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・創作篇
妖影/消えた霊媒女(ミヂアム)/情鬼/蛇性の執念/鉄の処女/機密の魅惑/耳香水/むかでの跫音/黒猫十三(とみ)/鳩つかひ/梟の眼/青い風呂敷包/美人鷹匠/深夜の客/鷲娘/魂の喘ぎ/和製椿姫/あの顔/魔性の女/恐怖の幻兵団員
「妖影」から「耳香水」までは、本人を髣髴とさせるS外交官夫人が探偵役の連作。助手の「私」がS夫人に聞いたり関わったりした事件を記したというホームズ-ワトスン形式。
だが正直探偵が推理を働かして犯人を追い詰める、というテイストではない。
偶ッ々、不審な行動を起こした人物を目撃したり、相手が勝手にS夫人が全てを知っていると勘違いして白状する、という偶然性に頼ったもの。
そのうえ、事件が解決しても関係者が自殺したり、なんだがもやもやするオチばかり…
犯行動機も男女間の感情の縺れか金かってとこでちょっとありきたり感も。
地位ある立場の人たちの、家や名前を汚してはいけないという強い感情が働いていて、当時の由緒ある家柄(あるいは職業)に対する誇りというか、人命より家が大事という風習が感じられます。
騒ぎを起こして醜聞で家名を汚す位なら、目の前で毒を呑んだ妻を見殺しにせざるを得ないなんて、今の時代じゃ考えられないよ。
ノン・シリーズものも、不幸な結婚をした妻が更に不幸になるパタンが多い。
「恐怖の~」は割と大団円だけど、うーん、そんな事件の締め方で皆納得するのかな?マァ夫が見つかった妻は喜んでたけど、元はといえばこの妻が軽率だった事が事件の発端の一因であるのだけど…
ちょっと納得いかないオチばかりかなァ…そーゆう時代背景なのかもしらんけど。

・随筆篇
心霊の抱く金塊/素晴しい記念品/蘭郁二郎氏の処女作―「夢鬼」を読みて―/今年の抱負/最初の印象/アンケート
「心霊~」は随筆だったんやね、創作かと思ってたわ。
「今年の抱負」にあるように、大倉さんは生活の為に発表済みの作品をリメイクして何パタンも新作書いてたようです、「一族の中の突然変異的性格の人物」とか「子殺し」とか、何度も繰り返されるモチーフがあります。
乱歩と不木の往復書簡を読んだわたくしとしては、「最初の印象」が印象的でした。
これは大倉さんと乱歩の話で、色んなこわい噂のあった乱歩に本の推薦文書いてもらう為かなんかでびくびくしながら会いに行った話や、戦後お金がないから全集を出版してもらえるように口利きして下さいと頼みに行った話とか、乱歩が実はとても面倒見の良い親切な人ですよってエッセイ。
なんかねー、これ読んでたら乱歩が不木にしてもらった事を後進にもしている感じがしたの、不木に恩返しするつもりで後輩の育成に助力しとったんかなーって…
うっ、うっ、ふぼくうう…(不木の晩年を思うと切なくなる病気)

おおくら・てるこ(1886-1960)
東京生まれ。別名・岩田由美、岩田百合子、丘ミドリ
父は国学者の物集(もずめ)高見。
現・お茶の水女子大学へ入学するも、父の反対で中退。その後中村吉蔵に師事。更に二葉亭四迷、夏目漱石に師事。
1909年「兄」でデビュー。その後外交官との結婚を機に筆を絶つ。離婚後、1934年に「妖影」で女流探偵小説家として再デビューを果たす。
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エグチマサヤ
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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