少年科学探偵塚原俊夫君の活躍を描いた短編集。
ジュブナイル版ってやつですね。
少年探偵って聞くと真っ先に江戸川乱歩の小林少年を思い出しますが、てゆうかそれ以外知らないというか、小林君は素直で可愛い感じだけど、この俊夫君はなんか可愛げがない。ワトソン役の大野さん(柔道三段)も「Pのおじさん」こと小田刑事も俊夫君の事が可愛いらしいけど、なっとくいかん。お父さんより叔父さん(おかねもち)の方が俊夫君に金銭的援助をしてるのもなっとくいかん。父親の威厳!
なんといいますか、大人に対する敬意が感じられんのが釈然としないのかなァ。
じゃあ自分が子供の頃、大人を尊敬していたのかって聞かれるとソウでもなかったなァ。
そうゆう年頃なんですかね、納得。
子供ってさ、ある時ふと大人の汚さとか諸々を感じ取って小馬鹿にしたがる時期があるんだよ、そうゆう事だよ。
本題!
少年少女向けではあるが、犯罪は殺人・誘拐・強盗、自殺か他殺か、などなかなか広範囲。
不木が衛生学や医学を修めていたので捜査に水銀石英灯(ブラックライト)を用いたり、暗号に元素記号を用いたりして、科学に興味を持たせる工夫がされている。
俊夫君、12歳の設定だけど6歳で三角形の内角の和が180度と等しい事を独学で知り、尋常2年生で中卒並の知識があったので尋常小学校をやめて独学での研究に没頭する事にしたってゆう超絶おこさま。
だので白骨死体の複顔も一人でやっちゃうんだぜ!
てゆうか複顔って肉の厚さの平均値とか様々な数字データが必要になるし、手作業なら結構時間かかるんだが…マァそこはフィクションというご都合主義でクリアさせている。
トリックやオチはマァ判り易いですよ、私も結構ミステリ読み慣れてますからね。
けど、不木で初めてミステリに触れたってゆう当時の少年少女はどきどきわくわくの書物だったのではなかろうか。
最後に、中絶作品が参考作品として掲載されている。
連載中に海外作品と酷似している事を読者から指摘され、次号に謝罪文を掲載したという。うーむ、結構真摯な対応。
その酷似しているという作品も収録されています。
論創社の探偵小説選シリーズ、なかなかやるな!
こさかい・ふぼく(1890-1929)
愛知県蟹江町生まれ。本名は光次。医学博士、随筆家、翻訳家、推理作家。別名・鳥井零水。
名古屋市にて闘病生活を送りながら、創作小説や翻訳小説、研究所を執筆。
ジュブナイル版ってやつですね。
少年探偵って聞くと真っ先に江戸川乱歩の小林少年を思い出しますが、てゆうかそれ以外知らないというか、小林君は素直で可愛い感じだけど、この俊夫君はなんか可愛げがない。ワトソン役の大野さん(柔道三段)も「Pのおじさん」こと小田刑事も俊夫君の事が可愛いらしいけど、なっとくいかん。お父さんより叔父さん(おかねもち)の方が俊夫君に金銭的援助をしてるのもなっとくいかん。父親の威厳!
なんといいますか、大人に対する敬意が感じられんのが釈然としないのかなァ。
じゃあ自分が子供の頃、大人を尊敬していたのかって聞かれるとソウでもなかったなァ。
そうゆう年頃なんですかね、納得。
子供ってさ、ある時ふと大人の汚さとか諸々を感じ取って小馬鹿にしたがる時期があるんだよ、そうゆう事だよ。
本題!
少年少女向けではあるが、犯罪は殺人・誘拐・強盗、自殺か他殺か、などなかなか広範囲。
不木が衛生学や医学を修めていたので捜査に水銀石英灯(ブラックライト)を用いたり、暗号に元素記号を用いたりして、科学に興味を持たせる工夫がされている。
俊夫君、12歳の設定だけど6歳で三角形の内角の和が180度と等しい事を独学で知り、尋常2年生で中卒並の知識があったので尋常小学校をやめて独学での研究に没頭する事にしたってゆう超絶おこさま。
だので白骨死体の複顔も一人でやっちゃうんだぜ!
