『赤い拇指紋』事件でソーンダイクと再会したジャーヴィスだったが、相変わらず代診医として生活していた。ある夜、就業間際に代診の依頼が入った。医者嫌いで病院へ行く事を拒否する友人を診て欲しいという。ジャーヴィスは窓が鎧戸になった馬車で三十分程の距離にある建物に連れてこられた。蝋燭一本の照明で診察したところ、患者の症状はモルヒネ中毒者のそれと一致しており、患者の友人ヴァイスに告げると睡眠病の可能性はないのかと反論される。ヴァイスの態度や住処を特定されたくないような秘密めいた数々に疑念を抱いたジャーヴィスは、ソーンダイクに相談する事を思い立ち、翌日、早速彼に会いに出掛けたのだった…
→1912年発表。ジャーヴィスは前回で苦い経験しているのにまだ詰めが甘いというか…ソーンダイクにあわせて事件に関しては無口にならねばいかんと思うよ。あと、自分がミステリの登場人物だって自覚するとより良い(メタ)。
それにしても、被害者がめっちゃ良い人そうだからこんな殺されかたホント非道いと思うしやるせない。
→1912年発表。ジャーヴィスは前回で苦い経験しているのにまだ詰めが甘いというか…ソーンダイクにあわせて事件に関しては無口にならねばいかんと思うよ。あと、自分がミステリの登場人物だって自覚するとより良い(メタ)。
それにしても、被害者がめっちゃ良い人そうだからこんな殺されかたホント非道いと思うしやるせない。
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[創作篇]
・或る老後/町工場主の池辺善助は、三河島駅の大事故で妻と息子夫婦を失った。その息子に一度強姦されたという金森京子を罪滅ぼしの為に事務員として雇ったが、彼女の淹れる茶が時々おかしな味がする。善助の弱みを握った京子は、夫を工場長にさせると善助殺害計画を練り始め…
→1963年発表。女がめちゃくそ悪い奴!強姦話も嘘か本当か判らんよ…そしてめっちゃぞわつくオチ…じいさん強心臓だな。
・ユダの窓はどれだ/結婚三年目で「もう倦怠期だわ」と言い出した妻。書店の主人に勧められた「ユダの窓」を妻に渡すとすっかり推理小説ファンとなり、推理研究クラブまで結成してしまった。そのクラブ会員である林夫人が「ユダの窓」のような密室で殺害されてしまい…
→1963年発表。「或る老後」と共に宝石短篇賞に投稿して入選した作品。こっちはユーモアミステリ。作風の幅が広いね。
・目の毒/窃盗の為に社宅街を偵察していた男が「金のかからない殺し方」で脅迫者を殺害しようとする夫婦の会話を聞いてしまう。殺人の起こらぬ内にと盗みに入った家の隣人がガス中毒死してしまう。怪しい男を見たと通報された強盗は、真犯人を探そうとするが…
→1963年発表。「金のかからない殺人」…
・同じ星の下の二人→1963年発表。悪社長から酷い仕打ちを受けた女と男。ストライキの最中、社長室に閉じ込められた社長が姿を消し、タンスの中から死体で発見される。監視下の密室殺人。下心と殺意が何重にもなっている。
・六月に咲く花→1963年発表。花卉市場の主人が交通事故死したが、応援に来た花屋の若主人は手伝いもせず探偵ごっこを始め…新しく主人となった妹が嫌な奴…と思いきや意外な結末。いい話。
・女三人→1963年発表。エロジジイに囲われていた女三人が遺産を独り占めする為に殺し合う話。どんでん返しに返してバッドエンドなユーモア。ジジイの独り勝ちや。
・砂と新妻→1963年発表。轢き逃げを目撃され恐喝される夫婦がとった行動とは。久保田がいい奴過ぎて泣く。
・13/18・8→1963年発表。タイトル、なんのこっちゃだけど、ステンレスの内容量?の事らしい。13クロムのステンレスが一般的で、クロム18%ニッケル8%のは最高級なんだとか。密室トリックは「針と糸」時代な感じするけど、人物関係とか心理とかなかなか…意外な正体もあって結構盛沢山。
・危険な目撃者/一晩で二件の殺人事件が起きたアパート。双方の犯人は逃げる姿を目撃され、顔を見られたのではないかと不安になる。後日、気晴らしに入った劇場で二人は再会し…
→1964年発表。目撃者を丸め込もうとする二人。からの目撃者連鎖。
・静かなる復讐→1964年発表。探偵社の女性調査員が巻き込まれた事件。警察からの信用を失い、頼れるものは己の探偵力のみ…とはいえ、これが復讐になるのかな??足を洗わせる為の鎖としての結婚なら、鏑木生贄にされて平気なん??
