正木不如丘探偵小説選Ⅱ／正木不如丘

［創作篇］
・血の悪戯→1930年発表。大平八郎は柳橋（りゅうきょう）ダンスホールのダンサー・宵の明星こと山野はるみを情報屋とする刑事だった。はるみから医者の松平子爵の死因がチフスではなく殺人らしいと密告を受ける。はるみの元恋人で松平の親友・高山医師、はるみの現恋人の山口医師、そしてはるみの指示で事件を嗅ぎまわっている記者の京田…全ての人物を怪しみながらも敵の思惑に乗る大平刑事だったが、捜査を進めるうちに新たな死者が増えて…刑事がボンクラで操作が全然進まない…こんなんで敏腕刑事…？えっ、えっ…？？？そしてオチが正に不如丘。
・千九百三十一年→1931年発表。道に落ちているコンドームを拾い、外側と内側の血液型を調べる研究者と殺人の凶器から血液型を調べる研究者の話。
・精神異常者の群→1931年発表。やべー奴の話。
・最近研究室（マイクの前にて）→初出不詳。ラジオ出演で留守中の研究室からペスト菌を盗み出すが…ユーモア。
・殺人嫌疑者→1933年発表。村の高利貸を弾みで殺してしまった男の話。さっきまでのユーモアから一転、悲しい話。
・血液型は語る→1935年発表。函館から東京に戻って来る予定だった恋人が列車内で姿を消してしまう。遺書のようなものが見つかり自殺と思われたが、恋人の医師は絶対に自殺などしていないと信じて独自の捜査を進める…安心のオチ。
・細菌は変異する→1935年発表。親友だった二人が研究と女の為に敵対する話。
・生理学者の殺人→1936年発表。「細菌は変異する」と同じく競争心理をテーマとしているがユーモアから一転。
・遺骨発見→1937年発表。大きさからどう見ても恐竜なのだが、十年の雨風にさらされたとは思われない程新しい骨が発見された。しかも腹部には人骨があって…元祖ゴジラ的なやつ。
・ペスト研究室→初出不詳。息子をペストに感染させて殺した博士とそれを知っていて助手をしている息子の恋人の話。やべー奴しかいない。
・原始反応→1947年発表。地方講演を頼まれた精神科医が原始反応の話をする。その晩明かされたある男の懺悔。
・赤血球の秘密→1948年発表。一卵性双生児の片割れが殺人を犯すが、もう一方が真犯人だと気付き煩悶する医師の話。ウウツレエ…ツレエオチ…
・果樹園春秋→1948年発表。果樹園を切り盛りする男女。女は男の友人の妻であったが、引き揚げの際夫とはぐれてしまい、以来男に助けられながら共に生活していた。いつしか互いを愛するようになったが、既婚者である事が二人の間に溝を作っていた…ウウすれ違いしんどい…ツレエ…

［随筆篇］
真事そら事／血液の法医学的価値／探偵小説にある科学／毒薬の話／殺人の生理／有罪と無罪の境界線／不如丘由来記