[創作篇]
犯罪研究家の黄木(おぎ)陽平シリーズ。「M君」と呼ばれる推理小説家が語り手。
・青い服の男:雨宿りに入ったフルーツ・パーラーにいた女が、ある事件の関係者に似ていた事から語られた、土井家で起きた殺人事件の話…
→不可解な状況にウオー!!と興奮したが、机上の空論感の強いトリックでがっかりした…でも、話としては面白いんだよなァ…推理小説に対して私がものすごく寛容になったんだなァと思う。昔だったら多分この一作を読んで即本閉じてた。
・死線の花:生物学者の丘田(おかだ)精吉は、明日戦場へ旅立つ予定だった。私は、彼が品種改良した朝顔の種子を渡され、花が咲いたら写真を送ってくれと頼まれる。その後、精吉の弟・憲二が未亡人殺しの容疑者として引致されてしまい…
→ラストの情景が哀しくも美しいよね…散る前に写真、届くといいね…
・第三の眼:元県議の後妻の怪死事件で容疑者として報道されていたのは、私の知り合いの青年だった。旅行帰りだった黄木と私は、彼の容疑を晴らす為S町で列車を降りたのだった…
→一枝までヒステリックなのメンドクセー…
・最後の烙印:黄木が犯人に敗北した事件――大勢の客がいるサロンで起きた毒殺事件。女給の話から、三年前に殺人を犯し逃走中の男が犯人だと判ったが、行方が全く掴めない。三週間後、被害者がかつて某国のスパイ嫌疑者である事が判明し…
→ふたごのべんりなりようほう。
・燻製シラノ:黄木の事務所が入っているSYビルの持ち主からの依頼――彼が経営する診療所で異母妹が何者かの悪戯で火傷を負った。医長が調べたところ、外科部の看護師が犯人らしい。彼女に診療所をやめるよう勧めると、医長とは対立関係にある外科主任に冤罪を訴えたという。仕事で九州へ行かねばならぬ黄木の代わりに、私が診療所へ調査しに行く事になってしまい…
→派閥メンドクセー…。でもマァある意味ハッピィエンド。
・孤島綺談:突然黄木から御蔵島へ海鳥見学に誘われた私。実のところ、闇ブローカーから海鳥見学へ行く義兄の甥たちを監視していて欲しいという依頼を受けた為の旅行だった。御蔵島へ向う船には鳥類研究家を名乗る男も乗船したが…
→戦後第一作。人物造詣がアカラサマ過ぎるけど、意外な展開で殺人を防げて良かったのでは??
・蜘蛛:心臓麻痺で亡くなった八代氏は、死ぬ間際に「くも、くも」と呟いたという。蜘蛛を病的に嫌っていた八代氏だったが、彼が亡くなった部屋には蜘蛛はおろか、巣すらなかった。亡くなった時に一緒にいた甥が八代氏の急死に関わっているのではないかとの疑惑がある為、八代氏の友人である北島医師が黄木に調査を頼みに来た…
→かなしい…
・幻想殺人事件 プロローグ/真夏の惨劇/怪人西へ行く/完全犯罪:黄木の事務所へ二ヶ月ほど助手として働いていた蔵人(くらんど)潜介の実家で起きた事件。黄木が解決したが、それは典型的な完全犯罪だったという…
→第一回探偵作家クラブ賞の長編候補作で横溝の『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』角田喜久雄の『高木家の惨劇』と共に選出されたんだって~~~。私にはちょっとしんどかったかな…長編向きの作家じゃないと思った。気になったのは(以下ネタバレ反転)15歳も離れた兄に変装って、流石にばれるんじゃあないの…??そりゃ、戸来刑事は潜介くんを知らないけどさぁ、今まで執拗に追いまわしてた男と区別つかないかなあ…15歳だよ?!潜介船乗りになって日焼けで肌年齢老けてるかも知らんけど、15歳だよ!?(反転終わり)解せん…
・灰色の犯罪:友人である雑誌編集長から依頼を受け、性格分析学者の有光博士と対談する事になった黄木。初対面を果たした黄木は、有光博士が毒殺されつつある事に気付き…
→知性に生きる男と、本能で生きる女の戦い…
・誰も知らない
→「第三の眼」の改稿で、この後黄木シリーズの執筆がないから黄木ラスト作。改稿前よりスマートな印象だし、こちらの方が(以下ネタバレ反転)被害者が発作を起こすきっかけに説得力がある。前者は単なる他人の空似だからね…(反転終わり)
[随筆篇]
たわごと(1)/たわごと(2)/暦、新らたなれど/乙女は羞らう山吹の花/アンケート
「たわごと(1)」は、幻想殺人事件について、作中のM君に語らせている作者の言葉のようなもの。
もりとも・ひさし(1903-1984)
東京都生まれ。本名・順造。
歯科医師免許取得後開業。
1939年、『名作』に「青い服の男」が掲載されてデビュー。中短篇の黄木陽平シリーズを発表してきたが、時局の変遷に伴い冒険小説や時代小説に移行。
46年「孤島綺談」で黄木陽平を復活させる。他に高沼哲医学士&唐津千吉刑事シリーズや「影ある男」シリーズを発表するが、53年「靄の中」以降執筆が途絶える。
84年死去。
犯罪研究家の黄木(おぎ)陽平シリーズ。「M君」と呼ばれる推理小説家が語り手。
