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やっと文字打ち終えた…

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人体描く勉強用に借りた人体解剖図、結局読み物としてがっつり読みました。
ダ・ヴィンチの人体解剖スケッチも一部掲載されていたけど、あの人ほんとに凄い人だなァ。
防腐設備や処置とかが整っていなかった時代。人体が腐敗する前にスケッチせねばならぬという事で、それまでの主流だった「生者のような描写」「情緒溢れる背景」などの余分な線を抑え、芸術家的センスを排除し科学者として描かれた線の美しさ。ほんと凄いです。
当時は死体なんてごろごろしてたから、スケッチ中に腐ってきたら代わりの死体を墓場から調達してきたらしいです。
で、ダ・ヴィンチが描いたスケッチは何世紀も日の目を見る事無く、長い間無意味な装飾の施された人体解剖図が蔓延しておった、と。
そもそも、解剖図は医学を学ぶ者の為であり、芸術家を志す者の必携書でもあった。
のだが、一部の人達にとっては、医学書でもなく芸術書でもなく、春画として扱われるようになった。
だので女性の解剖図は無意味に扇情的なポーズをとっている。腹が割かれて内臓はみ出していても、エロ妄想の邪魔にはならなかったらしい。逞しいな、昔の人。
そんな背景もあって、出産による死亡率を低くする為に出版された産科医の為の解剖図もエロ本扱いされて、版刻を担当した画家は相当な腕を持っていたのに「エロ画家」としてしか認知されなかったとか、解剖学の歴史ってなかなか面白いのだなぁ。

以下に本書で取り扱われている解剖図メモ。

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『ファブリカ』1543年 アンドレアス・ヴェサリウス(1514~1564)/ヤン・ステファン・ファン・カルカール(?~1568)他

『人体解剖図』1545年 シャルル・エティエンヌ(1504頃~1564頃)/下絵:エティエンヌ・ド・ラ・リヴェール(?~1569) 版刻:ジャン・ジョラ(1531~1545に活躍)

『人体解剖学』1556年 著:ファン・ワルエルダ・デ・アムスコ(1525頃~1588頃)/下絵:ガスパル・べセラ(1520?~1568?) 版刻:ニコラ・ベアトリーツェ(1507?~1570?)
※42枚の図版のうち、38枚を『ファブリカ』から無断流用

『エウスタキオの「解剖図録」』1714年 著:バルトロメオ・エウスタキオ(?~1574)/下絵:ピエトロ・マッテオ・ピーニ(1540頃~?) 版刻:ジュリオ・デ・ムジ(1535~1553頃に活躍)
※38枚の図版は出版される事無く、死後130年以上バチカン図書館に眠り、ローマ教皇の侍医ジョヴァンニ・マリラ・ランチージによって発見、刊行された

『人体構造図集』1627年『胎児の形態について』1626年 著:ジュリオ・チェーザレ・カッセーリ(1552頃~1616)、アドリアン・ファン・デン・スピーゲル(1578~1625)/下絵:オドアルド・フィアレッティ(1573~1637) 版刻:フランチェスコ・ヴァレージオ(1560頃~?)
※『人体構造図集』はダニエル・リンドフライシュ、『胎児の形態について』はリベラリス・クレーマによって引き継がれ刊行された

『人体解剖学』1685年 著:ホヴェルト・ビドロー(1649~1713)※神経の形態を正しく解明/下絵:ヘラルト・デ・ライレッセ(1640~1711)※レンブラントの弟子 版刻:アブラハム・ブローテリング(1640~1690)、ペーテル・ファン・ヒュンスト(1659?~1724?)

『人体の解剖学』1698年 著:ウィリアム・クーパー(1666~1709)※高等哺乳動物の毛細血管を発見、大動脈弁の機能・心臓病の特徴的症状と身体への影響を初めて突き止めた
※ビドローの『人体解剖学』の図版約300点を流用

『解剖標本集』1701-1716年 著:フレデリック・ロイス(1638~1731)※ビドローの弟子。ヤン・スワンメルダム考案の防腐剤を完成させた/版刻:コルネリス・ホイベルトス
※ロイスの製作した解剖標本のオブジェの図集

『骨学図譜』1733年 著:ウィリアム・チェセルデン(1688~1752)※近代的外科手術の先駆者/版刻:ヘラルト・ファン・デル・ヒュヒト(1696~1776)、スヒネフート(?~1733以前に没)
※立体物を平面に投影する装置を使用した図版。人骨の部分図は実物大

