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人生三度目の読本。
最初は10年前、まだ安倍公房が推理作家だと思い込んでいた頃に『砂の女』と一緒に借りて読んだ。
そっから高木彬光にはまって神津シリーズを読み漁りだし、やっぱり能面手元に置いておきたいと数年後古本で購入して読む。
で、二回読んだんだけど、密室トリックがイマイチ把握出来ず、なんだかなぁであった。
いやいや、これすっごく好きな作品なの、だからこそ本棚に納めた訳で。
だので今回みたび読んで理解しました!なんだそゆことかって位簡単な事だったんだけど、やっぱ現場の見取り図がないと判り難いなぁ・・・右開きか左開きかも未だ判らず・・・
これって私が賢くないだけなんですが!なんですが!
空間認識能力が低いんだよおおおオンナってェのは!心理学実験でそんな結果が出た気がする。

・柳 光一:ビルマから帰還。化学者。千鶴井家に居候している
・高木彬光:光一の友人で、自称「日本のフィロ・ヴァンス」
・石狩弘之:「法の鬼」と呼ばれる検事。光一の父親と親友だった

本家
・千鶴井壮一郎:世界的な放射能化学者。分家に殺された?
・千鶴井香代子:壮一郎の嫁。博士の死後精神病院に入院
・千鶴井緋紗子:壮一郎の娘。5年前に発狂
・千鶴井賢吉:壮一郎の息子。強度の心臓弁膜症

分家
・千鶴井泰次郎:壮一郎の弟で医者。恐るべき物欲の人
・千鶴井麟太郎:泰次郎の長男。恐るべき虚無主義者で自分は超人だと信じている
・千鶴井洋一郎:泰次郎の二男。父親を一回り小さくしたような男
・千鶴井園枝:泰次郎の実母。脳梗塞の後遺症によって身体が不自由
・千鶴井佐和子:泰次郎の娘。分家の中では一番まとも

人物表がなかったので書きながら(ディープなファンはこうやって読むらしい)読んでたらふっと話の内容を思い出してゆきました。
登場人物の中に、精神病院に入院している人がいて、ああ、当時(戦後)の精神病院っつったら戦地とは違う方向に地獄だよなぁ・・・と思った事で記憶が蘇る。
昔の精神病患者って本当に酷い扱いを受けていたのだよ、ヒステリー患者が女性しかいないからってんで女性特有の病気だとして子宮を切除する事が治療法だった。その後、男性患者にもヒステリー症状が現れるケースが発覚してその治療法はやめたんだけど、そんなの後の祭りだよねぇ・・・断りもなく子供産めない身体にさせられた女性患者の事を考えると。
この作品に出てくる分家はヴァンの「グリーン家」日本版って感じで、ほんと、誰が死んでも誰も悲しまない、寧ろみんな死んだ方が社会の為。という人間ばかり。
中でも長男がほんとにどうしようもないクズで梅毒保有者なんだけど、気違いと天才は紙一重っちゅうやつで、本当に精神病院に入院させるべきはこいつなのに見た目正常者なので野放しになっている。

何でこの作品が好きなのかって考えながら読んでたんだけど、ドウやら人間的結末ってゆうんだろうか、人間の心理の割り切れなさとか不可解さ??なんか白黒つけられない心理描写に比重が傾いている結末の話が好きみたいです。『歯と爪』的な。
三回読んだけど、やっぱりこの作品は凄く好きで、ちょっと泣いた。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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