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先週読み終えた、久々に生きている作家さんの作品です。
「しおなだむらじけん」と読みます。私は読めませんでした。
主人公は中学三年生、絵を描くのが好きな大人しい男子です。

横溝オマージュ作品ということで読み出したものの…二段組だし(二段組を読むのが苦手)50頁までに主人公が三回も勃起してるし全然事件起きないしで早々に挫折しかけましたが、犬使いのお婆さんの伝説話からぐいぐい読み進められました。それでも事件が起きるまで結構かかりました。
転校生の両足が切断されて木の上で発見されたり、ひと月前から行方不明になっていた撓田村の権力者の腐乱死体(しかも下半身は引きちぎられている!)が犬使い伝説の犬塚で見つかったり、これでもかという横溝くささ。たまらん。
探偵も、金田一を彷彿させる人物だし(しかし造形が普通の探偵とは大分かけ離れている)『犬神家の一族』感はんぱない。
※とはいえ、私の浅い読書遍歴では『緋色の囁き』とか「死刑囚パズル」とかも連想しました
事件の背景は探偵の想像以上に残酷で、なにもここまでしなくても…と思いますが(このへんも『犬神家』感凄いけど、それ以上に辛い)最後の最後、高校生になった主人公の話で救われます。
「なんでこんな言うかなあ、こんな事するかなあ」と思うけど、そういや彼らは中学生だった、大人に成りきれない、でも子どもでいられない、そんな危うい年頃なんだった。
同級生が殺されるってだけでも相当ショッキングな出来事なのに、主人公は色んな方向から精神的に追い詰められてしまうという…なんてこった。

犯人側の裏事情も書かれていて、犯人が完全悪と見做せないのがまたニクイよね。
思うに、諸悪の根源は千鶴ではないかと…

一時は読書放棄しかけたけど、読んで良かった。
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芥川龍之介/アグニの神、開化の殺人、影、河童 どうか Kappa と発音してください。、奇怪な再会、疑惑、黒衣聖母、奉教人の死、魔術
「薮の中」がミステリとして読めるのは有名だけど、木々高太郎が「探偵小説」に替わる名称「推理小説」とゆうのを提唱した時に例として挙げたのが「河童」だったそうな。
他にもミステリ系短編としてまとめられた作品がいくつかあるようなので、それらを読みだしました。(→『文豪ミステリ傑作選/芥川龍之介集』(河出文庫)「奉教人の死」「開化の殺人」「疑惑」「魔術」「未定稿」「黒衣聖母」「影」「妙な話」「アグニの神」「奇怪な再会」「藪の中」「報恩記」)

野村胡堂/銭形平次捕物控 038一枚の文銭、130仏敵、131駕籠の行方、146秤座政談、147縞の財布、148彦徳(ひょっとこ)の面、149遺言状、150槍の折れ、159お此お糸、338初姿銭形平次 八五郎手柄始め

サキ/第三者(妹尾韶夫訳)

江戸川乱歩/心理試験、日記帳

中谷宇吉郎/雪の化石2
アプルビイ警部シリーズ4作目。
人気作家リチャード・エリオットの小説に登場するヒーロー<スパイダー>。シリーズは37冊に及んだが、人気は衰える事を知らず、人々は<スパイダー>の活躍を待ち望んでいた。
しかしリチャードや家族は<スパイダー>に悩まされていた。何者かが<スパイダー>を名乗り悪趣味な悪戯を繰り返していたのだ。
リチャードの屋敷ラスト・ホールで<スパイダー>生誕20周年を祝うパーティーの最中に、リチャードが構想中のプロットそっくりの事件が起こる。さらに活字にする前に破棄した筈のプロットを模倣したかのような事件まで起き、エリオットは精神的に打ちのめされてしまう。
そんな混乱の中、妹パトリシアに呼ばれたジョン・アプルビイが登場。

2、3作目みたいに前作に登場した人が出てくるかと思ってたけど今回はおらず…マァ『ある詩人への挽歌』はスコットランドが舞台だったしな…
パーティが行われているので、例によって登場人物表にいない人物がイッパイです。さらに蒐集家ショーンの屋敷でもパーティ(という名のコレクションみせびらかし大会)が開かれ、名も無き人々入り乱れで何度も人物表確認しながらなので読めども読めども進んだ気がせず(後半は諦めて読み進めたけど)。文学作品の引用で会話をする人物が相変わらず多いのでそれもスピードダウンの要因かと。

