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「推理小説の創始者」と言われているエドガー・アラン・ポーのミステリと恐怖ものの短編集。
ミステリの父とゆわれているけど推理ものは「黄金虫」と、本編収録の「モルグ街の殺人事件」「マリー・ロジェエ怪事件」「盗まれた手紙」だけなのだそうである。あれ、「黒猫」はミステリじゃないの??

・モルグ街の殺人事件
世界初のミステリであり、世界初の密室殺人事件の話。
今読むとなんじゃこりゃーなトリック(というかオチ)なんだけど、約200年前にこんな話読んだら吃驚するよね、ブラウン神父並の盲点の突き方。大きすぎて見えなかったり、当たり前すぎて誰も気付かないとか、チェスタトンの原点だな。

・落穴と振子
再読だけど覚えてなかった話そのいち。
宗教裁判によって処刑されようとしている人の心理を描いた恐怖小説。飢えと、渇きと、死に対する恐怖と、死に救いを求めてしまう危うい心境。
最も恐ろしいとされている落し穴による処刑って結局なんだったんだろう・・・
宗教裁判官たちの陰湿で残虐な処刑を掻い潜って生への執着を最後まで(砕け散りそうになりながらも)持ち続けた主人公は凄いと思う。
200年前まではこんな陰惨な事が積極的に行われていたんだなぁ・・・今も訳の判らん紛争とか事件とかあるけど、不条理さと残忍さでは過去と現在、どちらがマシなんだろうか。

・マリー・ロジェエの怪事件
ニューヨークで実際に起きたメアリ・セシリア・ロジャーズ殺人事件を元に描かれた推理小説。
実際の事件で犯人が判らず終いだった為、この話も真相には触れずしろうと探偵であるデュパンの推理で終わっている。
この話の凄いところは、水死体の描写、溺死体と殺害してから川に捨てた死体の違いなどの描写がリアルである事。元監察医の上野先生の著書『「死体」を読む』でも「鋭い観察力」と書かれている程。モルグ街とはまた違ったポーの凄さが判る話である。
水死と死後の水辺遺棄の違いの詳細さは凄いけど、推理と推論で終わっているからオタク的にはちょっと物足りないかんじ。やっぱりずばーんと犯人指摘して終わらないとミステリ読んだ!て気にならない。

・早すぎる埋葬
仮死状態で埋葬されてしまったら・・・という恐怖小説。
主人公は原因不明の病気を持っていて、発作が起こると何時間、何日も仮死状態になってしまう。発作が起きている最中に誤って埋葬されてしまったら・・・という恐怖で眠る事を恐れ、昼間はヒステリックに暴れて、親しい友人たちすら信用できず、どうしようもない位腐敗が進むまで絶対に葬儀をあげない事を約束させたり、さらには万が一生き埋めにされてしまった場合に備えて特別な棺を作ったりする。
実際、埋葬された後、息を吹き返し棺の中で助けを求めながら死んでいったという事例が皆無ではない時代だったので、一層恐い話だよね、私初めてこれ読んだ後暫く閉所恐怖についてひたすら考えてた時期があった。
これとはまた恐怖のベクトルが違うけど、コナン・ドイルも恐怖小説かいてるよね、上空には怪生物がいて飛行機乗りを食うとか、地下迷路を永遠彷徨うとか。ドイルで恐いなと思ったのは浮気した嫁の唇を浮気相手の外科医に麻酔なしで切り取らせる夫の復讐話かな・・・人間より恐ろしいものはない。

・盗まれた手紙
再読なのに覚えてなかったそのに。
世間に露呈すると国際問題に発展するという手紙が盗まれた。犯人は判っているのに(被害者の眼の前で堂々と盗んでいったから!)証拠(=盗まれた手紙)が見付からない。警視総監が犯人の屋敷を隈なく探し、追いはぎを雇って犯人の所持品を調べ上げたのにも関わらず、である。
「木の葉は森に隠せ」そのものだが、盗品を隠すべき場所ではなさすぎて誰にも見付からないという、これまたチェスタトン的トリック。
過去に犯人に非道い仕打ちをされたデュパンがさりげなく復讐してやるところも小気味良い。
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寝ても覚めてもミステリが好き。最近はもっぱら「探偵小説」ブームで新しい作家さんを良く知らない。
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