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[創作篇]
・詐欺師:「四百円つけて欲しい」と質屋に持ち込まれた行李には質の良い品が入っていたが、二百五十円を渡すと他で金に替えてもらうと出て行ったしまった。いつもは詰まらない物しか持ち込まない客が何故良い物を持っていたのか…
短いけれど、思いがけないオチがあって面白い。

・死を繞(めぐ)る影:母の死で日本へ戻り、半年前に再びロンドンへ戻ってきた中泉。オードレー家のパーティに誘われた中泉は、そこで六年前に別れた恋人・ネリーと再会する。二人は翌日会う約束をするが、客が帰ったあとオードレー家の主人が殺され現金が盗まれ…
ロマンス。

・秘められたる挿話:浅田の隣に住む老婆が殺害された。老婆の家に下宿する男が怪しいが、浅田の妻の行動も不審な点が多く…

・死は死を呼ぶ:ホテルに滞在する金満家の妻が殺害され、ダイヤの指輪が紛失していた。事件後ホテルから姿を消した三人の男と、被害者と言い争いをしていた女が怪しいと野次馬達は噂する…
ちょっと本格ミステリっぽい。ただし犯人の手掛かりは提示されていない。が、いつもの「ミステリおたくあるある」で犯人は判った。

・黒い金曜日:金曜日に片眼を抉られた動物の死骸を投げ込まれる貿易商の家。
事件に関わった警官や新聞記者という部外者視点で各章書かれていて、ちょっと変わってて面白い。

・付鼻:顔を潰された遺体の身元は、歯形によって三室氏と断定された。しかし彼は遺体発見の十日も前に商用で上海に出国していて…
みんなだいすき「顔のない死体」のちょっと変り種。しかしそれにしてもタイトルもっとこう…さあ…!!

・嗣子(しし):結婚して十年目にしてようやく子どもを授かった倉持。一年後、その子どもが誘拐されてしまう。
なんかじーんとする。罪を憎んで人を憎まずじゃな。

・清風荘事件:アパートの一室で殺されていた男。彼と同室で、直前に口論となった男が有力な容疑者となるが…
何か、Ⅱはオチに救いというか希望の持てるのが多いな…そして素人女探偵が登場!

・毒杯を繞(めぐ)る人々:結婚の約束をしたキャバレーの女が、伯父の愛人だと知った日、伯父が毒殺され、動機・毒を入手する機会があった男は逮捕される。彼の元婚約者とその従兄と友人が男の無実を証明する為奔走する。
友人で探偵小説おたくが良い味出してる。それにしても伯父さんの悪党ぶりがすごいぞ。

・昇降機(エレベーター)殺人事件:エレベーター内で殺された男の妻と密会していた男が容疑者として疑われるが、失踪してしまい、被害者の妻も行方をくらまして…
女易者が出てくるよ!

[評論・随筆篇]
『三つの指紋』はしがき/探偵物の創作にナゼ?傑作が出ないか/『松本泰集』自叙/自伝/初夏の一頁/雑草を毟る/探偵小説は廃れるか/探偵小説の流行/探偵小説に就いて/少年の探偵癖に就いて/毀された家―世に出はじめた頃の牧逸馬―/吾が探偵雑誌の思い出

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エグチマサヤ
趣味:
寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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