・悪党はいつも孤独→1964年発表。悪党三人が共謀して金を強請り取っていたが、事件に巻き込まれ次々と事故死に見せかけて殺害されてしまう。生き残った男が真相を暴こうとする…実父からの暴力によって言い訳が出来なくなってしまった男の哀しい結末。
以下六編は、父の遺産を月三回、一回につき一万円貰って生活している浪費癖の有る放蕩息子・沢村友三シリーズ。
・亭主を思い出した女→1963年発表。ご近所トラブルに首を突っ込む事になった友三の話。
・密談をしに来た女→1963年発表。友三、人妻に誘惑される…と思いきや、夫の様子がおかしいと相談され…
・昼下がりの電話の女→1963年発表。友三、電話で誘惑される…からの手の込んだ狂言。公衆電話、こーゆう仕組みがあったのか(判らん)。
・張り込み好きな女→1963年発表。友三、赤子誘拐犯にされる。姉登場。
・撫でられた女→1963年発表。マネキンだと思ったものが本物の女性だった?マネキン倉庫に隠された秘密。
・爆薬を持った女→1963年発表。飛行機に乗った友三、隣の席の女から「ニトログリセリンを持った人が紛れている」と密告される。さらにハイジャック犯まで現れ…
以下ショートショート。
・開運祈願 ・求人作戦 ・買物心理 ・慰安旅行 ・信用第一 ・謝恩特売→全て1964年発表。
[随筆・読物篇]
受賞者感想/無題/地面がホースをたべた!/霊チョウの不思議
ちば・じゅんぺい(1924-?)
出身地不明。本名・山田真一。
1946年東京大学工学部物理学科卒業。大学講師等を経てテレビ局のプランナーを務めながら、化学記事を執筆。
1963年宝石短篇賞に投じた「或る老後」「ユダの窓はどれだ」で同賞一席入選しデビューするが、64年に筆を断つ。
以後の経歴は不明。
・或る老後/町工場主の池辺善助は、三河島駅の大事故で妻と息子夫婦を失った。その息子に一度強姦されたという金森京子を罪滅ぼしの為に事務員として雇ったが、彼女の淹れる茶が時々おかしな味がする。善助の弱みを握った京子は、夫を工場長にさせると善助殺害計画を練り始め…
→1963年発表。女がめちゃくそ悪い奴!強姦話も嘘か本当か判らんよ…そしてめっちゃぞわつくオチ…じいさん強心臓だな。
・ユダの窓はどれだ/結婚三年目で「もう倦怠期だわ」と言い出した妻。書店の主人に勧められた「ユダの窓」を妻に渡すとすっかり推理小説ファンとなり、推理研究クラブまで結成してしまった。そのクラブ会員である林夫人が「ユダの窓」のような密室で殺害されてしまい…
→1963年発表。「或る老後」と共に宝石短篇賞に投稿して入選した作品。こっちはユーモアミステリ。作風の幅が広いね。
・目の毒/窃盗の為に社宅街を偵察していた男が「金のかからない殺し方」で脅迫者を殺害しようとする夫婦の会話を聞いてしまう。殺人の起こらぬ内にと盗みに入った家の隣人がガス中毒死してしまう。怪しい男を見たと通報された強盗は、真犯人を探そうとするが…
→1963年発表。「金のかからない殺人」…