ドウでも良いけど、序盤のパトリシアによる兄さん人物像説明の所為でアプルビイイケメン妄想が止まらん。うん、アプルビイは多分男前だと思うよ!多分!背の高い警察官ぽくない人。芝居好きな文学青年(せいねん…??)。

はあ、イネス面白いからもっとじゃんじゃん翻訳してほしい…!特に『アプルビイズ・エンド』から『アリントン邸の怪事件』の空白を埋めてくれ…
マイクル・イネス『ハムレット復讐せよ』の登場人物に「ジャーヴァス・クリスピン」という金融界のドンみたいな人が出ていた。
その名前の由来がエドマンド・クリスピンとこの作家の探偵、ジャーヴァス・フェンだと解説に書かれており、いつか読んでみようと思っていたのであった。
処女作『金蝿』の評価はイマイチだし、それ程魅力を感じなかったので、タイトルがかっこいい『愛は血を流して倒れている』を読む気だったけど本棚に並んでたので、第二作のこっちを先に読みました。てゆうか『金蝿』は在学中に書いた作品らしいわっけえな!すげえな。

大聖堂のパイプオルガン奏者が重傷を負ったので代理の奏者として捕虫網を持ってトールンブリッジに来いとフェンから電報を受け取った音楽家のジェフリイ・ヴィントナー。
「命が惜しくばトールンブリッジへ近づくな」という脅迫状に気付く前に了解の返信をしてしまったジェフリイは、律儀にも捕虫網を購入すべく百貨店へ立ち寄る。そこで暴漢に襲われるも間一髪で店員に助けられ、なんだか良く判らないが店員と共にトールンブリッジ行きの列車に乗る。(元)店員はヘンリー・フィールディングという伯爵だと名乗り(爵位は受け継いだだけで自分は何の功績もないらしい)、探偵か諜報員になりたいのだという。車内でも二度襲撃を受け何とかトールンブリッジへ到着。だが肝心のフェンはおらず、女性は不可解な生き物と干渉を避けていたジェフリイは聖歌隊長・バトラー牧師の娘、フランシスに一目惚れしてしまう…

こんなかんじでドタバタしつつ、重傷だったオルガン奏者が病院で毒殺されたり、代理奏者は実は別の人に頼むつもりだった事が判明したり、でっかい蝗がスープ皿に落ちて犬が食べちゃったり、小娘に警官隊がおちょくられたりします。カオス!
作中、牧師寮にディスクン・カーの本があったり、ヤードに事件を引き継ぐにあたり、フェンが「アプルビイが来るのか」と言ったり、ガービン牧師のペットが鴉だからってフェンとジェフリイがポーの「大鴉」を引用して牧師をおちょくったり(ガービン牧師はポー未読)しているあたりはニヤニヤが止まらないです。楽しい^^
しかし証拠が全然出てこなくて推理の余地はどこにあるんだ…と、最初から推理する気のない私はミステリあるあるとおたくの勘で犯人に見当を付けました(しかも当たってた。伊達に20年ミステリおたくしてないようだ)。
しかし最後まで読んだら親切にも伏線があそこにあったでしょってゆうフェンからの解説があっておお成程と思った。

フェンが出てくるまでなかなか読み進まなかったのは何故だろう…決して読み難い訳ではない…訳ではないけど…
他の作品を読むかドウかは判らないってのが正直なところ。うーむ。
高木彬光は神津恭介シリーズ(予言とかの三部作?や入手困難なのは未読)と『黒白の囮』しか読んでないけど、この短編集は会社の金横領ネタが多く、社会派ブーム真っ只中の作品が多いのかな、と思います。よく知らんけど。

・創作・読物篇
黒魔王(こくまおう):新聞記者の恋人が恐れていた「黒魔王」。行方不明になった彼を探す慶子が出会ったのは、探偵として名高い大前田栄策であった。
大前田栄策って聞いた事あるよーな…と思ってたら『狐の密室』で神津恭介と共演しとったって…神津シリーズ集中して読んでたの10年前だからな…忘れてる。



鉄道怪死事件:下山総裁事件をベースとした創作。犯罪請負人の話。

三十億金貨を引揚げる美女:復員した男の前に現れた、かつての恋人に似た女。彼女は恋人の双子の妹で、先祖が成し遂げられなかった黄金を積んだ沈没船を引き揚げる事に執念を燃やしていた…

