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羽志主水(はし・もんど/1884-1957)
長野県生まれ。本名・松橋紋三。
東京帝国大学医科卒業後、山形の病院に勤めるが、八、九年後東京で開業。1925年『新青年』に「蠅の肢」が掲載されデビューするが、四編で創作の筆を断つ。57年死去。

・蠅の肢(あし):独逸のソーンダイク博士と謳われているエルンスト博士の元に陸軍の機密部から、理学研究をする青年の殺人未遂事件の捜査の依頼され…
→25年発表。医事雑誌に出そうかと小酒井不木に見せたところ、『新青年』に掲載されたという。ドイツ人のキーフェル(=松の意)氏作・羽志主水(=橋紋三のもじり)翻訳という体裁で発表したかったけど、「日本、不衛生だよね」ってオチだったのでヤメさせられたって。

・監獄部屋:北海道で鉄道敷設その他の肉体労働を強いられている約三千人の男たち。虐待・暴力・殺人が日常茶飯事の「監獄部屋」と呼ばれる現場に、政府の役人が巡検に来る事になり、過酷な労働現場を訴えようと彼らは期待する…
→26年発表。社会派という事で、当時もの凄くもてはやされ羽志の代表作と認知されている作品。ご子息の話では、父親は芝居に通ずるどんでん返しを狙った作品なので、何故こんなに評価されてるのかわからん、との事。もの凄く救いの無い話だよ…

・越後獅子:火事の焼跡から半焦げの女性の遺体が見付かるが、頸に手拭がきつく巻き付いていた。喧嘩が絶えなかった夫が容疑者として拘引されたが、ラジオを聞きに行っていたとアリバイを主張して…
→26年発表。ラジオがアリバイに利用されるんだけど、書き方がイマイチなんで、某海外ミステリの某トリック的な使われ方なのかと誤読してしまう…しかもラジオで流れたという長唄の歌詞(?)の順序が間違っていたらしい。終わらせ方も良く判らん(そもそも長唄とか知らんから、オチをドウ解釈すれば良いのかが判らない)。

・天佑(センナンセンス)
→29年発表。うむ、判らん。
 ※日本が米国に喧嘩売った時代のピリピリしてる時に鉄不足で苦しんでいたら日本に巨大隕石(鉄がイッパイ含まれている)落ちてきてラッキーばんざいってゆう話です。



処女作について/雁釣り/唯灸(ただきゅう)/涙香の思出/マイクロフォン

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水上呂理(みなかみ・ろり/1896-1989)
福島県生まれ。本名・石川陸一郎。
少年時代を神保町で過ごし、中学は福島へ通う。明治大学法科入学、学費を稼ぐ為、東京日日新聞社の夜間編集部に勤務。1928年『新青年』に「精神分析」が掲載されデビュー。翻訳の仕事と新聞社が忙しく沈黙するが33年創作を再開。だが木々高太郎の登場で筆を断つ。89年死去。

・精神分析:精神病を専攻して大学の助手をしている青柳の親友・翠川の元に持ち込まれた見合いは、悉く不思議な現象によって失敗していた。見合い写真が紛失したり、相手に送った戸籍にいつの間にか朱線が引かれていたり…ついには翠川を慕う小間使いの自殺未遂まで起こって…
→28年発表。結構面白かった。マァ、フロイトの精神分析は型通りの解釈だけど…

・蹠(あしうら)の衝動:「土踏まずを地べたに押し付けたい」衝動によって精神衰弱を患っている門脇医学士が検事の元を訪れた。彼は先日起きた小説家による同居人殺害事件について重大な証言をしに来たのであった…
→33年発表。

・犬の芸当:サーカス団の団長・青田が拳銃を下顎部から撃たれて死亡した。その部屋には、青田に良く懐いたサーカスの人気犬・ジャックが不安定な姿勢でチンチンをしていた。団員の証言で、容疑者として飯能が拘留されたが、彼は青田自身が誤って自分を撃ったのだと無実を主張し…
→33年発表。これジャック目線で読むとほんと切ない…

・麻痺性癡呆症患者の犯罪工作:「心神喪失者の行為は罪を問われない」という刑法第三十九条を逆手に取り、精神異常者になって子殺しを行った田沼の手記が見付かった。そこには暗示によって狂人となり養子の逸子を殺す計画が書かれていたが、実際に殺されたのは実子の真平だった。彼は本当に狂人になってしまったのだろうか…
→34年発表。

・驚き盤:失踪した同僚・中原を探す為、飯坂温泉にやって来た鷲見(すみ)。中原は金持ちの男と共にやって来たが、喧嘩をして中原は先に帰ったという。その後、中原は発見されたが酸性の有機質毒による中毒で死んでしまっていた…
→34年発表。

・石は語らず:今では別々の化学会社に務める元同僚の荒谷と杉森に、ポリプロピレン技術導入交渉の為、ミラノに派遣される会社を賭け碁によって決めようと持ちかけた元上司の進藤。碁に勝った荒谷の会社が派遣されたが、仮契約書にサインをする日、杉森の会社の交渉団が現れて…
→76年発表。



処女作の思ひ出/お問合せ/燃えない焔

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星田三平(ほしだ・さんぺい/1913-1963)
愛媛県生まれ。本名・飯尾傳(つとう)。
旧制松山中学在学中の17歳頃に「ヱル・ベチヨオ」の原型となる作品を書く。1930年『新青年』に「せんとらる地球市建設記録」が掲載されデビュー。横浜の友人宅に寄宿して制作に励んだが、半年程して帰郷。地元の新聞社に勤めながら創作を続けたが戦災により焼失。63年死去。