・同じ星の下の二人→1963年発表。悪社長から酷い仕打ちを受けた女と男。ストライキの最中、社長室に閉じ込められた社長が姿を消し、タンスの中から死体で発見される。監視下の密室殺人。下心と殺意が何重にもなっている。
・六月に咲く花→1963年発表。花卉市場の主人が交通事故死したが、応援に来た花屋の若主人は手伝いもせず探偵ごっこを始め…新しく主人となった妹が嫌な奴…と思いきや意外な結末。いい話。
・女三人→1963年発表。エロジジイに囲われていた女三人が遺産を独り占めする為に殺し合う話。どんでん返しに返してバッドエンドなユーモア。ジジイの独り勝ちや。
・砂と新妻→1963年発表。轢き逃げを目撃され恐喝される夫婦がとった行動とは。久保田がいい奴過ぎて泣く。
・13/18・8→1963年発表。タイトル、なんのこっちゃだけど、ステンレスの内容量?の事らしい。13クロムのステンレスが一般的で、クロム18%ニッケル8%のは最高級なんだとか。密室トリックは「針と糸」時代な感じするけど、人物関係とか心理とかなかなか…意外な正体もあって結構盛沢山。
・危険な目撃者/一晩で二件の殺人事件が起きたアパート。双方の犯人は逃げる姿を目撃され、顔を見られたのではないかと不安になる。後日、気晴らしに入った劇場で二人は再会し…
→1964年発表。目撃者を丸め込もうとする二人。からの目撃者連鎖。
・静かなる復讐→1964年発表。探偵社の女性調査員が巻き込まれた事件。警察からの信用を失い、頼れるものは己の探偵力のみ…とはいえ、これが復讐になるのかな??足を洗わせる為の鎖としての結婚なら、鏑木生贄にされて平気なん??
・悪党はいつも孤独→1964年発表。悪党三人が共謀して金を強請り取っていたが、事件に巻き込まれ次々と事故死に見せかけて殺害されてしまう。生き残った男が真相を暴こうとする…実父からの暴力によって言い訳が出来なくなってしまった男の哀しい結末。
以下六編は、父の遺産を月三回、一回につき一万円貰って生活している浪費癖の有る放蕩息子・沢村友三シリーズ。
・亭主を思い出した女→1963年発表。ご近所トラブルに首を突っ込む事になった友三の話。
・密談をしに来た女→1963年発表。友三、人妻に誘惑される…と思いきや、夫の様子がおかしいと相談され…
・昼下がりの電話の女→1963年発表。友三、電話で誘惑される…からの手の込んだ狂言。公衆電話、こーゆう仕組みがあったのか(判らん)。
・張り込み好きな女→1963年発表。友三、赤子誘拐犯にされる。姉登場。
・撫でられた女→1963年発表。マネキンだと思ったものが本物の女性だった?マネキン倉庫に隠された秘密。
・爆薬を持った女→1963年発表。飛行機に乗った友三、隣の席の女から「ニトログリセリンを持った人が紛れている」と密告される。さらにハイジャック犯まで現れ…
以下ショートショート。
・開運祈願 ・求人作戦 ・買物心理 ・慰安旅行 ・信用第一 ・謝恩特売→全て1964年発表。
[随筆・読物篇]
受賞者感想/無題/地面がホースをたべた!/霊チョウの不思議
ちば・じゅんぺい(1924-?)