『人体筋骨構造図譜』1742年 著:ベルンハルト・ジークフリート・アルビヌス(1697~1770)※ビドローの教え子/画:ヤン・ヴァンデラー(1690~1759)
※対象物と観察者の間にグリッドを置き、プロポーションを正確に、直接銅版に刻ませた図版を使用

『人体臓器解剖図集』1752年 著:ジャック・ファビアン・ゴーティエ・ダゴティ(1717~1785)/協力:ジャック・フランソワ・マリー・ドゥヴェルネ(1661~1748)、アントワーヌ・メルトール(?~1767)
※カラー刷りの銅版画集として最古の部類に入るもの

『分娩図解』1754年 著:ウィリアム・スメリー(1697~1763)※逆子の分娩法を考案/下絵:ヤン・ファン・リムダイク(1750~1788頃に活躍)、ピーター・カンペル(1722~1789)、スメリー(不詳) 版刻:チャールズ・グリニョン

『妊娠子宮解剖図』1774年 著:ウィリアム・ハンター(1718~1783)※男性医師として初めてイギリス王妃の出産に立ち会う/協力:ヤン・ファン・リムダイク 他

『写生に基づく骨学筋学の新図集』1779年 著:ジャック・ガムラン(1738~1803)※画家・下絵作家・彫版師。戦争画で高い評価を受ける/版刻:ラヴァレ(1779頃に活躍)

『筋骨、関節の解剖図解』1794年
『外科学基礎』1801-1808年 著:ジョン・ベル(1763~11820)/下絵:ジョン・ベル、チャールズ・ベル(1774~1842)他 版刻:ジョン・ベル他

『人体主要器官の病理解剖学』1799(-1803)年 著:マシュー・ベイリー(1761~1823)※ウィリアム・ハンターの甥で教え子。胃潰瘍についての画期的な臨床記録で知られる/下絵:ウィリアム・クリフト(1775~1849) 版刻:ウィリアム・スケルトン、ジェームズ・ヴァーシア、ジェームズ・ヒース
※病理学に関する初めての英語論文に、10年を掛けて73枚の図版を製作して刊行

『皮膚の疾患について』1808年 著:ロバート・ウィラン(1757~1812)
※臨床に基づき皮膚病を分類

『病理解剖学』1829-1835年 著:ジャン・クリュヴェイエ(1791~1874)※多発性硬化症・進行性筋萎縮症の臨床記録で有名/リトグラフ:アントワーヌ・トゥーサン・ド・シャザル(1793~1854)
※多発性硬化、聴覚神経細胞、頭蓋内類上皮腫、頭蓋内および脊髄髄膜腫などを初めて図解したもの

『病理解剖学図集』1838年 著:ロバート・カースウェル(1793~1857)
※著者自らが2000点以上の罹患組織の水彩画を描き、それを元に刊行

『リトグラフによる人体解剖図』1825年 著:ジュール・クロケ(1790~1883)※ヘルニアを研究

『人体器官学概論』1829年 著:ジャン=バティスト・サルランディエール(1787~1838)※痛風・ヘルニアの治療に関する論文を発表/下絵:ルイ・クルタン(1809~1841頃に活躍) リトグラフ:クルタン、ドゥラポルト
※32頁の小冊子で一般向けに発刊

『人体解剖図大全』1831-1854年 著:ジャン=バティスト・マルク・ブルジェリ(1797~1849)/下絵:ニコラ=アンリ・ジャコブ(1782~1871)

『人体臓器大全集』1840年 著:ジョーンズ・クエイン(1796~1865)、エラスムス・ウィルソン(1809~1884)/下絵:J・ウォルシュ、ウィリアム・フェアランド、J・W・ジャイルズ、ジョージ・チャイルズ リトグラフ:クルタン、ドゥラポルト

『外科解剖学』1851年 著:ジョゼフ・マクリース(1815頃~1880頃)/下絵:ジョセフ・マクリース、ダニエル・マクリース(1806~1870)※ジョゼフの兄で、イギリス有数のロマン派の画家
※外科医向け

『等身大彩色解剖図集』1867年 著:ジョージ・ヴァイナー・エリス(1812~1900)/下絵:ジョージ・ヘンリー・フォード(1809~1876)

『グレイの解剖学』1858年 著:ヘンリー・グレイ(1827~1861)/下絵:ヘンリー・ヴァンダイク・カーター(1831~1897)※ヴィクトリア女王の名誉内科医
※外科学を学ぶ学生向けで、高い評価を受けた

『局所解剖図譜』1867-1872年
『補遣:妊娠後期の子宮と胎児』1872年 著:クリスティアン・ヴィルヘルム・ブラウネ(1831~1892)/画家:シュミーデル
※死体を冷凍し切断、その断面を写しとったもの
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