・せんとらる地球市建設記録:函館を出航した船が、犬吠岬の沖で難破してしまい漂流する私・星田と友人の佐山、そして佐山が助けた幼女の「ナン子」。十日後、千葉県に漂着した私達が眼にしたのは、人が死に絶えた町だった…
→30年発表。日本におけるSFの父・海野十三がSF探偵小説を発表するよりも前に出てきたSF探偵小説。漂流している間に人が死に絶え(後に山に殺人犯を探しに行っていた巡査四人と出会う)てしまった日本。何故死んでしまったのか、何が起きたのか…。謎を深めようと配されたであろう人物の回収が出来ていない点は気になるけど、なかなか面白かった。

・探偵殺害事件:M高等学校文科学生の僕と、同級生で『探偵屋』と渾名される涼(すずむ)が乗った夜行列車の一等室で、男が銃殺され容疑者は列車から飛び降りた。外は嵐であるのに、被害者の座っていた側の車窓は上部三分の一ほど開いていた。間もなく、被害者はある事件の調査の為に雇われた探偵だと判り…
→31年発表。

・落下傘嬢(パラシュートガール)殺害事件:日本落下傘研究協会のパラシュートガール・道代は、飛行機から飛び降りたが、開傘索が切断されていた為パラシュートが開かず転落死した。道代と共に飛び降りた将子、道代に振られた中村、二等飛行士の岡田、協会主任のH―氏、そして道代の婚約者・永井。索を切ったと思われる爪切り鋏には「N」と記されていた…
→31年発表。

・ヱル・ベチヨオ:「きみょう屋敷」と呼ばれる邸宅の脇を散歩するのが日課になっている竜さんは、ひょんな事からその家の娘と知り合った。彼女の父親は、ある日を境に別人のようになってしまったという。父親は、命を狙われていると思っているようで、特に七月から九月までが恐怖や警戒が強くなるらしい。『エル・ベチョオ』が恐れの根源のようだが、『エル・ベチョオ』とは何なのか…
→32年発表。

・米国(アメリカ)の戦慄:刑務所に服役中のアル・カポネがシカゴにいるらしい――そんな噂がシカゴの街に拡がった。シカゴ警視庁は、噂の根原をつきとめる為、ある男に電報を送った。翌日、ニューヨークからやって来たのは貴族出の素人探偵フィロ・ヴァンス(と、記録者ヴァン・ダイン)だった…
→33年発表。と、とんでもないオチだ…怒られるタイプのやつやで…

・もだん・しんごう:昨春のボクシング大会でライバルの岡澤に敗れた尾谷は、今年こそと烈しい練習ぶりを見せ、マネージャーもファン達も、今年の大会は彼が優勝するだろうと思っていた。しかし三回戦で当たった岡澤に再び敗れてしまったのだが、それには訳があったのだ…
→33年発表。もだん・しんごうとはジェスチャーゲームの事らしい。

・偽視界:峯川は新進の理学者である。彼は神経組織の研究の為、一人の女を買い取った。峯川は視神経を流れるものに似た電流を頭脳に通じる事で資格中枢を刺激して視覚を起こす――その場にないものを「見ている」と認識させる――実験を、自身と買い取った女に行っていた…
→34年発表。

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米田三星(よねだ・さんせい/1905-2000頃)
奈良県生まれ。本名・庄三郎。
大阪帝国大学医学部在学中の1930年に書いた「生きてゐる皮膚」が31年『新青年』に掲載されデビュー。医学ミステリを発表するが、木々高太郎のデビューによって創作意欲を失う。37年、日中戦争が勃発し召集され、軍医として各地を転戦するが病を得て帰国。48年から内科医として開業。1999年か2000年に死去。

・生きてゐる皮膚:大村博士との間に色々な噂を立てられた女流作家・川口淳子が私の受け持ちの患者になった。彼女の右乳の上から右腋窩まで出来た腫瘍――それは表皮癌だった。その細胞を顕微鏡で見た彼女は「皮膚が生きている…皮膚の呪い…」と言って気を失ってしまった。後日腫瘍を切除する手術に挑んだ彼女だが、体力が持たずに亡くなってしまった。彼女が口走った「皮膚の呪い」とは…
→31年発表。ドイルの恐怖小説とか横溝の短編を思い起こさせる…ところで、この時代の医学を学んだミスおたは皆小酒井不木を読んで「私も書いてみようφ(..)」てノリが良いね、こうやって高学歴な人がミステリ書くことによってミステリの地位向上に貢献したと思うと不木は偉大だ…

・蜘蛛:心友を殺したとして独房に入れられた男。男は被害者の妻に横恋慕し、彼への殺意を日記に認めていたし、殺害現場にいた唯一の人物であった。しかし自分は本当に彼を殺したのだろうか…自問自答する男…
→31年発表。動機も状況も男の犯行である事が明白だけど、そこには姦計が…それにしてもタイトルの蜘蛛とは…?と思っていたらそこでかーーー!!

・告げ口心臓:A君の父が、僕がカルシウム注射を打った直後に突然死んでしまった。その死について、僕は恐ろしい事実を知っている。十九年前、皮膚科専門の病院で働いていたある看護婦の運命について語らねばならぬ…
→31年発表。このタイトル、ポーの作品だと思ってた、というかポーにも「告げ口心臓」て作品あるよね…?『ポー 最後の五日間』でモチーフにした事件があった記憶。

・血劇:血液型研究をしている村主君の元へ訪れた男は、妻の不貞を疑い、妻と二人の息子の血液鑑定を依頼してきた…
→32年発表。ショートショート。



児を産む死人/森下雨村さんと私
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