出身地不明。本名・山田真一。
1946年東京大学工学部物理学科卒業。大学講師等を経てテレビ局のプランナーを務めながら、化学記事を執筆。
1963年宝石短篇賞に投じた「或る老後」「ユダの窓はどれだ」で同賞一席入選しデビューするが、64年に筆を断つ。
以後の経歴は不明。
[創作篇]
・写真解読者/考古学者の井中氏の帰国パーティーの招待状を受け取った光岡。井中は講演の中で親友ショコスタコウィッチの不慮の死について語った。ショコスタコウィッチが撮影した写真を見た光岡は、そこに写されたある秘密に気付く。その後、井中がラマ僧に呼ばれて部屋を空けた隙に、写真とショコスタコウィッチが妻に遺した小箱が盗まれたしまい…
→1946年発表。白紙の招待状とか良い伏線になっていると思う。しかし遺言の残し方…電気点けっぱなしで思い出に浸るタイプだったらドウするん…
・ルシタニア号事件→1947年発表。光岡がパリ留学中の話。飛行機墜落事故の原因調査隊に参加していた光岡が、別の事件も解明してパリ警視庁に科学的捜査を通じて助言出来る立場になったという。
・失楽園(パラダイス・ロースト)→1947年発表。主人公の下宿先の娘が失踪し、異臭騒動が起こる。主人公はその異臭が娘の死体が放つ臭気だと推測し、下水道を探すが何も見付けられなかった…死体の処分法、このパタン初めて読んだ。
・無意識殺人(アンコンシャス・マーダー)→1947年発表。周囲の人に殺意を読み取られ、対象者を殺されてしまった男の手記。なんかヤベーやつしかいない。
・天使との争ひ/パリから帰国する事となった光岡は、留学中に知り合ったサハ氏の顔を見て帰ろうとカルカッタ大学に立ち寄った。しかしサハ氏は誰にも行先を告げずに出張しているという。彼の助手・コムサビに地震動の分析をしていたと聞いた光岡は、ヒマラヤへ向かう。コムサビの元へ戻ってきた光岡は、連れ帰った美しい女性をコムサビに紹介する。コムサビは彼女を愛するようになり…
→1947年発表。理想郷イーハートーヴォ産の女性の秘密…悲恋話じゃ。
・死の協和音(ハーモニクス)→1947年発表。恋愛関係の縺れ殺人(一方的な思い込みだけど)。研究だけに情熱を燃やす人と恋愛により多くの情熱を燃やす人は判り合えんのだろうな。「私が愛しているのだからあなたも私を愛さねばならない」みたいな人には「愛より重要なものがある」派の人にも「でもやっぱ愛が一番やろ」て押し付けてくるの何なの…結局自殺するしなんかこいつ中途半端やな…無理心中位しでかすかと思ってたのに。
・異形の妖精→1948年発表。光岡が偶然目撃した四本の腕を持つ女性。最初は恐ろしく思ったが、次第に四本の腕だからこその美しさを見出した光岡…
・こがね虫の証人→1948年発表。競馬宿で起きた盗難事件。光岡は窓の下に落ちていたせんちこがねに着目する…
・清滝川の惨劇/光岡が日本で解決した事件。警部と共に休日を過ごしていた光岡だが、清滝川でタクシーの転落事故現場に遭遇した。念の為サンプルを取りスペクトル分析にかけると、乗客の傷口からは鉛のスペクトルが検出された。タクシーの車体には鉛が使われておらず、車外へ放り出されたとしても鉛の器物にぶつかる事もあり得ないと考えた光岡は…
→1948年発表。事故死に見せかける為に巻き添え食ったタクシー運転手かわいそうが過ぎる…
・展覧会の怪画→1948年発表。主人公の友人がほんとに、ほんっっっっとに嫌なやつで、殺されかけたのも自業自得なくせに恐喝してきたり恋人奪ったりした挙句、再び主人公を馬鹿にした写真を公に発表してくる。こんなの全然ユーモアじゃあないよ…
・砂漠に咲く花――新世界物語→1948年発表。光岡が同じ大学に留学しているトルコ人から聞かされた、彼が砂漠で出会った不思議な女性の話。
・盗まれた手→1948年発表。光岡の名前が「ヒデミ」だと判明するの巻。握手の仕方だけで社交界に君臨した夫人の右手首が切り取られ盗まれた事件。