てゆうか複顔って肉の厚さの平均値とか様々な数字データが必要になるし、手作業なら結構時間かかるんだが…マァそこはフィクションというご都合主義でクリアさせている。
トリックやオチはマァ判り易いですよ、私も結構ミステリ読み慣れてますからね。
けど、不木で初めてミステリに触れたってゆう当時の少年少女はどきどきわくわくの書物だったのではなかろうか。
最後に、中絶作品が参考作品として掲載されている。
連載中に海外作品と酷似している事を読者から指摘され、次号に謝罪文を掲載したという。うーむ、結構真摯な対応。
その酷似しているという作品も収録されています。
論創社の探偵小説選シリーズ、なかなかやるな!
こさかい・ふぼく(1890-1929)
愛知県蟹江町生まれ。本名は光次。医学博士、随筆家、翻訳家、推理作家。別名・鳥井零水。
名古屋市にて闘病生活を送りながら、創作小説や翻訳小説、研究所を執筆。
・幽霊
ホラーではなくちゃーんと解決がある幽霊話。
しかし因縁めいている。
・紳士の行ゑ
生命保険ネタ。
・血の文字
ダイイングメッセージもの。
被害者は即死の筈なのに犯人の名前を書き残している…
真犯人は別にいるのか、または探偵を欺く為に犯人が態と自分の名前を書いたのか…
エラリーの『シャム双生児の謎』より約30年も前にこの命題を書いていたとは…
フランスの作家・ガボリオという人の翻案らしい。
・父知らず
自分の父親が生きているのか死んでいるかも知らされない哀れな主人公が乳母を殺し死刑になる筈が…
もの凄く短い話ながら一転二転する。るいこうは短編の方が面白いな。
・田舎医者
美人にぽー、となり過ぎてうっかり毒薬を彼女に渡してしまった医者。
件の医者→その妻→その下男 の手記による連作。
・女探偵
ちょう短い話。結婚した男に荷物を持ち逃げされた花嫁がとった手段とは。
・帽子の痕
堅い帽子をかぶっていた痕が額に残っているのに柔らかい帽子を持っている宝石商を怪しむ探偵の成功談。
・間違ひ
万引きを捕まえたところ、実はとんでもない間違いを犯していた事が判明…
これもどんでん返しあり。面白い。
・無実と無実
まさかの未完…!!
1700年代に実際にあった冤罪事件で死刑になった二人の人物の話らしい。
・秘密の手帳
危篤状態の兄から「秘密の手帳を処分してくれ」と頼まれた弟。その手帳には兄が犯した犯罪の事が書かれていた。
結局、誤解が解けて大団円、となる筈が兄思いの弟が間違って逮捕されたのを幸いに、弟に罪を着せて逃げおおせようとした兄は父にも婚約者にも浮気相手にも見放されてしまう。
この婚約者、家督を継ぐことになった弟の嫁になるんだけど…
こいつ絶対兄に金が入らんくなったから弟と結婚したんだ、だって兄と婚約する前に弟が彼女の事好きになって色々親切してやったのにその時は知らん顔してたんだからさー、ぜったいかねのあるほうとけっこんするきだったんだよ。
おんなってこわいなー、という話ですねこれは。
ホラーではなくちゃーんと解決がある幽霊話。
しかし因縁めいている。
・紳士の行ゑ
生命保険ネタ。
・血の文字
ダイイングメッセージもの。
被害者は即死の筈なのに犯人の名前を書き残している…
真犯人は別にいるのか、または探偵を欺く為に犯人が態と自分の名前を書いたのか…
エラリーの『シャム双生児の謎』より約30年も前にこの命題を書いていたとは…
フランスの作家・ガボリオという人の翻案らしい。
・父知らず
自分の父親が生きているのか死んでいるかも知らされない哀れな主人公が乳母を殺し死刑になる筈が…
もの凄く短い話ながら一転二転する。るいこうは短編の方が面白いな。
・田舎医者
美人にぽー、となり過ぎてうっかり毒薬を彼女に渡してしまった医者。
件の医者→その妻→その下男 の手記による連作。
・女探偵
ちょう短い話。結婚した男に荷物を持ち逃げされた花嫁がとった手段とは。
・帽子の痕
堅い帽子をかぶっていた痕が額に残っているのに柔らかい帽子を持っている宝石商を怪しむ探偵の成功談。
・間違ひ
万引きを捕まえたところ、実はとんでもない間違いを犯していた事が判明…
これもどんでん返しあり。面白い。
・無実と無実
まさかの未完…!!
