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綾辻行人推薦
この蠢惑的なタイトル。なおかつEQの長編で唯一の”嵐の山荘”。必読、です。

という推薦帯が欲しくて新刊で買ったシャム双子。
クイーン父子が休暇を利用して旅行に行った帰り道、道に迷った挙句山火事に遭い行き着いた先にあった”矢の根荘”。そこで起きた殺人事件。死体の手が硬く握り締めていた半分になったスペードの6のカード。美しい未亡人とその双子の美しい息子たち。少年はシャム双生児だった。
みたいな。こりゃー横溝正史的なノリだよね。陸の孤島!美しい女性!と、美少年!あとは「祟りじゃーー!!!」というお婆さんがいれば完璧!流石におりんばあさんは出てこないけど、被害者の妻はモナリザの微笑を貼り付けたフランス人でちょっと気味悪い感じなのである。
謎解き事態は被害者が残したダイイングメッセージと思しきトランプのカードの解釈についてにウェイトを占めている。同一犯人なのに異なった凶器を使用しているのがなんか気になる・・・計画殺人じゃないからかなぁ、犬神家だって突発殺人故に凶器が毎回違ったもんねー・・・最初と最後は毒だったけど。
この話は謎解き部分よりも、徐々に近付いてくる山火事の描写が凄い。生きるか死ぬかの極限状態で、謎解きは死から眼を背ける為のツールになっている。あと、エラリーが大分欺かれていて、『ギリシア棺の謎』並に振り回されている。ギリシアと違うのは探偵が何でも難しくひねくれて考えてしまった所為で(殺人については)無実の人間の死を早めてしまったというところか。
なんか謎解きよりも極限状態の人間描写と、クイーン警視の嫁への愛の深さが垣間見れたのが良かった。
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エグチマサヤ
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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