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昨日というか今日というか、1時までかかってやっと読み終えました。
長かっただ…
読み終わる気配がなかったから虚無までの短中編の感想を先に書いておこうと思ったんだけど結局書いたんだっけ…記憶すら…
忘れつつあるけど書いとく

・あら(鹿3つの漢字)皮
海外の話。木菟党がドウコウってあったのでウィキったら木菟党はなかったけど、この話に出てくる小説家は実在の人物である事が判明。
死んだと聞かせれていた兄が突然現れ、自分を捨てた父親に復讐をしてやると告げる。それを阻止しようとすると父親は死ぬとかなんとかで、確か小説家として成功しちゃうと父親が死に、小説を書かなかったら一生小説家として成功しないとか言われるんだったかな…
結局、小説家は小説を発表し作家として成功するが、父親は馬車に轢かれて死んでしまう。
父親の秘密とか、そうゆうのは一切判らず。もやもやする。

・黒鳥譚
これは舞台用に書かれているかんじ。地の文があって台詞がある。
登場人物は黒鳥と復員兵の兄、ニートな弟。
戦犯として追われる兄(実は無実なのだが)。その兄の身代わりになって自殺し兄を救おうと死に場所を求めて彷徨う弟。「一番最初の『恥』の記憶を教えろ」と言う黒鳥。
弟が黒鳥と入れ替わって動物園の池で待ってたり、兄はお前の正体はタスマニアン・デビルだと黒鳥を糾弾したり。
二人とも黒鳥に会いに行ってんのに決して鉢合わせになる事はない。
何故なら、彼らに兄弟はいないから。弟だと信じていた存在は、鏡に映った自分自身だったから。
嘘だと言いながら舞台から消える兄。
あなたはこれからどうするのと尋ねる黒鳥。
僕は少し、考えたい事がある(一番最初の「恥」の記憶についてだったかな…)とか言って独りその場に残る弟。
暗転。

・青髯公の城
赤緑色盲の女性が主役。遺伝するのを恐れて子どもを作る事に消極的、夫は色盲に関して全く気にしていないので、子どもを授かろうとしない妻に不信感を抱き始めている。
避暑に訪れた別荘の隣人は浮気症のマダム。主人公に男遊びを覚えさせようとする。
主人公はマダムと一度だけ関係を持った高校生に魅かれてゆくが、彼女が色盲だという事を伝えなかった為に破局。
おんなってこえええ、という話だよね。

・虚無への供物
登場人物ひとりひとりの思惑が交錯し、誤解と勘違いに気付かぬまま進行していく悲劇。
両親を一度に、しかも「無意味な死」によって失った蒼司、紅司、藍司。
彼らは両親の死が「無意味」ではないと思い込む為に、それぞれ現実逃避の為のワンダランドを作り出す。
紅司は自分がゲイでマゾヒストであると思い込む事で母を失った自責の念から逃れようとしたし、藍司は東大受験を捨ててゲイバアに入り浸る事で忘れようとした。
独り、蒼司だけはワンダランドの入口すら見付けられず死んだように生きていた。
彼の自殺を食い止める為に牟礼田はアベルとカインの話を持ち出し、父が死んだのは橙二郎の所為であり、無意味な死ではないと思い込ませる。
橙二郎の殺害計画を練る事で両親の死を受け入れようとする蒼司。そんな蒼司の計画に気付き止めようとする紅司が事故死した事で蒼司の妄想は現実に実行される事になるのである。
というのを下敷きに、だらだらと見当違いな推理合戦したりアイヌの呪いだとか御不動様だとかなんだらかんだらしてるからしんどいんだよ読むのが…
しかもふらっと原案・タイトル:紅司、執筆:牟礼田の『凶鳥の死』が挿入されてたりして惑わされる…藍ちゃん死んじゃうキャラだって間違えて記憶してしまったじゃないか。
しかし老人ホーム出火の際に亡くなった人の数がホーム側の発表と警察の発表で数が合わない事とか、おキミちゃんは本当に黄司だったのかとか、謎は残ったまま(語り手のアリョーシャもその辺は不満な様子)
あとは蒼司が「パパを殺したのは嵐が来ると予測しながらそれを伝えなかったやつと、船を出航させたやつだ。この悲劇はまた繰り返される」「お前たち傍観者におれたち遺族の本当の悲しみが判る訳がない」「当事者にならない限り、お前たちは外側から人の死を楽しそうに眺めているだけなんだ」とかゆう言葉を久生とアリョーシャに投げつけるんだけど、これは作者の読者に対する訴えだと思う。うまい言葉が出てこないけど、平坦な生活を送りつつ、事件や事故が起きると非現実を垣間みてわくわくしたり、つまらない憶測をしたりして非現実を楽しんでいるけど、それは現実世界の出来事なんですよ、あなたにも起こり得る事なのにどうして笑っていられるの?みたいな事を言っているんじゃないかなと。うあ文才ひどい。
あと私が感傷的になったのは、4人が向島へ花見に行って牟礼田が桜餅を食べたところ。
その後アリョーシャは毎年向島へ花見に行くようになるが、当時4人でみた老桜は全て刈取られ、若い木に植え替えられて、牟礼田が桜餅を食べた店はすっかり改装されてプラスチック塗装の椅子に座った客があの頃と同じ桜餅を食べているってゆうシーン。
アリョーシャは、「同じ桜餅を食べている…。同じ桜餅を…。多分、同じつもりなのだろう」と語っている。そこがね、何か感傷的にならない?変わらぬものなんて何にもないんだよ、変わっていないと言うのなら、それはただの思い込みなんだよ、みたいな感じが。
橙二郎殺害の動機も、爺やさんが精神病院に入れられて未だに紅司が生き返ると信じながら火事で焼死しちゃうのも、紅司が新種だと言って大事に育てていた何の変哲もない薔薇の事も、色々救われない話であった。
まさに「虚無」への「供物」である。美酒を少し、の替わりに多くの無意味な死を。
唯一の救いは、藍ちゃんがワンダランドから抜け出して、現実世界を生きていこうとするところかな。若いって良いな!!
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