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※読み終わって感想メモ書いたのが随分前なので、ちょっと前の時事ネタ入ってます。

平林初之輔は、当時の探偵小説の作品傾向に「健全派」「不健全派」という名称を付けた人物。
のちに甲賀三郎によって「本格派」「変格派」と名称を改められるが、「不健全派」の筆頭に挙げられた乱歩はこの名称に不満を持ち(名称から如何わしいイメージが先行する事を嫌ったらしい)、同じく「不健全派」に仕分けられていた不木に慰めの手紙を送られている。不木的には、乱歩が一念発起して良い小説を数多く書いてくれれば「不健全派」というネガティブなイメージを払拭出来ると考えていたようである。
マァ、時代は流れて「不健全派」と呼ばれた作家たちは「本格派」に分類され、対抗枠として「社会派」が現れる訳だがら、乱歩はそんなに臍を曲げなくても良かったんじゃないかな。

予審調書
平林の探偵小説デビュー作。青空文庫にて既読。
容疑者の父親と検事の会話。父親、めっちゃ追い詰められます、サードディティクティヴだっけ?第三の尋問。
こんな事が実際行われたらおおいに問題視される内容ですな。

頭と足
青空文庫にて既読。
ショートコント。新聞社に勤めるライバル二人。スクープを夕刊に間に合わせられるのか…?
タイトルで「おお、頭部切断!序でに足も切断!」だと思った私はミステリおたくです、猟奇寄りの。

犠牲者
青空文庫にて既読。
初読みの時は容疑者(冤罪である)カワイソウと思ったけど、読み返すと容疑者の愚かさに呆れてしまった。詰まらぬ見栄からすぐバレるような嘘をつき、自分で自分の首を絞めている。
更に言えば、事故を事件と見誤り、ドウにかして犯人をでっち上げねばならなくなった警察も馬鹿。
マスコミも彼が犯人だと大々的に発表しちゃったし、夫の無罪を信じられなくてショックで流産してしまう妻もドウしようもなく救えない。
弁護士も事故っぽいと感じるけど、証拠がないし、容疑者の嘘の所為で陪審員の心象も悪く勝ち目がないので諦めちゃってる。
どうしようもない話だけど、こうやって冤罪が作られてゆくのね。

秘密
青空文庫にて既読。
私を捨てて海外へ行ってしまった恋人。彼女との約束を破って結婚した私。
私を捨てた彼女から「もう一度会いたい」という手紙を受け取り、妻には内緒で彼女に会いにいくが…
夫婦間に秘密は禁物、という話。

山吹町の殺人
青空文庫にて既読。
これも冤罪ネタ。こっちは真犯人が判って釈放されるけど、なんか全然良かったね感がない。

祭の夜
これは初読み。
祭の夜、金貸しの家に強盗が入った。たまたま近くを警戒していた刑事達によって事件は早々に発覚。
その前後に金貸しの娘と逢引していた肘から先の右手がない職人風の男に嫌疑がかかるが、現場からは両手分の指紋が検出された…

誰が何故(なにゆえ)彼を殺したか
青空文庫にて既読。
新聞にて嫁を募集し、やってきた女性を虐待しては捨てていた男が殺された。
犯人は判らぬまま、事件は迷宮入りしようとしていた矢先、私は真相に気付いてしまった。

人造人間
青空文庫にて既読。1928年版人工授精の話。
先日、理研の人が自殺したけど、疑惑のある人物が自殺って卑怯な逃げだと思う訳です。STAP細胞の真偽はドウでも良いけど、その真相を世間に発表する責任を他者に押し付けて、自分は追及の手から永遠に、確実に逃亡しきる方法だと思うのですよ自殺って。
この話の博士もそう。妻子ある身でありながら、助手と浮気する(しかもこの助手はフィアンセがいる)。
愛人を切り捨てて妻子をとる事も、妻子と名声を捨てて愛人と逃げる事もせず、愛人が生んだ自分の子どもを試験管で作り出したと学会で発表してその場を凌ぎ、自殺してしまうのだ。
愛人である助手は、恐らく婚約破棄されるだろうし、世間からはフィアンセがいるにも関わらず既婚者と子を成した浮気な女だと白い目で見られ、生後間もない子どもと路頭に迷うだろう。
妻は「学者の妻」というステータスを剥奪され、単なる詐欺師の(しかも浮気された)妻と蔑まれながら子ども達を育てなければならないだろう。
一番の被害者は子どもだな。

動物園の一夜
青空文庫にて既読。
無職で無一文の男の、一夜限りの冒険。

探偵戯曲 仮面の男
青空文庫にて既読。
金持ちばかりを狙う、おかめの面を付けた強盗になりすまし、自分が主催する宴会で世間を驚かせて有名になろうと目論んだ成金夫婦。
しかし本物が現れて宝石類を盗まれてしまう。その場に居合わせた刑事が来場者の身体検査をするが、盗品は見付からず…

私はかうして死んだ!
青空文庫にて既読。
こうゆうネタ好きなんだよねー。しかし、世間的には死んだ事になっているのに生きていくって、現在だったら無理だよね、ゆるい時代だからこそ出来そうな事だよね。

オパール色の手紙
青空文庫にて既読。
夫の浮気相手からきた手紙を読んでしまったヒロイン。気付いていないフリをして夫の様子を監視するが、浮気相手からの手紙の内容はどんどんエスカレートしていって…

華やかな罪過
青空文庫にて既読。
彼の死の責任は私にあるのか。

或る探訪記者の話
青空文庫にて既読。
「華やかな罪過」とテーマは似ているけれど、こちらの主人公には罪の意識がない(というか職業柄そんな事でいちいち嘆いていられない)。
これも現在、実際に起きたら叩かれるネタやね。

ひらばやし・はつのすけ(1892-1931)
京都府生まれ。早稲田大学卒。
フランス文学やヴァン・ダインなどの作品を翻訳して日本に紹介した。
フランス留学中に出血性膵臓炎の為パリにて客死。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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