1700年代に実際にあった冤罪事件で死刑になった二人の人物の話らしい。
・秘密の手帳
危篤状態の兄から「秘密の手帳を処分してくれ」と頼まれた弟。その手帳には兄が犯した犯罪の事が書かれていた。
結局、誤解が解けて大団円、となる筈が兄思いの弟が間違って逮捕されたのを幸いに、弟に罪を着せて逃げおおせようとした兄は父にも婚約者にも浮気相手にも見放されてしまう。
この婚約者、家督を継ぐことになった弟の嫁になるんだけど…
こいつ絶対兄に金が入らんくなったから弟と結婚したんだ、だって兄と婚約する前に弟が彼女の事好きになって色々親切してやったのにその時は知らん顔してたんだからさー、ぜったいかねのあるほうとけっこんするきだったんだよ。
おんなってこわいなー、という話ですねこれは。
ついにるいこう読んだ。
ほんとは岡本綺堂借りる予定が半七捕物帖1~3なくて、そのうえ二段組みだったからるいこうにした。
私、二段組みの本が苦手…読み難いもの。
・無惨
日本初の探偵小説と言われている作品らしい。
でも発表当時(明治22年)は小説に論理的なものを求めていなかったらしく、論理に基づいた犯人探しの小説であるこの作品は不人気だったらしい。
明治の本なので文章はちょっと読み難い。だけどこれは話のテンポが良くて文体も慣れれば苦ではない。寧ろ面白い!
背中を斬られ、体中に擦り傷打撲あり、頭頂部には槌で殴ったような凹みと針で刺されたのか2寸程穴があいているという身元不明の惨殺死体が川に遺棄されていた事から始まる。
二人の探偵(今で言う刑事)がそれぞれの方法で犯人を突き止めるはなし。死体の描写がえぐい。
死体が掴んでいた毛髪から科学的に犯人を割り出していくところが良いです。おおーて感心するよ。でも当時は「こんなの小説じゃねーし」と小説家に言われてたって。
因みにこれは涙香の創作らしい。
・金剛石の指環
これは翻案らしい。呪いのダイヤモンドを指環に加工して嵌めていた妻が原因不明の病気になって死ぬ話。しかしある日窓の外に妻の姿が…
ポーの「早過ぎた埋葬」系列の話です。
・恐ろしき五分間
都市伝説にこーゆーのある!
しかし主人公は役得である。金貰って美人の奥さん貰えるなら五分の恐怖位我慢するって人多いんじゃないの???
・婚姻
ドイルの「唇の捩じれた男」系列の話。
しかし妻メンタル弱い!ショックで気絶したまま天に召された。
あと、文句を言うなら挿絵の位置が悪いと思う。あれはオチのあとにくるべき。
・紳士三人
^^^これおもしろい^^^
金有り超美人の令嬢、ただ、他人と話をすると二言目に声を荒げ三言目には杖で殴るという超おっかないお父さんがいるのでなかなか結婚出来ない。
で、ある三人の紳士が令嬢は自分に気があるのだと素敵な勘違いをし、恐い父ちゃんの留守の間に令嬢を口説きに行くんだけどそのオチは…という話。
これ好き^^^
・電気
ろくでなしと掛け落ちしようとした娘の行く末。
うーんちょっと感電するには距離が離れてる気がしなくもないんだけど…
・生命保険
継母から父親が死んだと知らされ奉公先から駆け付けた娘。しかし死体は既に埋葬された後で、生命保険の1000ポンドを渡され帰らされる。
その後奉公先で若い画家と仲良くなり、彼の叔父が彼女の父親の元を訪ねてから行方知れずになっている事を聞かされる。
舞台は海外らしいけど、出てくる人物は日本人だし、村の名前が「外郎村」だしつっこみどころ満載だけど、これも結構好き。
奉公先の主人の人の良さも良い。なんというハッピーエンド。
・探偵
これは…なんかぐだぐだ長くてあんまり好きじゃないなぁ…ところどころ面白い所はあるけど、主人公水嶋探偵(=刑事)の活躍を嫉む同僚の通称栗色が仕事を妨害するところは邪魔だと思う。こいつ職業意識低過ぎ。
探偵を助ける女探偵気どりは探偵と結婚する法則は多分ここから始まっている。
・広告
夫婦で素人芝居にはまり、変装の名人となった主人は、自分の変装術が何処まで通用するか試そうと新聞に「妻募集」の広告を掲載。やってきた見合い相手が実は…
これも面白い^^^好き^^^にやにやする^^^
くろいわ・るいこう(1862-1920)
高知県安芸市生まれ。本名は周六。別名・香骨居士、涙香小史など。
翻訳家、作家、記者として活動し、『萬朝報(よろずちょうほう)』を創刊。
海外の小説の登場人物を、日本人風の名前にして翻案した『巌窟王』『噫無情(あゝ無情)』などを発表(前者は『モンテ・クリスト伯』、後者は『レ・ミゼラブル』)
ほんとは岡本綺堂借りる予定が半七捕物帖1~3なくて、そのうえ二段組みだったからるいこうにした。
私、二段組みの本が苦手…読み難いもの。
・無惨
日本初の探偵小説と言われている作品らしい。
でも発表当時(明治22年)は小説に論理的なものを求めていなかったらしく、論理に基づいた犯人探しの小説であるこの作品は不人気だったらしい。
明治の本なので文章はちょっと読み難い。だけどこれは話のテンポが良くて文体も慣れれば苦ではない。寧ろ面白い!