以下三編は本名の鈴木担名義で発表された科学小説。
・アトム君の冒険→1949年発表。原子力を生活が豊かになる為に利用する研究所VS私利私欲の為に使いたい組織。原子爆弾工場が近くにあった所為で別荘爆発されたニルス家とんだ災難だな…
・首をふる鳥→1949年発表。
・自然は力学を行う→1951年発表。
きた・ひろし(1921-1951)
東京都生まれ。本名・鈴木担(ひろし)。
武蔵高等学校卒業。京都帝国大学理学部に入学し、湯川秀樹に師事。1943年卒業後、大学院生となり物理学教室に勤務。
1946年『ロック』に「写真解読者」を投稿しデビュー。48年「盗まれた手」を最後に創作の筆を断つ。
大学院修了後、横浜国立大学助教授に就任するが、1951年死去。
・写真解読者/考古学者の井中氏の帰国パーティーの招待状を受け取った光岡。井中は講演の中で親友ショコスタコウィッチの不慮の死について語った。ショコスタコウィッチが撮影した写真を見た光岡は、そこに写されたある秘密に気付く。その後、井中がラマ僧に呼ばれて部屋を空けた隙に、写真とショコスタコウィッチが妻に遺した小箱が盗まれたしまい…
→1946年発表。白紙の招待状とか良い伏線になっていると思う。しかし遺言の残し方…電気点けっぱなしで思い出に浸るタイプだったらドウするん…
・ルシタニア号事件→1947年発表。光岡がパリ留学中の話。飛行機墜落事故の原因調査隊に参加していた光岡が、別の事件も解明してパリ警視庁に科学的捜査を通じて助言出来る立場になったという。
・失楽園(パラダイス・ロースト)→1947年発表。主人公の下宿先の娘が失踪し、異臭騒動が起こる。主人公はその異臭が娘の死体が放つ臭気だと推測し、下水道を探すが何も見付けられなかった…死体の処分法、このパタン初めて読んだ。
・無意識殺人(アンコンシャス・マーダー)→1947年発表。周囲の人に殺意を読み取られ、対象者を殺されてしまった男の手記。なんかヤベーやつしかいない。
・天使との争ひ/パリから帰国する事となった光岡は、留学中に知り合ったサハ氏の顔を見て帰ろうとカルカッタ大学に立ち寄った。しかしサハ氏は誰にも行先を告げずに出張しているという。彼の助手・コムサビに地震動の分析をしていたと聞いた光岡は、ヒマラヤへ向かう。コムサビの元へ戻ってきた光岡は、連れ帰った美しい女性をコムサビに紹介する。コムサビは彼女を愛するようになり…
→1947年発表。理想郷イーハートーヴォ産の女性の秘密…悲恋話じゃ。
・死の協和音(ハーモニクス)→1947年発表。恋愛関係の縺れ殺人(一方的な思い込みだけど)。研究だけに情熱を燃やす人と恋愛により多くの情熱を燃やす人は判り合えんのだろうな。「私が愛しているのだからあなたも私を愛さねばならない」みたいな人には「愛より重要なものがある」派の人にも「でもやっぱ愛が一番やろ」て押し付けてくるの何なの…結局自殺するしなんかこいつ中途半端やな…無理心中位しでかすかと思ってたのに。
・異形の妖精→1948年発表。光岡が偶然目撃した四本の腕を持つ女性。最初は恐ろしく思ったが、次第に四本の腕だからこその美しさを見出した光岡…
・こがね虫の証人→1948年発表。競馬宿で起きた盗難事件。光岡は窓の下に落ちていたせんちこがねに着目する…
・清滝川の惨劇/光岡が日本で解決した事件。警部と共に休日を過ごしていた光岡だが、清滝川でタクシーの転落事故現場に遭遇した。念の為サンプルを取りスペクトル分析にかけると、乗客の傷口からは鉛のスペクトルが検出された。タクシーの車体には鉛が使われておらず、車外へ放り出されたとしても鉛の器物にぶつかる事もあり得ないと考えた光岡は…
→1948年発表。事故死に見せかける為に巻き添え食ったタクシー運転手かわいそうが過ぎる…
