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高木彬光は神津恭介シリーズ(予言とかの三部作?や入手困難なのは未読)と『黒白の囮』しか読んでないけど、この短編集は会社の金横領ネタが多く、社会派ブーム真っ只中の作品が多いのかな、と思います。よく知らんけど。

・創作・読物篇
黒魔王(こくまおう):新聞記者の恋人が恐れていた「黒魔王」。行方不明になった彼を探す慶子が出会ったのは、探偵として名高い大前田栄策であった。
大前田栄策って聞いた事あるよーな…と思ってたら『狐の密室』で神津恭介と共演しとったって…神津シリーズ集中して読んでたの10年前だからな…忘れてる。



鉄道怪死事件:下山総裁事件をベースとした創作。犯罪請負人の話。

三十億金貨を引揚げる美女:復員した男の前に現れた、かつての恋人に似た女。彼女は恋人の双子の妹で、先祖が成し遂げられなかった黄金を積んだ沈没船を引き揚げる事に執念を燃やしていた…

戦後派殺人事件:罪と罰的な。心理試験的な。

黒い白鳥:占いを信じない女の前に現れた霊能者。霊能者は彼女の過去を悉く言い当て、近い将来殺人を犯すと予言する…
オチが悲しい。失って判る、おもい。

時は裁く:時計マニアの叔父を殺害する決心をした甥。犯行時刻を偽装して完璧なアリバイを作ったが…

吹雪の宿:雪山!クローズド・サークル!殺人!コテコテのお題ですね。

自殺恐怖症:「あなたと高校時代に付き合っていた彼氏は自殺、二番目は事故死、三番目は自殺…」伊沢真佐子の前に現れた謎の女は、そう言って彼女を脅迫するのだった…

殺人の挽歌:会社の金を横領し、自殺した恋人…彼の無実を信じる彼女は、元上司に「事件の真相を教える」と呼び出されたが、そこには殺害された元上司が…

死とのお見合い:美人だが、高慢だとか鼻持ちならないだとか言われ、周りから疎まれている山本良子。同じ名前の山本芳子は愛想が良く、皆から好かれていた。ある日、「山本ヨシ子」宛にラブレターが届くが、どちらのヨシコ宛なのか判断出来ず、二人で待ち合わせ場所へ行く事になり…

闇の声:恋人とホームビデオ鑑賞中に強盗が現れ、姉から預かっているものを渡せと脅された妹。犯人はそのまま逃走したが、胸騒ぎがして姉の住むマンションへ行くとそこには姉の結婚相手候補の三人がいた。三人は手紙で姉に呼び出されたというが、姉は寝室で殺されていた…

狂った拳銃:飲み会の余興で西部劇を演じている最中に一人が射殺された。モデルガンが本物の拳銃にすり替えられていたのだ…

女の復讐:執念!こわいよ。

小栗上野介の秘密:徳川埋蔵金話そのいち。小栗の懐刀・林鶴漲の子孫に頼まれて埋蔵金の在処を探る事を頼まれた霊媒師の「神がかり」の席での話。

風戸峠の秘宝:徳川埋蔵金話そのに。小栗上野介の埋蔵金の為に破滅した男の話。オチは読めたけど、奥さんの心理にはしてやられました。そうきたか。

※徳川埋蔵金ネタが続くので、当時埋蔵金ブームだったんかなァって呟いたら、埋蔵金ブームがくる20年程前の作品だと教えて頂きました(有難うございます)。高木彬光時代先取りやん。



首斬り弁護士:戦争中、警察の取り調べで病死した男性は拷問によって死んだのではないかと疑い、墓を暴いて頭部を持ち出した弁護士の実話らしい。当時の法医学の権威・古畑種基の名前も出てる(古畑博士としか出てないけど)。
結局当時の刑事は無罪判決が出て、それでも何度も控訴して不正を正そうとした弁護士の戦い。
こうゆう事が何度も何年も何十年もあって、今、漸く行き過ぎた取り調べに対して厳しくなったんだと思うと忘れてはいけない・知らなければいけない歴史だと思う。

戦艦山城の亡霊:戦艦山城の幽霊船目撃談。これ、日本人が見てるんじゃなくて山城の船員達に対して敬意を払っている外国人老船長が見たってゆう設定が効いてるとオモウ。


・評論・随筆篇

推理小説私見―大坪砂男氏にこたへて/第二の回答/推理小説とは何ぞや/トリック創造の秘密/わが道を往く/殺人動機について―白痴的犯罪―/評の評/探偵小説とは何か/推理小説の将来/推理小説私観



集団、計画的犯罪

最後の「集団、計画的犯罪」は、下山総裁事件に対する高木彬光の犯人(犯行)推理です。当時の人々の関心の高さが伺えますってゆうかほんとコレなんだったの政府の陰謀だったん??司法解剖結果の東大VS京大も、なんかカムフラージュに見えてくる。

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たかぎ・あきみつ(1920-1995)
青森県青森市生まれ。本名は誠一。
四代続いた医者の家系。非嫡出子として生まれ、一高入学の年に父親が亡くなると家は破産して一家離散、親族からの援助で学業を続けた。
占い師の勧めで『刺青殺人事件』を執筆、江戸川乱歩に認められ1948年デビュー。
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エグチマサヤ
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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