・青い服の男:雨宿りに入ったフルーツ・パーラーにいた女が、ある事件の関係者に似ていた事から語られた、土井家で起きた殺人事件の話…
→不可解な状況にウオー!!と興奮したが、机上の空論感の強いトリックでがっかりした…でも、話としては面白いんだよなァ…推理小説に対して私がものすごく寛容になったんだなァと思う。昔だったら多分この一作を読んで即本閉じてた。
・死線の花:生物学者の丘田(おかだ)精吉は、明日戦場へ旅立つ予定だった。私は、彼が品種改良した朝顔の種子を渡され、花が咲いたら写真を送ってくれと頼まれる。その後、精吉の弟・憲二が未亡人殺しの容疑者として引致されてしまい…
→ラストの情景が哀しくも美しいよね…散る前に写真、届くといいね…
・第三の眼:元県議の後妻の怪死事件で容疑者として報道されていたのは、私の知り合いの青年だった。旅行帰りだった黄木と私は、彼の容疑を晴らす為S町で列車を降りたのだった…
→一枝までヒステリックなのメンドクセー…
・最後の烙印:黄木が犯人に敗北した事件――大勢の客がいるサロンで起きた毒殺事件。女給の話から、三年前に殺人を犯し逃走中の男が犯人だと判ったが、行方が全く掴めない。三週間後、被害者がかつて某国のスパイ嫌疑者である事が判明し…
→ふたごのべんりなりようほう。
・燻製シラノ:黄木の事務所が入っているSYビルの持ち主からの依頼――彼が経営する診療所で異母妹が何者かの悪戯で火傷を負った。医長が調べたところ、外科部の看護師が犯人らしい。彼女に診療所をやめるよう勧めると、医長とは対立関係にある外科主任に冤罪を訴えたという。仕事で九州へ行かねばならぬ黄木の代わりに、私が診療所へ調査しに行く事になってしまい…
→派閥メンドクセー…。でもマァある意味ハッピィエンド。
・孤島綺談:突然黄木から御蔵島へ海鳥見学に誘われた私。実のところ、闇ブローカーから海鳥見学へ行く義兄の甥たちを監視していて欲しいという依頼を受けた為の旅行だった。御蔵島へ向う船には鳥類研究家を名乗る男も乗船したが…
→戦後第一作。人物造詣がアカラサマ過ぎるけど、意外な展開で殺人を防げて良かったのでは??
・蜘蛛:心臓麻痺で亡くなった八代氏は、死ぬ間際に「くも、くも」と呟いたという。蜘蛛を病的に嫌っていた八代氏だったが、彼が亡くなった部屋には蜘蛛はおろか、巣すらなかった。亡くなった時に一緒にいた甥が八代氏の急死に関わっているのではないかとの疑惑がある為、八代氏の友人である北島医師が黄木に調査を頼みに来た…
→かなしい…
・幻想殺人事件 プロローグ/真夏の惨劇/怪人西へ行く/完全犯罪:黄木の事務所へ二ヶ月ほど助手として働いていた蔵人(くらんど)潜介の実家で起きた事件。黄木が解決したが、それは典型的な完全犯罪だったという…
→第一回探偵作家クラブ賞の長編候補作で横溝の『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』角田喜久雄の『高木家の惨劇』と共に選出されたんだって~~~。私にはちょっとしんどかったかな…長編向きの作家じゃないと思った。気になったのは(以下ネタバレ反転)15歳も離れた兄に変装って、流石にばれるんじゃあないの…??そりゃ、戸来刑事は潜介くんを知らないけどさぁ、今まで執拗に追いまわしてた男と区別つかないかなあ…15歳だよ?!潜介船乗りになって日焼けで肌年齢老けてるかも知らんけど、15歳だよ!?(反転終わり)解せん…
・灰色の犯罪:友人である雑誌編集長から依頼を受け、性格分析学者の有光博士と対談する事になった黄木。初対面を果たした黄木は、有光博士が毒殺されつつある事に気付き…
→知性に生きる男と、本能で生きる女の戦い…
・誰も知らない
→「第三の眼」の改稿で、この後黄木シリーズの執筆がないから黄木ラスト作。改稿前よりスマートな印象だし、こちらの方が(以下ネタバレ反転)被害者が発作を起こすきっかけに説得力がある。前者は単なる他人の空似だからね…(反転終わり)
[随筆篇]
たわごと(1)/たわごと(2)/暦、新らたなれど/乙女は羞らう山吹の花/アンケート
「たわごと(1)」は、幻想殺人事件について、作中のM君に語らせている作者の言葉のようなもの。
もりとも・ひさし(1903-1984)
東京都生まれ。本名・順造。
歯科医師免許取得後開業。
1939年、『名作』に「青い服の男」が掲載されてデビュー。中短篇の黄木陽平シリーズを発表してきたが、時局の変遷に伴い冒険小説や時代小説に移行。
46年「孤島綺談」で黄木陽平を復活させる。他に高沼哲医学士&唐津千吉刑事シリーズや「影ある男」シリーズを発表するが、53年「靄の中」以降執筆が途絶える。
84年死去。
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