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明治45年に新城で生まれた大阪圭吉。昭和20年7月2日、33歳でルソン島にて戦病死したとされとるそうです。つまり今日が命日。
巻末に作品リストが載ってるんだけど、昭和7年にデパートの絞刑吏でデビューして10年位の作家人人生のうちに結構な量の作品を残している事に驚きました。ほぼ短編ですけど。
ああ、大阪圭吉も資料館的なのないかなあ、あれば行ってみたいなぁ。

・三狂人
三代続いた赤沢脳病院には現在中年の男性患者が三人いた。
右足の爪先で絶えず羽目板を叩き続ける「トントン」、女物の着物を着て昔の流行歌を歌う髭面の「歌姫」、怪我をしている訳でもないのに頭から顔中に包帯を巻いている「怪我人」。それが彼らの呼び名であった。
ある日の早朝、裏木戸が開けられているのを看護人が発見する。三人の患者の姿はなく、脱走したとしか思われない。急いで院長に知らせに走るが院長の姿も見当たらなかった。
裏木戸のあたりをを良く見ると、ビール瓶の破片のようなものが散らかっており、何かを引きずった跡があった。跡を辿ると、顔中をガラス片で滅茶苦茶に切り付けられ、頭を割られて脳味噌を抜き取られた院長の惨殺死体があった。
連続短編第1話で、探偵役は精神病院院長の松永博士。
圭吉作品の傑作の一つに数えられているだけあって面白い。因みに脳味噌を取り出したのは、院長から「お前らみんな脳味噌を取り替えちまえ!」とたびたび怒鳴られていたから。
可哀相なのは被害者たちです…

・銀座幽霊
ジャズバー「青蘭」の女中と客が、向かいの煙草屋の女将が血まみれの剃刀を振り回しているのを目撃。
現場に駆けつけると、剃刀で首を切られたバイトの女が女将の名前を告げて息を引き取った。
警察の捜査によって、煙草屋から出入りした人間はいない事、犯人と目された女将が犯行現場の押入れから死体で見つかった事、しかも女将の方が40分程早く死んでいた事が判明した。
連続短編第4話。

・寒の夜晴れ(かんのよばれ)
クリスマス・イブの夜、同僚の妻と妻の甥が惨殺され、子どもが誘拐された。残されたスキーの跡を辿ると、途中で跡は消えてしまっていた。まるで空へ上っていったかのように…
連続短編第6話(最終話)。これはとても哀しい話。

・灯台鬼
「灯台」と聞くとツイ中国の故事を思い出してしまう…都市伝説にもなってるあれです、マァ、あれは灯台じゃなくて燭台?
気味の悪い呻き声を聞いた灯台守がランプ室へ飛び込むと、四、五十貫もありそうな大石が機械を壊し、当直の看守の腹に食い込むようにあった。
更に、真っ赤な茹蛸のようなグニャグニャの幽霊まで目撃し…
哀しいオチの、東屋三郎もの。

・動かぬ鯨郡
捕鯨船の砲手を勤めていた夫は、他の船員達と共に、船もろとも沈没してしまった。
幼い子どもを育てる為、港の酒場で働く妻。一年後、彼女の前に死んだ筈の夫が現れ、一緒に逃げようと言い出した。
訳も判らぬまま、子どもと身の回りのものを持って夫の元へ駆けつけたが、夫は捕鯨用の手銛で殺されていた…
連続短編第5話で東屋三郎もの。

・花束の虫
大月弁護士の秘書・秋田登場。しかしこの一遍のみの登場である。

・闖入者
青空文庫と幻影城で読んだので、これで三度目の読み。
写実派の画家が死の直前まで描いていたのは富士山の絵だった。しかしその部屋の窓から見えるのは箱根山で…
大月対次弁護士もの。

・白妖
連続短編第2話で大月対次弁護士もの。
挟み撃ちにした車が消失するトリック(?)は良く判らんが、殺人の犯人は直ぐに判るよ。解答もろ出しなので…
最後の二行で涙目なった。

・大百貨注文者
初読み短編!
鉄砲屋はピストル三挺、荒物屋は縄を七十m、靴屋は靴を半ダース、マネキン・ガールは二週間の契約を、大月弁護士にはある一件の依頼、料亭には五十人前の特別料理、更にポマード四百個を電話注文されゴム会社社長宅へ集まった七人。
ところが社長はそんな電話していないと皆追い返してしまった。
腑に落ちない七人は夕方憂さ晴らしの会を開く事にして一旦解散。夕刻、集まりが悪いので大月弁護士が催促の電話をかける為電話帳を繰っていると、ある事に気が付いて…
大月対次弁護士もの。最後は大団円なんだけど、人ひとり死んでいるのにこの終わり方は死人に対してちょっと酷いんじゃない??

・人間灯台
嵐の夜、灯台にいた筈の息子が消えてしまった。五日後、その息子が見つかった意外な場所とは…
ポーの「早すぎた埋葬」並にツライ…想像しちゃ駄目エエ

・幽霊妻
離縁された妻が後に自殺。その後元夫が何者かに殺害された。その手には日本髪に使う香油の香りがする髪の毛が数本握られていた…
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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