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・P丘の殺人事件:坂口がロンドンに住む伯父の元にやってきて三ヶ月が経った。旅行に行くと書置きを残し姿を消した伯父は、後日公園で射殺された男の近くでまごついていた為逮捕されてしまった。
覚えてなかったけど、青空文庫で既読。解説によると、タイトルに「殺人事件」と付く早い例の作品らしい。

・最後の日:アヘン中毒になり、警察に追われる男が自殺前最後に書いた罪の告白文。

・眼鏡の男:私の元に警部補の叔父が訪ねてきて、絵の鑑定をして欲しいと言う。前夜殺人があった家にある絵画らしいが、話を聞くうちに、被害者が私の知人で、しかも私の訪問後に殺害されたらしく…
完全な密室状態だったと言いながら、次の章では電車移動中に窓ガラスが割られていたと聞かされている事になっている矛盾。ドウやら当時は「密室殺人」が一般的ではかったらしい。確かに、日本家屋において密室殺人を扱ったのは横溝の『本陣殺人事件』や高木彬光『刺青殺人事件』が最初期だったような…そう考えると1923年に発表された作品だし、仕方ないのか…
※昔は家に鍵をかけるという習慣があんまりなかったし(出掛ける時も近所に声かける位で戸締りは大体しない)、木と紙(襖や障子ね)で出来た日本家屋でドウ密室にするんだよって話で、当時の探偵作家で密室書きたい人は西洋建築を舞台にしていたのであった。

・緑衣の女:同棲していた女に通帳を持ち出され捨てられ金に困ったた画家は、以前絵を買ってくれたA老人にまた絵を買ってくれるよう頼みに行くが、生憎旅行中という事だった。失望してあてもなく彷徨っていると、彼を捨てた女を見付け…

・焼跡の死体:湘南K町に住み東京や横浜に通う者達の有志の社交クラブ・K会の例会に誘われた私は、久し振りで佐伯に会えるのを楽しみにしていた。しかし佐伯は姿を見せなかった。その日の遅く、K会の広田という男の事務所が火事になり、焼跡から焼死体が発見された。
いわゆるれいのあれです、おたくはすぐわかるやつ。

・ガラスの橋:酒場で人を殺し追われる夢をみた男。彼のみた夢は大体現実となるので酒場には近寄らないように過ごすが、ある日暑さでぼんやりしている間に当時世間を震撼させていた殺人鬼と間違われてしまい、警察の手から逃げる事になってしまう。
切り裂きジャックのような殺人鬼が登場。この殺人鬼は創作っぽい。実話を交えているので本当にあった事件からインスピレーションを受けて書いたみたいにも読める。

・タバコ:私が使いに出ている間に出納係の早川が死んでいた。一見自殺のようだが、私が出る前に主人から早川が預かった三千円が紛失していた事から殺人と断定される。駆けつけた巡査の仕事ぶりに感動した私は、その後警察官となったのである。
これ結構面白いと思った。

・ゆびわ:ロサンゼルスの中華料理店の奥部屋でコカインを大量に摂取した為死んだ夫人の指輪が無くなっていた。夫人と付き合っていたカナダ人、指輪の紛失に気付いた二人の男はそれぞれ出航し横浜へ向かった為、三人の内誰かが指輪を盗みあとの二人が追跡していると噂になった。
東京の不良青年が事件に巻き込まれてゆくパタン。

・日陰の街:ついに生活費が底をついた飯田は、友人の画家とニート生活の最後に外食へ行く。そこで見かけた美女をめぐる事件に巻き込まれてゆく飯田…
誰も救われない悪人一人勝ちのパタン。飯田の周辺に現れる乞食は飯田の被害妄想かと思ったら違ってた(主人公の精神がグラグラなパタンが多いのでこいつもそうゆうタイプかと…しかし事件に巻き込まれやすさは他の作品の主人公と大差ない)

・毒死:孤児の私は15の時に旦那に引き取られた。家業が傾くと、旦那は外で酒を飲むようになり芸者を囲うようになった。その旦那が猫いらず入りのお萩を食べて死んでしまったのだが、三つあった毒入りお萩の一つは庭に落ちていたのを私が溝へ掃き捨てたのだが、台所に残っていたお萩は二つ…旦那は毒殺されたのだ…!
旦那の死は事故として片付けられているが、これって(以下ネタバレ反転)毒入りお萩が鼠に持ってかれたと言ったのも、旦那に薬を与える役目の「私」を使いにやったのもおかみさんだので、やはり犯人はおかみさんって事だよね。旦那の死を本気で悲しんでるように「私」が感じたのも「取り返しの付かない事をしてしまった」という後悔からくるものだったと考えられるし。(反転終わり)

・指輪:ブラックリストに載る不良の羽振りが急に良くなった事を不審に思った刑事は、不良に大金を渡した実業家に話を聞くが、正当な仕事の報酬として与えたと言われる。納得のいかない刑事は捜査を続け…

・蝙蝠傘:八百屋の娘が行方不明になり、翌朝死体で発見された。
現場の見取り図が挿入されているんだけど、当時としては珍しい事で、日本の創作に見取り図を挿入した最初期の一遍と考えられるらしい。

・不思議な盗難:姪の結婚祝いに銀行から二千円を引き出し、宝石店でプラチナの台座に真珠をあしらった首飾りを購入した博士。だが、自室へ戻って窓の外を5分程眺めている間に首飾りは紛失していた…
不可能犯罪か!と思わせといて、HI DO I O CHI^^

以下は元探偵のマーシャル氏と懇意になった私が毎週土曜に氏の探偵譚を聞いて書き留めたものである。故にサブタイが<土曜物語>。
正直、どれもさほど面白いとは感じなかった。
・ワット事件 <土曜物語その一>:マーシャル氏、ワット氏に犯罪の片棒を担がされかけるの巻。金の力で買収出来んと判ると命を狙われたりワット氏に買収された人から罠に嵌められかけたりマスコミにデマ書かれたり大変だったよーという話。

・少年の死 <土曜物語その二>:モルヒネ中毒の少年の行方を捜すマーシャル氏。他人の空似さんを目的の少年と早合点するってゆうのをはさんでくるのがなんとも言えぬドタバタ感。

・毒筆 <土曜物語その三>:メイドに送られてくる誹謗中傷の手紙に心を痛め、マーシャル氏に犯人探しを依頼する老婦人だが…


まつもと・たい(1887-1939)
東京都生まれ。本名は泰三。
慶応義塾文学科在学中に「樹陰」でデビュー。卒業後イギリスに三年間留学、半年後再び渡英し、伊藤恵子と結婚。
帰国後、1921年に探偵小説のデビュー作「濃霧」を大阪毎日新聞の夕刊に発表。
親類の勧めで、奎運社を興して『秘密探偵雑誌』(のち『探偵文藝』と改題)を発刊し、探偵小説の創作や翻訳に活躍。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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