。幻想・怪奇。
・綺譚六三四一/偶然出会った婦人の窮地を救った私は、お互いの素性を明かさないまま翌日再会する約束をした。指定された時間に店へ行ったが半時間待っても迎えは来なかった。骨休めに店を出ると、ナンバー六三四一の車が私を呼び止めた…
→1935年発表。冒険譚。
・梟(ふくろ)/永らく空き家になっていた赤屋根の家を借りた室井という男。地続きになっている森には無数の梟が巣喰っているという話だが、室井が越してきた日は梟の鳴き声の代わりに一晩中チェロの音が聞こえていた。翌日の夜、室井は梟の鳴真似をしながら歩く男に出会った。その男は、以前この家にいた住人の話をはじめ…
→1935年発表。怪談ぽい。
・空間心中の顛末/久地生馬(くじいくま)は、妻の嬰子(ようこ)が不倫をしている事を知ると、彼女を土蔵に閉じ込めた。不倫相手の末(すえ)が久地の家の周りをうろついていると、女中から手紙を渡された。女中を介し、雑誌を利用してやり取りする嬰子と末。二人は打ち合わせて同日同時刻に自殺しようと計画する…
→1935年発表。
・皿山の異人屋敷→1937年発表。怪奇。
・十字路へ来る男→1937年発表。交通事故で妻を失った男の復讐譚。
・魂の貞操帯→1938年発表。愛する男に捨てられた女が、男を呪い殺したという伝説をベースにした作品。新進作家傑作集に指名されたが書いては水谷準から没をくらい、乱歩にも檄を飛ばされ三作書いてようやくOK出たのがこの作品だったそーな。
・基督(きりすと)を盗め/仕事もなく無一文の照山は、老紳士から二千円の報酬と引き換えに、ある屋敷から細長い円筒型のものを盗む事になった。目的の物を見付け、逃げ出そうとした時、家人に見付かり格闘したが、相手は盗みを依頼した老紳士だった。翌日、盗んだ物を渡す為に訪れた場所で待っていた女性から、老紳士が殺されたと聞かされ疑われている事を知り…
→1939年発表。鶏山文作名義。大団円。
・類人鬼/金貸業の非道さに耐え兼ねて逃げた母を憎み、世の女性全てを呪っていた父は、死の間際、私に対して最も愛する女を見付かったらその女に復讐をしなければ財産は譲らないと遺言した。私は三年の年月を経て理想の女性を見付けた…
→1939年発表。『新青年』の文体模写特集に掲載されたもの。これは乱歩の模写らしいけど、私乱歩あんまり読んでないからそっくりかドウかは判らない…鶏山文作名義。
・秘めた写真/十四歳でヨーロッパへ渡りバレエの女王となった幼馴染と結婚するに相応しいよう、楽器会社を興して成功していた譲次は彼女に求婚した。しかし彼女には既にヨーロッパに恋人がいると打ち明けられ…
→1939年発表。鶏山文作名義。むなしい…
・鳥人(リヒトホーフェン)誘拐→1939年発表。鶏山文作名義。小栗虫太郎から「これをタネに一つ書いてみろ」と言われて書いたもの。とのこと。1918年、ドイツ軍のマンフレッド・リヒトホーフェン大尉の戦死について。
・遺書綺譚→1939年発表。鶏山文作名義。ユーモア。
・廃墟の山彦(エコオ)/三人の画家が素人モデルを募集した。採用された女は、何か普通の精神状態ではないようで…
→1949年発表。鷄(右が'‘隹”)山稲平名義。
・吸血鬼→1935年発表。ショートショート。
・ぶらんこ/F教授が体験した群集心理の話…
→1959年発表。青砥一二郎名義。自ら夫婦間の交渉を絶ったのに浮気する夫を恨んで復讐する妻の話を聞く若き日の教授たち…からの一転してホラー!
・豊作の頓死/部落で唯一日蓮宗妙光寺の信徒ではない豊作が頓死した。豊作は部落の嫌われ者だった。数百万円は貯め込んでいると噂され、家探ししたがびた一文も出てこなかった。やす江という後家が豊作の家を出入りしていたことから彼女が金を盗んだのではないかと噂を立てられていると知った妙光寺の住職は、寺男に話を聞いてみると…
→1959年発表。青砥一二郎名義。第20回読売短編小説入選作。意外と強い(物理)住職と、意外と切れ者の寺男(元悪人)コンビ、続編とかあったら面白そうだなー。
・大頭(だいもんじゃ)の放火→1960年発表。青砥一二郎名義。第22回読売短編小説入選作。自分の家ごと男女三人を焼き殺した男の話。なかなか、ものすごい話だよ…
・死体冷凍室→1961年発表。青砥一二郎名義。主人公視点で、ヤクザな男の愛人と共に破滅の道を進んでいく話なんだけど、主人公の正体が明らかになったところで物語の印象が変わるのがすごい。
・あるチャタレー事件→1962年発表。泥棒に入られ妻の貞操も奪われたのではと疑う男と、妻の従姉で男を誘惑する女の話。
・船とこうのとり/クリスマスイブの夜、画家の岩佐真理子が殺された。一か月後に犯人は逮捕されその後病死した。四月のはじめ、僕は婚約者から婚約破棄を申し入れられた。その原因はどうやら岩佐家で行われたクリスマスパーティの夜に関係するらしい…
→1962年発表。青砥一二郎名義。なんだこの主人公むかつくな…しかし意外な探偵のキャラはなかなか良い。
・三番館の蒼蠅/ドロドロに腐った死体と新しい二つの死体を土に埋めて一息ついた思いでタバコを喫いはじめた俺。この事件の経緯(いきさつ)を手記に書き残して、死体と一緒に埋めておこうと思う…
→1975年発表。光石介太郎名義。上海へ飛び、ソ連軍の捕虜生活の末に日本へ帰った弟(先に生まれた)が、財産と美しい妻を手に入れていた兄(後に生まれた※昔の双子は、後から出てきた方を長子とした)に嫉妬し、兄の精神を破壊して彼と入れ替わろうと企む話。オチが虚しい…

[評論・随筆篇]
作者の言葉(「奇譚六三四一」)/無題/YDN(ヤンガー・ディテクティブ・ノーべリスト)ペンサークルの頃/私の探偵小説観/靴の裏――若き日の交友懺悔/名軍師と名将たち/ハガキ回答
→乱歩に金の無心をし、水谷準には原稿料前借をしたとかゆう貧乏ネタが多い。

みついし・かいたろう(1910-1984)
福岡県生まれ。本名・光石太郎。別名・鶏山文作(とりやま・ぶんさく)、鷄(右が'‘隹”)山稲平(とりやま・いなへい)、青砥一二郎(あおと・いちじろう)。
二卵性双生児として生まれたため、福原家から岡山の親戚光石家に養子に出される。東京外国語大学ポルトガル語科に入学するも学費が払えず中退。
1931年、本名で「十八号室の殺人」を『新青年』に発表しデビュー。上京後は江戸川乱歩に師事。YDNペンサークルを結成し、若い作家たちと交流した。戦後は青砥一二郎名義で創作活動を続けた。
75年、光石介太郎名義で『幻影城』に「三番館の蒼蠅」を発表。84年死去。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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