・展覧会の怪画→1948年発表。主人公の友人がほんとに、ほんっっっっとに嫌なやつで、殺されかけたのも自業自得なくせに恐喝してきたり恋人奪ったりした挙句、再び主人公を馬鹿にした写真を公に発表してくる。こんなの全然ユーモアじゃあないよ…
・砂漠に咲く花――新世界物語→1948年発表。光岡が同じ大学に留学しているトルコ人から聞かされた、彼が砂漠で出会った不思議な女性の話。
・盗まれた手→1948年発表。光岡の名前が「ヒデミ」だと判明するの巻。握手の仕方だけで社交界に君臨した夫人の右手首が切り取られ盗まれた事件。
以下三編は本名の鈴木担名義で発表された科学小説。
・アトム君の冒険→1949年発表。原子力を生活が豊かになる為に利用する研究所VS私利私欲の為に使いたい組織。原子爆弾工場が近くにあった所為で別荘爆発されたニルス家とんだ災難だな…
・首をふる鳥→1949年発表。
・自然は力学を行う→1951年発表。
きた・ひろし(1921-1951)
東京都生まれ。本名・鈴木担(ひろし)。
武蔵高等学校卒業。京都帝国大学理学部に入学し、湯川秀樹に師事。1943年卒業後、大学院生となり物理学教室に勤務。
1946年『ロック』に「写真解読者」を投稿しデビュー。48年「盗まれた手」を最後に創作の筆を断つ。
大学院修了後、横浜国立大学助教授に就任するが、1951年死去。
[創作篇]
・特急「亜細亜」→1938年発表。吉川英治名義。四肢を切断され顔面をめちゃくちゃに潰されて性器をそぎ取られトランクに詰められた男女の死体!ワー!!ドウ展開していくんやろ!!と期待して読んだが例の「顔の無い死体」で、死んだと思わせといてソ連から逃げた赤軍軍人の前編と、上海で支那人の愛人をしている日本人女性が生涯で唯一愛した妻子持ち男の為に、俄仕込みのスパイとなる後編からなる作品。
・日本(にっぽん)の孤児→1938年発表。吾妻大陸名義。五歳で支那人奇術団に拾われ虐められながらもサーカスの人気者になった范小林(ファン シャオリン)こと中田斌(たけし)君が射撃の腕前を武器に日本軍に協力して大活躍する話。
・アジア大旋風の前夜→1938年発表。吾妻大陸名義。秘密結社の暗号話。幕間で女間諜と親日家ギャングのボス羅文旦(ロー ウェンタン)とのロマンス有り。
・吼ゆる黒龍江→1939年発表。吾妻大陸名義。ロシア人と日本人のハーフ・永田太郎君が父母の仇を打ち、命懸けでソ連から満州へ逃亡する冒険譚。
・火薬庫危(あやふ)し→1939年発表。吾妻大陸名義。中田少年再び活躍。
・懺悔の突撃路→初出不詳。吾妻大陸名義。『蒋介石を狙ふ女』収録。ホノルルから帰国した白石が従軍志願届を出したところ、死亡したとして戸籍を抹消されていた事が発覚。誰が彼になりすまして死んだのか…という謎が白石になりすましていた男・楠本の回想で明かされていく。結構複雑な人間関係で、これが一番探偵小説味がある。
・暗黒街の機密室→1940年発表。吾妻大陸名義。再び羅文旦登場。米国女スパイの話。羅の半生も描かれている。
・ビルマ公路(ルート)→1941年発表。吾妻大陸名義。羅に助けられ、彼が率いる突撃隊に所属する牧勝子の話。
[評論・随筆篇]
秘密結社/探偵小説異論/探偵 /探偵小説万能来(きたる)/悪筆探偵漫談(新年号月評)/予言的中/親愛なる吾が日本(にっぽん)の少年諸君よ!!/ぺてん商法
「ぺてん商法」は1946年『猟奇』に遺稿として掲載された
うめはら・ほくめい(1901-1946)
富山県生まれ。本名・貞康。別名・吾妻大陸、吉川英治ほか。
「ストライキの有力加担者または首謀者」として中学を二度退学処分される。中学卒業後は上京し、医院の書生や郵便局員になるが続かず、早稲田大学英文科に入学。のち中退。
