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初版昭和10年のものを平成15年に復刊したもの。
お値段8000円。
が、古書展で840円になっていた。
復刊と銘打ってあるだけあって本気の仕上がりである。
090215a.gif
そいで本文
090215b.gif
漢数字以外は全てルビ有りなのでどうにか読める。
この写植職人が一字一字埋めた感が堪んないよねこのご時世に敢えてこの手作り感を残して復刊させるとは心意気が違うぜ。

+ + + + + + + + + +
・白蟻
この腐臭と妖気と倦怠感漂う世界!ビアズリーの匂いがする!どうにかして絵にしたい!でも漢字とか固有名詞とか判らん!
落盤事故で過去を失くし性格も容貌すらも変貌してしまった夫がはたして本当に夫本人であろうかという疑いを持ち続けて5年間も生きてきた女が主人公。
夫は本当に事故のショックで変わり果ててしまったのか、或いは死んだとされる同僚が夫と偽り生活しているのか。夫の妹に夫の影を求め妖しい情熱を持て余したり、他人のように成り果てた夫との快楽に春婦のように歓喜したり、大木の瘤の中に夫の影を見つけ愛撫したりと、なかなか危うい精神状態の中で生きている主人公。
結局、夫との間に生まれた醜悪なのに顔だけは奇麗という奇形児を使って夫を殺してしまう。
そのあと義母を殺し、白痴の義弟に罪を着せ、美しい義妹と暮らす道を選んだ。
しかし義母だと思った女は義妹であったという皮肉なオチ。
小栗虫太郎は心理学を物凄く勉強してるなァと思った。こんなこと有り得るんかい!というような文献やら症例やらを挙げてゆく。
が、そのこむつかしい話を主人公の独白という形で画いているのがなんだかなァとも思う。不自然な感じが否めない。

・完全犯罪
これは読んだ事ある!ヘッダが殺される事だけ覚えていた。
読み進めるうちに犯人も動機も凶器も思い出した。
けど、被害者ともみ合う男の存在を全く覚えていなかった。結局巧みに誘導された錯覚であったのだが。
そいで動機も思い違いしていた。おかしいな・・・
犯行動機はヘッダがナチスの提唱した例の優秀な血だけを残せ、あとは絶滅させるってゆうアレであった。
ヘッダは劣勢人種の最後の一人だったので、怠惰で猥褻で粗暴な血は絶やすべきと考える医者によって殺害されたのだけど、その医者も劣勢人種の生き残りである事を知った為自殺してしまう。
動機・・・どの話と混同してしまったんだ・・・
金持ちで優秀な頭脳を持つが容姿は人並み以下の女性と、地位も金もない低俗な売春婦だが(美人ではないけど)男にちやほやされている女性という、両極端な二人がであったら確執が起こるという話を何かで読んだんだ・・・
女医は売春婦に同情して部屋を貸すけど、だんだん売春婦が図に乗って女王様気取り(女医は男に女として見られた事がないので)になっていくのが耐えられんくなって殺したんだと思ってた。

・夢殿殺人事件
尼寺にやっかいになっている修法僧と尼僧が密室で殺されている話。なんと修法僧は梵字のような左右対称の切り傷からの出血による失血死であるにも関わらず現場にはその大量の血が殆ど無かった。尼僧は絞殺されているが顔には苦悶の色が無いばかりでなく抵抗の痕も無い。犯行は仏によるものなのか。
機械トリックが全く掴めない・・・右足と左腕、左足と右腕を結んだらブレイクダンス踊り出す??ようわからん。
尼僧を回転させる事で錯覚を起こさせ人の眼に映っているのに認識されないなんてありえるのか??
トリックを理解するために映像化しないかなー無理だろうなー

・聖アレキセイ寺院の惨劇
凶器を消す機械トリックが判らん!私の想像力が乏しいのか一向脳裏に描かれない。
子鐘を鳴らさず大鐘から鳴らすトリックはなんとなく判ったけど・・・というかそんなに無理して犯行に及ぶなと言ってやりたい。大変だったろうに・・・
この話も読んだ事ある気がしたけどなんにも覚えてない。イリヤとジナイーダという章題にのみ覚えがあった。

・後光殺人事件
苦悶の様子も無く、合掌した状態で発見される僧の死体。一撃必殺の即死ではなく、じわじわと慎重に脳天の縫合部の間を狙って垂直に錐のようなものを差し込まれた事によって殺害されている。しかも現場に残された足跡は被害者と発見者のものだけとゆう野外の密室。
このアリバイトリックも足跡を消すトリックも説明によって脳裏にイメージが浮んだけど、被害者の精神を破壊して無痛覚にし抵抗する意識すら奪ったというのはドウにも理解し難い。ほんとに出来るのか??
どんなけ巧妙に催眠術をかけても、他人を殺すとか自殺させるという死に直結した事は無意識のうちに拒むって誰かがゆってた。死への恐怖は物凄く根深いからどんなに朦朧とした状態でも一線をひいてしまうものなんじゃないかなァ。生まれつき脆弱で繊細な精神の持ち主ならば可能かもしれないが、どうなんだろう。

ところで小栗虫太郎が生んだ名探偵は法水麟太郎の相棒、支倉検事。
この「支倉」って苗字ものすごく格好良くないですか。
私の思う格好良い苗字ランキング堂々3位内に入る(1位ではないんだ・・・)
いいな支倉。喧嘩弱そうな名前だよね!
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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