背中を斬られ、体中に擦り傷打撲あり、頭頂部には槌で殴ったような凹みと針で刺されたのか2寸程穴があいているという身元不明の惨殺死体が川に遺棄されていた事から始まる。
二人の探偵(今で言う刑事)がそれぞれの方法で犯人を突き止めるはなし。死体の描写がえぐい。
死体が掴んでいた毛髪から科学的に犯人を割り出していくところが良いです。おおーて感心するよ。でも当時は「こんなの小説じゃねーし」と小説家に言われてたって。
因みにこれは涙香の創作らしい。
・金剛石の指環
これは翻案らしい。呪いのダイヤモンドを指環に加工して嵌めていた妻が原因不明の病気になって死ぬ話。しかしある日窓の外に妻の姿が…
ポーの「早過ぎた埋葬」系列の話です。
・恐ろしき五分間
都市伝説にこーゆーのある!
しかし主人公は役得である。金貰って美人の奥さん貰えるなら五分の恐怖位我慢するって人多いんじゃないの???
・婚姻
ドイルの「唇の捩じれた男」系列の話。
しかし妻メンタル弱い!ショックで気絶したまま天に召された。
あと、文句を言うなら挿絵の位置が悪いと思う。あれはオチのあとにくるべき。
・紳士三人
^^^これおもしろい^^^
金有り超美人の令嬢、ただ、他人と話をすると二言目に声を荒げ三言目には杖で殴るという超おっかないお父さんがいるのでなかなか結婚出来ない。
で、ある三人の紳士が令嬢は自分に気があるのだと素敵な勘違いをし、恐い父ちゃんの留守の間に令嬢を口説きに行くんだけどそのオチは…という話。
これ好き^^^
・電気
ろくでなしと掛け落ちしようとした娘の行く末。
うーんちょっと感電するには距離が離れてる気がしなくもないんだけど…
・生命保険
継母から父親が死んだと知らされ奉公先から駆け付けた娘。しかし死体は既に埋葬された後で、生命保険の1000ポンドを渡され帰らされる。
その後奉公先で若い画家と仲良くなり、彼の叔父が彼女の父親の元を訪ねてから行方知れずになっている事を聞かされる。
舞台は海外らしいけど、出てくる人物は日本人だし、村の名前が「外郎村」だしつっこみどころ満載だけど、これも結構好き。
奉公先の主人の人の良さも良い。なんというハッピーエンド。
・探偵
これは…なんかぐだぐだ長くてあんまり好きじゃないなぁ…ところどころ面白い所はあるけど、主人公水嶋探偵(=刑事)の活躍を嫉む同僚の通称栗色が仕事を妨害するところは邪魔だと思う。こいつ職業意識低過ぎ。
探偵を助ける女探偵気どりは探偵と結婚する法則は多分ここから始まっている。
・広告
夫婦で素人芝居にはまり、変装の名人となった主人は、自分の変装術が何処まで通用するか試そうと新聞に「妻募集」の広告を掲載。やってきた見合い相手が実は…
これも面白い^^^好き^^^にやにやする^^^
くろいわ・るいこう(1862-1920)
高知県安芸市生まれ。本名は周六。別名・香骨居士、涙香小史など。
翻訳家、作家、記者として活動し、『萬朝報(よろずちょうほう)』を創刊。
海外の小説の登場人物を、日本人風の名前にして翻案した『巌窟王』『噫無情(あゝ無情)』などを発表(前者は『モンテ・クリスト伯』、後者は『レ・ミゼラブル』)