1924年『殺人社会』前編を梅原名義で刊行するがのちに発禁となる。25年『全訳 デカメロン』上下巻『露西亜大革命史』翻訳刊行。今東光(こん・とうこう)が始めた同人雑誌『文党』に参加。自らも『文芸市場』を創刊する。26年から『変態十二支』『変態・資料』等の性文献出版を行うが、27年出版法違反で前科一般となる。
38年から40年にかけて憲兵に追われたため地下に潜伏、生活費を稼ぐために大衆読物を発表。
46年病没。
・特急「亜細亜」→1938年発表。吉川英治名義。四肢を切断され顔面をめちゃくちゃに潰されて性器をそぎ取られトランクに詰められた男女の死体!ワー!!ドウ展開していくんやろ!!と期待して読んだが例の「顔の無い死体」で、死んだと思わせといてソ連から逃げた赤軍軍人の前編と、上海で支那人の愛人をしている日本人女性が生涯で唯一愛した妻子持ち男の為に、俄仕込みのスパイとなる後編からなる作品。
・日本(にっぽん)の孤児→1938年発表。吾妻大陸名義。五歳で支那人奇術団に拾われ虐められながらもサーカスの人気者になった范小林(ファン シャオリン)こと中田斌(たけし)君が射撃の腕前を武器に日本軍に協力して大活躍する話。
・アジア大旋風の前夜→1938年発表。吾妻大陸名義。秘密結社の暗号話。幕間で女間諜と親日家ギャングのボス羅文旦(ロー ウェンタン)とのロマンス有り。
・吼ゆる黒龍江→1939年発表。吾妻大陸名義。ロシア人と日本人のハーフ・永田太郎君が父母の仇を打ち、命懸けでソ連から満州へ逃亡する冒険譚。
・火薬庫危(あやふ)し→1939年発表。吾妻大陸名義。中田少年再び活躍。
・懺悔の突撃路→初出不詳。吾妻大陸名義。『蒋介石を狙ふ女』収録。ホノルルから帰国した白石が従軍志願届を出したところ、死亡したとして戸籍を抹消されていた事が発覚。誰が彼になりすまして死んだのか…という謎が白石になりすましていた男・楠本の回想で明かされていく。結構複雑な人間関係で、これが一番探偵小説味がある。
・暗黒街の機密室→1940年発表。吾妻大陸名義。再び羅文旦登場。米国女スパイの話。羅の半生も描かれている。
・ビルマ公路(ルート)→1941年発表。吾妻大陸名義。羅に助けられ、彼が率いる突撃隊に所属する牧勝子の話。
[評論・随筆篇]
秘密結社/探偵小説異論/探偵 /探偵小説万能来(きたる)/悪筆探偵漫談(新年号月評)/予言的中/親愛なる吾が日本(にっぽん)の少年諸君よ!!/ぺてん商法
「ぺてん商法」は1946年『猟奇』に遺稿として掲載された
うめはら・ほくめい(1901-1946)
富山県生まれ。本名・貞康。別名・吾妻大陸、吉川英治ほか。
「ストライキの有力加担者または首謀者」として中学を二度退学処分される。中学卒業後は上京し、医院の書生や郵便局員になるが続かず、早稲田大学英文科に入学。のち中退。
1924年『殺人社会』前編を梅原名義で刊行するがのちに発禁となる。25年『全訳 デカメロン』上下巻『露西亜大革命史』翻訳刊行。今東光(こん・とうこう)が始めた同人雑誌『文党』に参加。自らも『文芸市場』を創刊する。26年から『変態十二支』『変態・資料』等の性文献出版を行うが、27年出版法違反で前科一般となる。
38年から40年にかけて憲兵に追われたため地下に潜伏、生活費を稼ぐために大衆読物を発表。
46年病没。
新聞記者のピニオン氏は特種を求めてマリラック伯爵の後を追った。多忙な伯爵と漸く会談出来たピニオン氏は、その時伯爵から四人の男を紹介された。
犯罪によって評判を台無しにした『誤解された男のクラブ』の四人は、それぞれ自分が犯した罪の告白をする…
・温和な殺人者 The Moderate Murderer
エジプトに隣接した細長い国の総監を拝命したトールボーイズ卿が狙撃された事件。卿を撃ったのは、卿の甥の家庭教師ジョン・ヒューム氏だった。彼は、卿に対し殺意はなく脚を撃つつもりだったと述べた。実際、卿は脚を撃たれただけで命に別状はなかった。彼の行為の意味を知る為、卿の姪であるバーバラ・トレールは拘留されたヒュームの面会へ向かった…