戦後派殺人事件:罪と罰的な。心理試験的な。

黒い白鳥:占いを信じない女の前に現れた霊能者。霊能者は彼女の過去を悉く言い当て、近い将来殺人を犯すと予言する…
オチが悲しい。失って判る、おもい。

時は裁く:時計マニアの叔父を殺害する決心をした甥。犯行時刻を偽装して完璧なアリバイを作ったが…

吹雪の宿:雪山!クローズド・サークル!殺人!コテコテのお題ですね。

自殺恐怖症:「あなたと高校時代に付き合っていた彼氏は自殺、二番目は事故死、三番目は自殺…」伊沢真佐子の前に現れた謎の女は、そう言って彼女を脅迫するのだった…

殺人の挽歌:会社の金を横領し、自殺した恋人…彼の無実を信じる彼女は、元上司に「事件の真相を教える」と呼び出されたが、そこには殺害された元上司が…

死とのお見合い:美人だが、高慢だとか鼻持ちならないだとか言われ、周りから疎まれている山本良子。同じ名前の山本芳子は愛想が良く、皆から好かれていた。ある日、「山本ヨシ子」宛にラブレターが届くが、どちらのヨシコ宛なのか判断出来ず、二人で待ち合わせ場所へ行く事になり…

闇の声:恋人とホームビデオ鑑賞中に強盗が現れ、姉から預かっているものを渡せと脅された妹。犯人はそのまま逃走したが、胸騒ぎがして姉の住むマンションへ行くとそこには姉の結婚相手候補の三人がいた。三人は手紙で姉に呼び出されたというが、姉は寝室で殺されていた…

狂った拳銃:飲み会の余興で西部劇を演じている最中に一人が射殺された。モデルガンが本物の拳銃にすり替えられていたのだ…

女の復讐:執念!こわいよ。

小栗上野介の秘密:徳川埋蔵金話そのいち。小栗の懐刀・林鶴漲の子孫に頼まれて埋蔵金の在処を探る事を頼まれた霊媒師の「神がかり」の席での話。

風戸峠の秘宝:徳川埋蔵金話そのに。小栗上野介の埋蔵金の為に破滅した男の話。オチは読めたけど、奥さんの心理にはしてやられました。そうきたか。

※徳川埋蔵金ネタが続くので、当時埋蔵金ブームだったんかなァって呟いたら、埋蔵金ブームがくる20年程前の作品だと教えて頂きました(有難うございます)。高木彬光時代先取りやん。



首斬り弁護士:戦争中、警察の取り調べで病死した男性は拷問によって死んだのではないかと疑い、墓を暴いて頭部を持ち出した弁護士の実話らしい。当時の法医学の権威・古畑種基の名前も出てる(古畑博士としか出てないけど)。
結局当時の刑事は無罪判決が出て、それでも何度も控訴して不正を正そうとした弁護士の戦い。
こうゆう事が何度も何年も何十年もあって、今、漸く行き過ぎた取り調べに対して厳しくなったんだと思うと忘れてはいけない・知らなければいけない歴史だと思う。

戦艦山城の亡霊:戦艦山城の幽霊船目撃談。これ、日本人が見てるんじゃなくて山城の船員達に対して敬意を払っている外国人老船長が見たってゆう設定が効いてるとオモウ。


・評論・随筆篇

推理小説私見―大坪砂男氏にこたへて/第二の回答/推理小説とは何ぞや/トリック創造の秘密/わが道を往く/殺人動機について―白痴的犯罪―/評の評/探偵小説とは何か/推理小説の将来/推理小説私観



集団、計画的犯罪

最後の「集団、計画的犯罪」は、下山総裁事件に対する高木彬光の犯人(犯行)推理です。当時の人々の関心の高さが伺えますってゆうかほんとコレなんだったの政府の陰謀だったん??司法解剖結果の東大VS京大も、なんかカムフラージュに見えてくる。

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たかぎ・あきみつ(1920-1995)
青森県青森市生まれ。本名は誠一。
四代続いた医者の家系。非嫡出子として生まれ、一高入学の年に父親が亡くなると家は破産して一家離散、親族からの援助で学業を続けた。
占い師の勧めで『刺青殺人事件』を執筆、江戸川乱歩に認められ1948年デビュー。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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