・頼もしい藪医者 The Honest Quack
画家で詩人のウォルター・ウインドラッシュ氏は学生時代に見つけた奇妙な樹を気に入り、その土地を買い家を建てて娘と共に暮らしていた。氏はその樹が人々の眼に触れるのを嫌い、高い塀で囲み、自分以外の者を庭に入れぬよう鍵をかけその鍵を持ち歩いた。ある日知り合った若い医者ジョン・ジャドスンは庭に忍び込みウインドラッシュ氏の樹を見た。そして、氏を狂人だとして精神病院に連れて行ってしまった…
・不注意な泥棒 The Ecstatic Thief
成功を収めたッ実業家ナドウェイの秘書ミリセント・ミルトンは、ある日屋敷に侵入した泥棒に遭遇する。泥棒の正体は、ナドウェイの息子――ジョン・ナドウェイ、ノーマン・ナドウェイの兄――アラン・ナドウェイだった。彼はミリセントにブローチを残し、何も盗まずに去って行ったが、その足で別の家へ盗みに入り名刺と葉巻を残して逃げ出した。そしてついに掏摸の現行犯で逮捕されたが…
・忠義な反逆者 The Loyal Traitor
「真の言葉」の下に集う詩人と学者、質屋と隣国の軍人の四人。彼らが革命を起こそうとしているとして国王、首相、銀行家、警察長官は、四人が集まった家を襲撃した。しかし、捕える事が出来たのは、その家の召使ジョン・コンラッド一人で、ほかの四人は大勢の警察官に監視された家から消えてしまっていた。召使を拷問にかけ居場所を吐かせようとするが、召使は頑なに口を噤んだままだった…
→1930年発表。
これは、チェスタトン流の恋愛小説です。
犯罪によって評判を台無しにした『誤解された男のクラブ』の四人は、それぞれ自分が犯した罪の告白をする…
・温和な殺人者 The Moderate Murderer
エジプトに隣接した細長い国の総監を拝命したトールボーイズ卿が狙撃された事件。卿を撃ったのは、卿の甥の家庭教師ジョン・ヒューム氏だった。彼は、卿に対し殺意はなく脚を撃つつもりだったと述べた。実際、卿は脚を撃たれただけで命に別状はなかった。彼の行為の意味を知る為、卿の姪であるバーバラ・トレールは拘留されたヒュームの面会へ向かった…
・頼もしい藪医者 The Honest Quack
画家で詩人のウォルター・ウインドラッシュ氏は学生時代に見つけた奇妙な樹を気に入り、その土地を買い家を建てて娘と共に暮らしていた。氏はその樹が人々の眼に触れるのを嫌い、高い塀で囲み、自分以外の者を庭に入れぬよう鍵をかけその鍵を持ち歩いた。ある日知り合った若い医者ジョン・ジャドスンは庭に忍び込みウインドラッシュ氏の樹を見た。そして、氏を狂人だとして精神病院に連れて行ってしまった…
・不注意な泥棒 The Ecstatic Thief
成功を収めたッ実業家ナドウェイの秘書ミリセント・ミルトンは、ある日屋敷に侵入した泥棒に遭遇する。泥棒の正体は、ナドウェイの息子――ジョン・ナドウェイ、ノーマン・ナドウェイの兄――アラン・ナドウェイだった。彼はミリセントにブローチを残し、何も盗まずに去って行ったが、その足で別の家へ盗みに入り名刺と葉巻を残して逃げ出した。そしてついに掏摸の現行犯で逮捕されたが…
・忠義な反逆者 The Loyal Traitor
「真の言葉」の下に集う詩人と学者、質屋と隣国の軍人の四人。彼らが革命を起こそうとしているとして国王、首相、銀行家、警察長官は、四人が集まった家を襲撃した。しかし、捕える事が出来たのは、その家の召使ジョン・コンラッド一人で、ほかの四人は大勢の警察官に監視された家から消えてしまっていた。召使を拷問にかけ居場所を吐かせようとするが、召使は頑なに口を噤んだままだった…
→1930年発表。
これは、チェスタトン流の恋愛小説です。